ハシ・橋本 紡

2009年6月27日 (土)

橋をめぐる—いつかのきみへ、いつかのぼくへ

橋をめぐる―いつかのきみへ、いつかのぼくへBook橋をめぐる―いつかのきみへ、いつかのぼくへ

著者:橋本 紡
販売元:文藝春秋
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
広告会社に勤めるOL、友香。父と和解はできるのか『清洲橋』、銀座でならしたバーテンダー、耕平。深川で自分の店を持つが『亥之堀橋』、進学校の秀才と不良少年の再会『大富橋』、バツイチの佳子は英会話教室の生徒との逢瀬をやめられない『八幡橋』、新居探しで足を棒にする美穂と哲也のカップル『まつぼっくり橋』、世田谷から来た千恵と、祖父エンジとの交流の物語『永代橋』。水の都・深川を舞台に描く六つの人生。


『清洲橋』

帰りにくい実家へ顔を出すタイミングって、家族からアクションを起こしてもらわないとなかなか難しいかな。
そんな条件に願ったりの弟が登場して主人公の友香は上手くペースに乗れましたね。


『亥之堀橋』

いいバーテンダーってほんといなくなったなあ。腕がいいのはもとより、独特の雰囲気のある人という意味で。
ここに登場する耕平はそんないいバーテンだったんだろうな。
どことなくお人好しで仲介役に納まってしまうというのも、なるほど人徳なのでしょうか。


『永代橋』

この話が一番よかったかな。
夏休みの思い出のひとつやふたつ、誰にだってあるものだ。
それが身内のこととなると、なんか照れ臭かったりして記憶の彼方へと追いやっていたりする。
祖父とそっくりな父親の姿を見たときの千恵の気持ちが伝わって来たし、ちょっと子供の頃を思い出した。


他、『大富橋』、『八幡橋』、『まつぼっくり橋』の全六編を収録。


どの話にも深川情緒というものが伝わって来ましたね。
それは観光的なものでなく、お年寄りの職人気質や戦前の意匠の建物やこの本のもう一つの主役である橋たちから。


ただ、ほとんどの話が最後に余白を残して終わっているような気がした。
例えるとするなら、楽譜の最後の一小節だけペンディングされてるような感じ。
余韻を楽しむとか、その先のストーリーを想像するとかじゃなく、中途半端にまとめた話もあったかな。

2009年6月 6日 (土)

猫泥棒と木曜日のキッチン

猫泥棒と木曜日のキッチンBook猫泥棒と木曜日のキッチン

著者:橋本 紡
販売元:メディアワークス
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☆☆☆+


内容(「MARC」データベースより)
お母さんが家出した-。残された高校2年生のみずきは、新しい家族とともに淡々と日常生活を送る。しかし、捨てられた猫をみつけたことにより、その日常が変わろうとしていた。捨てられた子どもたちと捨てられた猫たちの物語。


なんか最初の一行から読書欲をそそる書き出し。
このスッと入っていける感じというのが大切なんだと思う。


猫の死骸を埋めた後に食べるパスタ料理。
でも全然嫌な気がしない。むしろ自然な流れでひと仕事終えた後の食卓。


それは、みんなが温かく優しさに満ちあふれた空気に包まれているから。
なんだろうと思うきっと。


しかし、これは親が子を捨てた話。いや、子が親に捨てられた話だ。


ニセモノの家族。それは楽しくて至福のひと時でもあるのだ。
そして毎週、木曜日がその日になることに決まる。


猫泥棒することについては、欺瞞に満ちた言葉で自分を納得させる。
そんな青臭ささが妙に新鮮で共感してしまうな。


ほんとはすごく大事なこと、愛情や人情や哀情などの深さと儚さなんかについて。
などをさらりと変わり者親娘の独特な距離感をもって描かれている。


あ、ほんの数年前まで、わたしもマルセイユ・ルーレットの練習に勤しんでました。

2009年5月25日 (月)

流れ星が消えないうちに

流れ星が消えないうちにBook流れ星が消えないうちに

著者:橋本 紡
販売元:新潮社
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☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
大好きな人が死んじゃうよりも、世の中にはもっと悲しいことがある…。つらくって一睡も出来なくても、朝は来るし。涙が涸れるほど泣いてても、やっぱりお腹は空くもので。立ち直りたいなんて思ってなくても、時間はいつでも意地悪で、過ぎ去った日々を物語に変えてしまう―。玄関でしか眠れないわたしと、おバカな僕と、優しすぎる彼を繋ぐ「死」という現実。深い慟哭の後に訪れる、静かな愛と赦しの物語。


彼女(奈緒子)と彼(巧)、交互にパート分けされ二人の視点から描かれる感傷物語。


文化祭でプラネタリウムの流れ星に願掛けをするみんなの一途さ。
こういう真っ白で甘酸っぱい青春の一コマな記憶が・・・なんか甦って来た。


「どうして玄関で寝てるんだ?」と、奈緒子に問い質す父の台詞。とてもいい。
のだが、この父にして登場のしかたが後ろめたいというか、ある意味現実逃避。


死んでしまった人間には勝てない。しかし、それは負けるということでもないと思う。


すき焼きを囲んでる時のみんなの幸福感がすごくリアルに伝わって来る。
ほんわかムードの雰囲気に浸って、その後に訪れるちょっとしたサプライズ。


忘れられないものと繋がりをもって生きて行くこと。
奈緒子と巧のそんな想いに包まれて、加地君ほんとに幸せものだな。


読後、ふと思う。流れ星マシンの流星群、どのくらいの速度なのだろう。

2009年5月 4日 (月)

彩乃ちゃんのお告げ

彩乃ちゃんのお告げBook彩乃ちゃんのお告げ

著者:橋本 紡
販売元:講談社
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☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
素朴で真面目で礼儀正しくて。一見ふつうの5年生だけど彩乃ちゃんには、見えている。周りの人のちょっとした未来。うまくいかない相手と仲良くする方法。幸運をよぶ少女と迷える人たちのひと夏のできごと。注目の著者が描く優しいファンタジック・ストーリー。


彩乃ちゃんの不思議な力が、カップルやクラスメイトや夫婦の仲を取りもち、小さな幸せへと導く話。


第一話『夜散歩』

ファミレスのラブシートで彼と彼女の仲をとりもつ彩乃ちゃん。
路上ミュージシャンの幻想の件は、綺麗な映像が思い浮かびました。
例えるなら、真夏の夜の夢でしょうか。


第二話『石階段』

ひとつの事をやり遂げることの大切さをあらためて知る。
とっても地味ながら、ほっと一息つけ、爽快感がある話だった。
甘露の味がするお茶、飲みたくなりました。


第三話『夏花火』

これはよく在りそうな話。東京から越して来た子に対する憧れとやっかみ。
しかし、彩乃ちゃんはやっぱりお見通しだったんだな。
お祭りの屋台の富士山盛り焼きそば、食べさせてあげたかった・・・。


物語の舞台も東京都内、三重県伊勢市、東京郊外と移っているが別に関連性はないようだ。
どれも収まりのいい中編小説となっている。それぞれ三文字のタイトルがいいな。
で、彩乃ちゃんのは「お告げ」とありますが、可愛らしい「ささやき」でした。


2009年4月30日 (木)

空色ヒッチハイカー

空色ヒッチハイカーBook空色ヒッチハイカー

著者:橋本 紡
販売元:新潮社
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☆☆☆+


内容(「MARC」データベースより)
18の夏、憧れ続けた兄貴の背中を追いかけて、僕は何もかもを放りだして街を出た。兄貴の残した年代物のキャデラックに免許証。抜けるような青空。旅の相棒は、謎の美女・杏子ちゃん…。個性溢れるヒッチハイカー達の物語。


いろんな人を乗せて、いろんな出会いを経験してという、真っすぐな青春小説。
なもんで、オープニングから直球勝負でストーリーも前のめりになりながら、サラサラと読めます。


空色に塗装された1959年製キャデラックって半端なくデカイはず!


道中の相棒(?)となる杏子ちゃんに、手を焼きながらも従う羽目になる彰二。
弱冠十八歳のひと夏の想い出づくりと、出来過ぎたシチュエーションに先が読める展開。


あまり印象に残らないヒッチハイカーもいたりする。


彰二が、かつて兄貴と観た映画にまつわるエピソードについて語られる。
人が何かに触発される時ってのも、一寸したタイミングなんだろうな。


いやぁそれにしても、こんなに爽快感(←若さゆえ)のあるエンディングは久しぶりでした。


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