タシ・多島斗志之

2009年10月 8日 (木)

黒百合

黒百合Book黒百合

著者:多島 斗志之
販売元:東京創元社
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☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
「六甲山に小さな別荘があるんだ。下の街とは気温が八度も違うから涼しく過ごせるよ。きみと同い年のひとり息子がいるので、きっといい遊び相手になる。一彦という名前だ」父の古い友人である浅木さんに招かれた私は、別荘に到着した翌日、一彦とともに向かったヒョウタン池で「この池の精」と名乗る少女に出会う。夏休みの宿題、ハイキング、次第に育まれる淡い恋、そして死―一九五二年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年たちを瑞々しい筆致で描き、文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。


幻想的とも思える六甲の高原の雰囲気。草花や池やロープウェイ跡地にもひんやりとした夏の空気を感じる描写が心地好い。わたしも子どもの頃、何度か登った六甲山だが別荘やホテルに泊ったことはなかった。


ひとりの女の子をふたりの男の子が感心を惹こうとする。うん。昔あったな。


池で泳いだり、小道を散策したり、双眼鏡で絶景を眺めたりと、高原ならではの小さな冒険の楽しさが伝わってくる。こんなロケーションの中でそんなひと時を味わえるなんて、羨望の眼差しで見ていたに違いない。十四歳のわたしだったら。


「黒百合」って、そうかあの人のことだったのか(!?)


女の子「香」を取り巻く人たちの様子から彼女の境遇が焙り出される。そこにかしづかんばかりの男の子ふたり。微笑ましくもあり鬱陶しくもありといった具合でしょうか。それにしても都会の喧騒から離れた地での絵空事のようだ。


交互に出てくるパートは十七年くらいのタイムラグがあり、わかり辛かったので登場人物の相関図をつくってみた。よく練られているなというか、この辺にも人物トリックの要素があるんだなと感心する。ベルリンでのパートが効いていますね。


なもんで思わず読了までに時間がかかってしまった。この居心地の好さから抜け出したくないという思いがそうさせたのかも。などと格好つけてみました。

2009年9月 8日 (火)

追憶列車

追憶列車 (角川文庫)Book追憶列車 (角川文庫)

著者:多島 斗志之
販売元:角川書店
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
第二次大戦末期の砲火の下、フランスからドイツへ脱出する列車で出会った日本人少年と少女の淡い恋心を描いた表題作の他、主婦の足下に忍び寄る謎の女を追う「マリア観音」、清水の次郎長の三人目の妻・お蝶が男女のもつれから死に至るまでを書いた「お蝶殺し」など魅力の五篇を収録。


わたしのお気に入りである小林万希子さんのカバーイラストに惹かれて手にしたのだが、装丁が改訂されていて違う表紙になっていますね。残念ですが、そのイラストはこのサイト右袖のお気に入り(小林万希子イラスト)よりリンク出来ます。


『マリア観音』

いきなりストーカーとか誘拐事件かと、そんな前フリから入るのですが。何だかいまひとつ曖昧な印象の作品ですね。この先どう転ぶのだろうと期待してページを捲るも終盤に向けての地味でもの悲しい展開はいまいちでした。


『預け物』

最初、おっとりして抜けたところのある主婦に苛立ちを覚える。が、あるきっかけで意外な・・・が。ここ大笑いしてしまいました。全くそんな予兆もなしにいきなりの台詞でしたから。ストーリー自体に目新しさはないがラストの余韻がいいな。


『追憶列車』

表題作であるこの作品には一番期待していました。欧州の戦時下で出会った少年と少女の切なく胸焦がすストーリーのはずが・・・わたしには一寸肩透かしをくらった気がしました。う〜ん途中までいい感じだと思ったのだが。


『虜囚の寺』

これは日露戦争の時代か。収容所の所長が実にいい味だしてますね。おきぬとおみつの姉妹もちょこまかとよく描けているし、この寺の雰囲気をつくるロシア人捕虜たちの生活ぶり、映像が思い浮かぶほどでした。


『お蝶ごろし』

あの清水次郎長に嫁いだ二代目お蝶の話。冒頭からいきなりお蝶が殺された描写から入る。なんなんだこのアプローチは・・・と戸惑いつつも事件の輪郭が見えて来ます。お蝶の過去がこのストーリーに重要な影を落とします。そして、あっ(!)と驚くエンディング。これには一本とられました。


初読の著者でしたが、どの話も独特の雰囲気がありストーリーにも自然と入り込めました。元は『マリア殺し異人館の謎』という題名で、収録五編のタイトルから一語ずつをとり組み合わせたものらしい。そのあたり巻末の解説に詳しいです。

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