ヨコ・横山秀夫

2013年1月12日 (土)

64(ロクヨン)

11910459

☆☆☆ 著者:横山秀夫 販売元:文藝春秋 発売日:2012/10/26

内容(「BOOK」データベースより)

警察職員二十六万人、それぞれに持ち場があります。刑事など一握り。大半は光の当たらない縁の下の仕事です。神の手は持っていない。それでも誇りは持っている。D県警は最大の危機に瀕する。警察小説の真髄が、人生の本質が、ここにある。

実に7年ぶりの著作ですが衰え知らぬ筆力は正に期待通りでした。そして過去の事件と現在が交錯するというプロット。その時系列のズラし加減も絶妙。

とはいえ、近年の警察ものでよく遭遇する感は無きにしもあらず。主人公三上刑事の家庭内の描写が全編通して効いています。

ストーリーの根幹を成す刑事部と警務部の全面戦争という構図ですが、先にも述べたようにほんと読みますね。刑事対公安とか…。なもんで食傷気味なのは確か。

後半部での更なる緊迫感と盛り上がりには唸らされましたが、横山作品はこれが初読でないだけにもうひとつサプライズが欲しかったかな。

2010年10月14日 (木)

クライマーズ・ハイ

クライマーズ・ハイ (文春文庫)Bookクライマーズ・ハイ (文春文庫)

著者:横山 秀夫
販売元:文藝春秋
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☆☆☆

出版社/著者からの内容紹介
85年、御巣鷹山の日航機事故で運命を翻弄された地元新聞記者たちの悲喜こもごも。上司と部下、親子など人間関係を鋭く描く。

いや〜正直ストーリーに入っていけませんでしたね。年に幾度かこういう事はありますが、まさか本書でそれが…。

いろんな人から奨められていたのを、やっと読む気になり手にとりました。横山作品は警察小説中毒になる程、そちらの方はのめり込んでいたのですが。

元新聞記者である著者の「報道姿勢への思い込み」みたいなものを押しつけられた気がしないでもない。何しろダダダーッと駆け足でページ捲って終わりました。

この「日航ジャンボ機墜落事故」を扱ったものでは、山崎豊子作の『沈まぬ太陽』も気になります。航空会社の内側からの視点で描かれているみたいですね。

2010年5月 8日 (土)

震度0

震度0 (朝日文庫 よ 15-1)Book震度0 (朝日文庫 よ 15-1)

著者:横山 秀夫
販売元:朝日新聞出版
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☆☆☆☆

内容紹介
阪神大震災の朝、N県警本部警務課長・不破義人が姿を消した。県警の内部事情に通じ、人望も厚い不破が、なぜいなくなったのか? キャリア、準キャリア、叩き上げ、それぞれの県警幹部たちの思惑が、複雑に交錯する……。組織の本質を鋭くえぐる長編警察小説。

県警本部庁舎と幹部公舎を舞台に時間軸を追って描かれるストーリー。巻頭の平面図は単に位置関係を把握する為のものか。さして深い意味はないようですが。あっ、公舎で隣の話し声が聞こえるというのは、実際ありそうですね(笑)。

で、失踪したとされる警務課長の行方が気になります。上手い隠し方だなぁと感心しました最初は。想像力掻き立てられたという意味で。そして裏ストーリーとも言える公舎で繰り広げられる幹部の妻たちの確執。何か昼ドラの一コマみたいだ。

そんなある意味密室(!?)での会議や談合が中心なので、地味〜な印象かと思いきや、キャリアVS地方(じかた)という図式や部署別の軋轢など、幹部同士の対立描写がリアルです。さらに阪神大震災のあった日というのが特別な意味をもって…ラストに静かな感動を覚えました。


2010年4月 6日 (火)

陰の季節

陰の季節 (文春文庫)Book陰の季節 (文春文庫)

著者:横山 秀夫
販売元:文藝春秋
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☆☆☆+

出版社/著者からの内容紹介
天下りなどの人事問題に真っ正面から取り組んで、選考委員の激賞を浴びた松本清張賞受賞作ほかテレビドラマ化されたD県警シリーズ。

『陰の季節』
心理戦となる元刑事部長と犯人の意外なシチュエーションでの攻防。そこに絡むのが主人公であり、警察内人事に携わる警務課の二渡。ふむふむ完成度の高い短編とはこういうものかと感心する。

『地の声』
う〜ん。これはなかなか入り組んだ話でしたね。物語に没頭するより、まずプロットありきでは…と思える緻密な展開に頭が下がります。前の話の主人公がリレー式に脇に廻って顏を出してる。こういうの好きです。

『黒い線』
この本を手にする目的でもあった、後に主役となる『顏 FACE』の平野瑞穂婦警が登場します。しかも重要な配役で。結局、今回の事件の落ちとは…これって、ああそういう事かと納得せざるを得ん(この後ありますから)。瑞穂ちゃんお疲れさまでした。

『鞄』
ある意味、一番緊張感を味わえたのがこの話でした。まさに八方ふさがりの状況を迎えた警務部の野心家である主人公。さて、どう転がるのかこの話…と思いきや、予想通りというか、あっけなく意表を突かれました。

どの話も所謂「刑事」が主人公ではないので、生々しい事件や汗臭さとは一線を画した中で繰り広げられるストーリーなのだ。それを新鮮味と取るか物足りないと取るかは、読み手側の嗜好に他ならない。と格好つけて締めてみました。

2010年3月30日 (火)

ルパンの消息

ルパンの消息 (カッパノベルス)Bookルパンの消息 (カッパノベルス)

著者:横山 秀夫
販売元:光文社
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☆☆☆+

内容(「MARC」データベースより)
15年前に自殺として処理された女性教師の墜落死は、実は殺人事件だった。時効まで24時間。捜査陣は15年前の「ルパン作戦」に遡り…。著者がデビュー前に書いた幻の処女作。第9回サントリーミステリー大賞佳作受賞作。

自由奔放なストーリー展開というか、悪ガキ三人組がディスコでトラブった女教師を助ける件。まったく青臭いシーンなのだが、著者の処女作ということを思うと、何か微笑ましくもある。プロローグの忘年会シーンも、あることの伏線となっていてエンディングで効いて来ます。

高校生たちの供述シーンが多いからか、いつもの著者の文体からすると違和感があるな。が、躍動感に溢れるというか、拙いながらも情熱的な語り口といった具合です。これはこれで新鮮としておく。で、取調室で記憶が過去と現在を行き来しながら事件の佳境へと…。

時効までの15年を遡っての話だけあり、主要キャラたちの変貌ぶりや意外な人物が実は…などなど、その辺りのタイムトラベル的な楽しみも味わえました。あと警察側は人多過ぎでしたね(笑)。読みはじめの印象から、これほど面白いとは思わなかったという小さな驚きがありました。長編初読みです。

2010年3月21日 (日)

動機

動機 (文春文庫)Book動機 (文春文庫)

著者:横山 秀夫
販売元:文藝春秋
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☆☆☆+

出版社/著者からの内容紹介
各誌ベストテンを総ナメにした日本推理作家協会賞受賞作!署内で一括保管される三十冊の警察手帳が紛失した。犯人は内部か、外部か……。男たちの矜持がぶつかりあうミステリ短篇四篇を収録。

今回の話の主人公たちは、県警本部の警視、葬儀社に勤める前科持ちの会社員、地方紙の女性記者、地裁の裁判官という面々です。なのでストーリーとそれにまつわる人間関係のやりとりも、各話ごとに異なるカラーで楽しめました。

そんな中で『逆転の夏』という全く心あたりのない殺人依頼と、巧妙に仕組まれたトリックで前科者という弱味のある主人公を翻弄する話。これには最初からぐいぐい引き込まれましたね。短編ながら読み応えも充分でした。

この著者の短編をずっと読んでいるのですが、これまで警察組織と警察官が主人公の話に比べ、それ以外の人が主人公である場合には少なからず物足りなさを感じていました。が、本作でそれも払拭しました。ま、読む順番は滅茶苦茶なのであくまでも私的な感想として。他、『動機』『ネタ元』『密室の人』の全4編収録。


2010年3月 6日 (土)

第三の時効

第三の時効 (集英社文庫)Book第三の時効 (集英社文庫)

著者:横山 秀夫
販売元:集英社
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☆☆☆☆

出版社 / 著者からの内容紹介
04年「このミス」第4位の名作!時効の発生は事件発生から15年。しかし容疑者が事件後海外に滞在したため、7日間のタイムラグがある。F県警はこの間に容疑者を追いつめようと…。サスペンスとドラマ、警察小説の傑作連作集。

表題作『第三の時効』の完成度の高さには驚きました。途中でもしかして...と思ったが、いや負け惜しみになるので語るまい。二重三重のトラップとそれを予感させながらのストーリー進行に、一級のミステリを堪能しました。がしかし、エンディングの強引さ(無理矢理ハピエン?)にもこれまた驚きました(笑)。

『囚人のジレンマ』は、三つの事件の解決に主軸を置きながら、強行犯係の人間関係にスポットを当てた話。それまでの話から各斑のライバル意識や非情さが前面に出て、人間臭さが失われた職場のようだったが...これは前後の話の繋ぎの役目を果たしていますね。

その他、サラリーマン化した警察官たちの自己保身が垣間見れる『密室の抜け穴』など全六編収録。で、気付いた事。事件の行方一辺倒に描かれておらず、警察組織の内情を事件解明のそれと同じベクトルで描写している点。ここら辺が、この小説をより一層磨きのかかったものにしているのでしょうね。

PS.この著者の世間ズレしているところ。「オートロック式のマンションではよくある。安全性に対する過信から、自室の鍵をかけ忘れるのだ」←ねぇよ!んなこと(笑)。

2010年2月25日 (木)

影踏み

影踏み (祥伝社文庫)Book影踏み (祥伝社文庫)

著者:横山 秀夫
販売元:祥伝社
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☆☆☆

内容(「BOOK」データベースより)
深夜の稲村家。女は夫に火を放とうとしている。忍び込みのプロ・真壁修一は侵入した夫婦の寝室で殺意を感じた―。直後に逮捕された真壁は、二年後、刑務所を出所してすぐ、稲村家の秘密を調べ始めた。だが、夫婦は離婚、事件は何も起こっていなかった。思い過ごしだったのか?母に焼き殺された弟の無念を重ね、真壁は女の行方を執拗に追った…。(「消息」より)

亡くなった双子の弟との脳内会話。最初、何事かと思いました。このおっさん何ひとり言つぶやいてんだと。で、職業が泥棒って・・・しかも主人公だし。エラそうだし。ぁりぇないぃぃ設定(!)と思いつつ読み進みまし。

色白のオネエさんの話にある『刻印』って…これのことか。ぞわぞわ。あと夫婦が熟睡する寝室に忍び込む描写はかなりの緊迫感。一瞬自分が盗みを働いてる気分になる(!)にしても脳内弟も往生際の悪い奴だな。あまり意味の無い会話にいい加減ウザくなってきた。

盗みに住居侵入するというより、事件に巻き込まれその証拠を確認するための泥棒活動か。なのでストーリー展開にしろ無理矢理な印象もある。そんな中で『使徒』という心暖まる話もあった。戸締まりはきちんとしようと思います。連作短編七作収録。

2010年2月11日 (木)

真相

真相 (双葉文庫)Book真相 (双葉文庫)

著者:横山 秀夫
販売元:双葉社
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☆☆☆

内容(「BOOK」データベースより)
犯人逮捕は事件の終わりではない。そこから始まるもうひとつのドラマがある。―息子を殺された男が、犯人の自供によって知る息子の別の顔「真相」、選挙に出馬した男の、絶対に当選しなければならない理由「18番ホール」など、事件の奥に隠された個人対個人の物語を5編収録。人間の心理・心情を鋭く描いた傑作短編集。

これは被害者側、そして犯罪者側から語られるストーリーなんだな。警察官はあくまでも脇役みたいだ。なもんでこれまでの横山先生の短編集とは異質な印象でしたね。現場の臨場感とか警察官の汗臭さみたいなものが無かった。のが残念(!)。

例えばこの収録作の中でも面白かった『18番ホール』にしても、作品のプロット自体は既出というかスタンダードな訳です。で、それをリメイクして読まされても…ですね。そんなこんなで、どうもこの著者には期待し過ぎなのかな(?)と思ってしまう。

いやいや、そんな筈は無い。未だに長編は読んでませんが…もっと切れのある作品(←短編)を読破していきますとも(!)な訳で、全五編からなる本書でした。これまでが良かっただけに、ここはクールダウン的な役目なのかも知れませんという事にして次に期待です。

2010年2月 4日 (木)

深追い

深追い (新潮文庫)Book深追い (新潮文庫)

著者:横山 秀夫
販売元:新潮社
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☆☆☆+

内容(「BOOK」データベースより)
不慮の死を遂げた夫のポケットベルへ、ひたすらメッセージを送信し続ける女。交通課事故係の秋葉は妖しい匂いに惑い、職務を逸脱してゆく(表題作)。鑑識係、泥棒刑事、少年係、会計課長…。三ツ鐘署に勤務する七人の男たちが遭遇した、人生でたった一度の事件。その日、彼らの眼に映る風景は確かに色を変えた。骨太な人間ドラマと美しい謎が胸を揺さぶる、不朽の警察小説集―。

「三ッ鐘村」と揶揄され、赴任したくない所轄といわれる職住一体となった三ッ鐘警察署。そこに勤務する面々が今回の主人公になる。で、相変わらず短編プロットの着眼点が実にいい所を突いています。その最たるものが表題作の『深追い』ですね。死者のポケベルにいまも表示されるメッセージの意味と未亡人に秘められた謎、そんな彼女に嵌ってしまう独身警官…といきなり引き込まれました。

キャリアの課長に悪い虫が付いたという『訳あり』の騒動には、すぐにぴーんと来るものがありました。正解でした。こういうどーでもいいような事には勘が働くわたしです。親子の諍いを描いた『人ごと』では、人の心情を代弁するように花が効果的に使われています。後味の良さではこの話が一番でしたね。他、『又聞き』『引き継ぎ』『締め出し』『仕返し』の全七編を収録。

ひたひたと静かに迫り来る・・・ホラーではないですが、不運と偶然の連鎖というものが真しやかに描かれています。ほんと実際にありそうな話だと思うものも。何しろ一寸したきっかけが人生の分かれ道となるいい見本がここにあります。どっちを選択するかでその後の運命は…この不況下に読むと一層身につまされます。

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