トウ・堂場瞬一

2013年12月29日 (日)

闇夜 - 警視庁失踪課・高城賢吾 (中公文庫)

9784122057661

☆☆☆+

著者:堂場瞬一 販売元:中央公論新社 発売日:2013/3/23

内容(「BOOK」データベースより)

娘・綾奈と悲劇の再会からふたたび酒浸りの生活に戻り、無断欠勤を続けていた高城。失踪した七歳の少女の捜索に引きずり出されるが、少女は絞殺体で見つかり、事件の担当は失踪課から捜査一課に移ってしまう。娘を失った両親に自身を重ねた高城は犯人を捜し出すことを誓い、わずかな証言を元に執念の捜査を続けるが

読み終えて表紙を見ると暗がりの公園の写真がゾッとさせる。今回の事件はもとより高城の娘の事件への謎、そして愛美の災いをも暗示するかのように。

これ話自体は前作の「牽制」から続いております。後半へ突入といった感じでしょうか。で、あの若手警官の自殺の真相からすべては動き出す。

過去の回想と同じような聞き込みと張り込みのシーンに少し辟易するも、それなりの臨場感がじわじわと沁みて来ますね。

高城もそうなのだが犯罪被害者の心理状態とそこからの立ち直りに対して、これまでの全編が大河小説のように伏線となっていたのか。とは言い過ぎかな。

次回でいよいよ決着をみるというか集大成を迎える警視庁失踪課。どんなクライマックスが待ち受けるのか期待は膨らみます。

2013年11月24日 (日)

牽制 - 警視庁失踪課・高城賢吾 (中公文庫)

9784122057296

☆☆☆ 著者:堂場瞬一 販売元:中央公論新社 発売日:2012/12/20

内容(「BOOK」データベースより)

高城は娘・綾奈の失踪事件と向き合うことを決意するが、拳銃を所持した若手警察官とドラフト一位の高校球児の失踪が立て続けに起こる。キャンプイン目前に姿を消した選手を捜す高城は、元プロ野球選手の醍醐とともに高校時代の監督やチームメイトたちの事情聴取に奔走する。一方、警察官の行方は誰も掴むことができず

所謂「もどかしさ」がずっと続くのには参りました。行方不明という事件を臭わせておいて実はプチ家出か…などなどすっきりしない。が、人気の高校球児とちょっと不良っぽい女子高生カップルに対するこちらの嫉妬だとすぐに気付く(笑)

高城が聞き込みに回る先々で事件に関するフラグが垣間見られるのだが、そこは言葉匠にかわされたリと本当にもどかしい。野球部の監督や女子高生の両親やスポーツ品店の親父など…妙にリアリティがあったりする。

そんな中で起こった警官失踪事件。どこにどう絡むのかさして繋がらないまま本筋の人探しは続く。実はこちらの事件が後々ストーリー上効いて来るのだが…。

今回は元プロ野球選手だった醍醐の入れ込み具合が凄い。まぁ想定内の事でしたが(笑)このシリーズも久しぶりに読むと、高城と愛美の「恋愛感情距離感」が計りかねます。以前はもっと近しい間柄の気もしたのだが。

2013年9月 8日 (日)

検証捜査 (集英社文庫)

9784087450897

☆☆☆ 著者:堂場瞬一 販売元:集英社 発売日:2013/7/19

内容紹介

左遷中の神谷警部補に、連続殺人事件の外部捜査の指令が届く。神奈川県警の捜査ミスを追うチームが組織され、特命の検証捜査を開始。執念の追跡の果てに、驚愕の真相が!

こういう「寄せ集めチーム」結成ではじまる警察小説は好きです。問題児である刑事神谷の左遷先は伊豆大島。そこでののどかな生活ぶりから緊急召集で横浜に呼び出される件。この瞬時にスピードアップする導入部もいいです。

寄せ集められた面々は当然の如くバランス良く個性的。そんなメンバーの中で、お約束通り中年神谷に反目する若い女刑事凛。捜査が進むにつれ二人の距離が近づき先が読めるというか、こっちの頬が緩くなります。

敵役となる神奈川県警の面々など、実にいい味出してる脇役陣。その甲斐あってテンポよく読ませますが、事件の核心に迫るに連れこれはもしやと頭をよぎるある予感が。このあたりからリアリティが薄れ、ストーリー自体も失速していく。

何かすごく惜しい気がしました久々に。やや甘口の「鳴沢了シリーズ」を読み終えたと言った読後感。そんな評価にちょっと困る面白さというのでしょうかねこれは。

2013年2月 3日 (日)

第四の壁―アナザーフェイス〈3〉 (文春文庫)

11426008

☆☆☆ 著者:堂場瞬一 販売元:文藝春秋 発売日:2012/9/20

内容(「BOOK」データベースより)

警視庁・刑事総務課に勤める大友鉄は、かつて所属した劇団の記念公演に招待される。だが、主宰の笹倉が舞台上で絶命。それは、まさに上演されていたシナリオ通りの展開だった。大友は、過去と向き合いつつ、昔の仲間たちを容疑者として取り調べることになる。シリーズ第三弾。

しばらくぶりに読むこのシリーズ。そうだ「最も刑事らしくない刑事」という主人公大友刑事のキャラ設定を忘れていた。

しかも今回は大友の所属した古巣の劇団が殺人舞台となり、ますます刑事というより劇中探偵という役回りに見えるのは気のせいか(笑)

昔の仲間との同窓会的な空気を漂わせつつも、何故あの人が…的などんでん返しがいつ来るかとそっちの方が気になります。

前作では好敵手となる女弁護士が颯爽と登場し、テンポのいいストーリー展開に嵌ったのだが、それに比べ今回はどうもぐだぐだ感が。

そして肝心の殺人動機の理由が実は…。何しろ大友刑事の元気の無さが本作全編に淀んだ雰囲気を落としているようです。

2012年12月14日 (金)

天国の罠 (徳間文庫)

4512365

☆☆☆ 著者:堂場瞬一 販売元:徳間書店 発売日:2007/9/15

内容(「BOOK」データベースより)

広瀬隆二は、有名代議士から自叙伝執筆の依頼を受け、15年前に失踪した代議士の娘・香奈の行方を追う。彼女の足跡を辿ると、行く先々で女の魔性の虜になった男たちの姿があった。彼はいつしか幻の女に惹かれる自分に気づく。長篇サスペンス。

ハードボイルドタッチで慌ただしく舞台を変えながら「幻の女」を捜索する。派手なカーアクションはスリリングであり、依頼者の狡猾な人物像がサスペンスに深みを与える。

失踪した女、香奈の謎が少しずつ剥がれて行く。その裏に見え隠れする事件など政治利権問題のスケール感がどうにも曖昧。まあそれはストーリー上大した事でもないかとスルー。

冒頭から「もしや」と思っていた幾つかの推理がことごとく当たり気分いいです。しかし主人公広瀬は探偵ではなくライターという事をつい忘れる。だからなのか、時折見せる間抜けな行動にも目をつぶりました。

そしてもっと早くこの二人に出会って欲しかったと思う。出来れば中盤あたりで。

2012年11月 3日 (土)

ラスト・コード

11789652

☆☆☆+ 著者:堂場瞬一 販売元:中央公論新社 発売日:2012/7/25

内容(「BOOK」データベースより)

父親が惨殺され留学先のアメリカから帰国した美咲。渋谷中央署の筒井は彼女を羽田で迎えるが、その帰路、何者かに襲撃される。しかし、それは序章に過ぎなかった。犯人の標的は筒井?それとも美咲?熱血刑事と天才少女息詰まる逃避行。長篇書き下ろし。

いきなりで何ですが、表紙腹巻きにある「息詰まる逃避行!」というコピーはちょっと違うなぁと読む前から思っていました(笑)

小野寺冴に始まり、鳴沢了、阿比留室長、それて勿論高城も…そういやこの所、堂場作品はオールスターキャストが多過ぎやしないか。

でもこのスリリングな展開に駆け出し刑事筒井とその相棒になる天才少女美咲…の距離感が今風という奴ですな。

ストーリーに嵌りながらも、これはあり得んだろうという憤慨とフィクションだから許せるかという妥協の狭間でまたしてもぐだ読みか(笑)

いや、ラストに近づくにつれバラバラだったパーツが繋がりやがて全容が解明される…という程の親切さはなかったかな。でも楽しめた。

2012年6月17日 (日)

虚報 (文春文庫)

11582428

☆☆+ 著者:堂場瞬一 販売元:文藝春秋 発売日:2012/4/10

内容(「BOOK」データベースより)
大学教授のサイトがきっかけで発生した「ビニール袋集団自殺」事件を、やり手キャップの市川と担当する社会部の新聞記者の長妻は、たびたび他社に出し抜かれ、追い詰められていくが、やがて独自の取材で起死回生のスクープを放つ…。生き馬の目を抜く報道の最前線を活写した怒涛のエンターテインメント長編。

自殺肯定論者の大学教授を追い詰める新聞記者。その割に何だか湾曲した空気が漂う不思議な取材現場。なかなか入り込めぬまま読む。

他紙に特ダネを抜かれ焦る若手記者。あるタイミングでここぞとばかりに独占取材すると…こうして「虚報」はつくられるのか。

で、調子に乗って海外出張した上司の責任…というのがいきなりの総括です。と、半ばネタバレ状態のまま続けます(笑)

部下を庇いたいのか、それとも責任を押し付けたいのか、分からなくなって来たというこの上司の気持ち。うんうん、実にリアルだな。

「新聞が世間に信用されてると思ってるのは、新聞の中にいる人間だけ」という広報スタッフのつぶやく言葉が全てです。

しかし、ラスト一行であの「JR東海クリスマス・エクスプレス」のCMが浮かんで来た。これも意外な結末と言うのだろうか(笑)


2012年5月23日 (水)

共鳴

11245440

☆☆☆ 著者:堂場瞬一 販売元:中央公論新社 発売日:2011/7/25

内容(「BOOK」データベースより)
祖父・麻生和馬・元刑事/頑固一徹対孫・新城将・無職/引きこもり。ご近所トラブルの解決に精を出す和馬とネット命の将とのぎこちない同居生活。ある日、近所の高校生から「両親が祖母を安楽死させたのではないか」と悩みを打ち明けられ、将は心の奥底に封じ込めていたある疑惑を蘇らせた。共に暮らす中で祖父の生き方を知り、孫は真相を探ろうと決心する。

警察官OBの祖父とひきこもりのその孫を中心に、崩壊してしまった家族関係をなぞっていくストーリー。なもんで従来の堂場作品に馴染んでいる身としては、その違和感に戸惑いました。

ここで取り上げているのは「老人介護」について。もはや社会問題化しているテーマであり、どう絡んで来るのかと期待してたら普通に直球勝負でした。

何かが起きるという緊張感に引きずられて読み進む。が、のどかな地方の風景がのんべんだらり感を醸しているんですね。なのでこちらも自然と脱力してリラックスモード。

で、事件らしい事件もあるのですが、やはり家族問題にスポットを当てた硬派な話かな。中心となる若い衆のキャラは全然そんなことは有りませんが(笑)ひきこもりの孫がネット繋がりのメール相手とのフラグはいらんかった。

2012年3月22日 (木)

七つの証言 - 刑事・鳴沢了外伝

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☆☆☆ 著者:堂場瞬一 販売元:中央公論新社 発売日:2012/2/25

内容紹介
日々起きる事件、そのとき鳴沢が取った行動とは? 冴や藤田、勇樹ら七人の目を通して見た鳴沢了という刑事の生き様。人気シリーズ外伝登場!

「瞬断」
あの「失踪人捜査課」の高城賢吾の目を通して描かれる鳴沢の姿。高城とコンビを組む愛美の二人に対する態度が面白い。しかしここでの鳴沢了、カッコ良過ぎだな。

「強靭」
以前、鳴沢シリーズ最終話にゲスト出演した、あの「神の領域」の城戸検事が回想する話。聞き手は、これまた鳴沢とは浅からぬ縁の作家、長瀬龍一郎です。警視庁と神奈川県警の子供じみたいがみ合いが笑える。

「脱出」
絶体絶命の危機に晒された鳴沢と相棒の藤田。結婚した鳴沢の「家庭」に対するスタンスが伺える。人間が丸くなり、精神的なゆとりを手にしたのかな。二つの意味で息の詰まる展開でした。

「不変」
映画スターとなり来日した鳴沢の息子勇樹。そのボディ・ガードを任されたのは、今は私立探偵となった小野寺冴。ラストの会話で鳴沢と正反対の最も刑事らしくない男、大友鉄が登場。ここでタイトルの意味が分かり爆笑。

鳴沢本人が活躍する話と、これまで彼に関わった人物にスポットをあてた話が楽しめる。こういう短編で鳴沢の姿を見るというのは、少なからず違和感がありました。全7編。

2011年11月18日 (金)

遮断 - 警視庁失踪課・高城賢吾

遮断 - 警視庁失踪課・高城賢吾 (中公文庫)Book遮断 - 警視庁失踪課・高城賢吾 (中公文庫)

著者:堂場 瞬一
販売元:中央公論新社
発売日:2011/10/22
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆+

内容(「BOOK」データベースより)
厚労省高級官僚である六条舞の父親が失踪した。事件性はないと思われたが、一億円の身代金要求が届き様相は一変する。同時期にくせ者新メンバー田口はインド人技術者の失踪事件を調べていた。鍵は外国人労働者の就労斡旋なのか。二つの事件の関係は。

失踪課の身内の誘拐事件にいきなりテンションが上がった。と思う間もなく被害者家族のやる気の無さに熱も冷めます。あの六条舞の父親がいなくなったのだが。

で、無事に失踪人が帰還したのだが、う~ん、どうにももどかしい展開になって来た。こういう風に頑なに口を閉ざす人というのは、もう関知しなくてよろしい(!)

相変わらず高城警部は内輪もめで忙しい。このグダグダ感がいつの間にかこのシリーズの密かな魅力になっていると最近になって気づいたわたしです(笑)

並行して捜査していたインド人技術者の失踪との節点がいまいち薄い。もう少し事件が交錯すれば奥行きのあるストーリーになった気もするがどうでしょうか。

終盤の大詰めに入り何と嬉しいサプライズが(!)堂場作品ファンなら一度は耳にしたことのあるその名声。満を持してあの人物の登場であります。チョイ役ですが(笑)

そして来たる人あれば去り行く人もあるという感傷的なエンディングがいい。まあ、前作『波紋』のラストで膨らんだ期待感は少なからず満たされました。


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