ツハ・津原泰水

2011年12月22日 (木)

11 eleven

11202252

☆☆☆ 著者:津原泰水 販売元:河出書房新社 発売日:2011/6/16

内容紹介
業界を震撼させた『綺譚集』から7年、津原泰水が贈る、待望にして究極の作品集がついに刊行。著者ベスト短篇との声も上がっている「五色の舟」を筆頭に、「11」の異界の扉が開かれる。

読後まず実感したことは、はっきりとした喪失感。ただそれは在るべきものに対してではなく、間違いなく享受出来るであろうという期待に対してのそれだ。

同系統の既出作品として『綺譚集』が宝石のような煌めきのある言葉で紡がれた傑作であったことから、自ずと同等いやそれ以上の恍惚感をもたらしてくれると確信していた。

それでも『五色の舟』『琥珀みがき』『キリノ』『クラーケン』『テルミン嬢』といったところは好きな話ではあった。

多くは冒頭からそのディテールは認識すれど、繰り返され重ねられる理論武装した乱雑な言葉によって読書意欲を半減させられたことも確か。


2009年6月16日 (火)

ピカルディの薔薇

ピカルディの薔薇Bookピカルディの薔薇

著者:津原 泰水
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
頑迷な男を襲う白昼夢。(「夕化粧」)人形作家の恐るべき新作。(「ピカルディの薔薇」)鳥を彩る伝説の真相。(「籠中花」)饒舌に語られる凄絶な食。(「フルーツ白玉」)稲生武太夫伝説への硬質なるオマージュ。(「夢三十夜」)未来を覗ける切符の対価(「甘い風」)猿渡の祖父が見た彼の幻の都。(「新京異聞」)江戸川乱歩、中井英夫の直系が紡ぐ、倦怠と残酷の悲喜劇。


表題作の『ピカルディの薔薇』、シャンソンのこの曲の歌詞にこんな淫靡な意味があったのか。


中でも気になったのが『籠中花』という「シーモンキー」が出て来る話。
これはある年代以上の人にしかピンと来ないワードだと思います。夢のある雑誌広告だったなあ。


表紙カバーの油彩画と装丁はわたしの敬愛する金子国義さんのもの。
この手の津原作品との相性もすこぶるいいのではと思います。


『夕化粧』、『ピカルディの薔薇』、『籠中花』、『フルーツ白玉』、
『夢三十夜』、『甘い風』、『新京異聞』の七編を収録。


各話ごとのエピソードがコラージュになっており、このエロティックでスノッブな世界を構築している。


ま、こういう傾向の本というのは好みのはっきりするところでしょうね。


2009年6月13日 (土)

たまさか人形堂物語

たまさか人形堂物語Bookたまさか人形堂物語

著者:津原 泰水
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
祖母の形見の零細人形店を継ぐことになったOL澪。押しかけアルバイトの人形マニア、冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、お店はそこそこの賑わいを見せていた。「諦めてしまっている人形も修理します」という広告に惹かれ、今日も傷ついた人形を抱えたお客がやってきて澪たちは東奔西走することに。チームワーク抜群の3人の活躍が始まる。


愛らしいイラストの表紙カバーに中扉の色紙など綺麗な装丁がいい。


人形を愛する主要キャラたちの書き込みが足りないのかな。
脱OL嬢、人形マニア、謎の職人、とくに容姿に関する部分が少ないように思う。


『ルピナス探偵団』シリーズのような魅力的なキャラたちの再現に期待したが。


で、どれも人形の持ち主とそれを修理する「玉阪人形堂」の面々の物語が主。
6編の短編が収録されており、まあ色んな人形たちが登場します。


最初、人形やぬいぐるみの修理に来る人たちの理由に対するミステリ的な・・・。
疑問や秘密やについてのアプローチの様子が興味深く読めたのですが。


その内、だんだん人形そのものの解説や背景にと、マニアックなエピソードに。


う〜ん。はじめの数編については好感触だったのになあ。
最後の話でのエンディングはある種、幻想的ですらあり著者の面目躍如です。

2009年6月 6日 (土)

蘆屋家の崩壊

蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)Book蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)

著者:津原 泰水
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
定職を持たない猿渡と小説家の伯爵は豆腐好きが縁で結びついたコンビ。伯爵の取材に運転手として同行する先々でなぜか遭遇する、身の毛もよだつ怪奇現象。飄々としたふたり旅は、小浜で蘆屋道満の末裔たちに、富士市では赤い巨人の噂に、榛名山では謎めいた狛犬に出迎えられ、やがて、日常世界が幻想地獄に変貌する―。鬼才が彩る妖しの幻想怪奇短篇集。


ホラー&ミステリといった塩梅の珍道中というのでしょうか。
次から次への展開にまるで過呼吸になったようだ。


はっきり、なんか読み辛いなということ。


本来、好きなはずのシニカルな台詞やメタファがすんなり入って来ない。
今回は移動中に読んだりして、気が散ってしまったとか・・・。


いやいやそんな筈はない。主人公たちのキャラとテーマが趣味に合わなかった。
豆腐はまだしも、蟹、鼠、虫、水牛・・・などといった面々に対峙するテンションになかったのだろう。


どうも不調でして。いつか再読すればまた違った読感を享受出来ると思うのだが。

2009年6月 1日 (月)

ブラバン

ブラバンBookブラバン

著者:津原 泰水
販売元:バジリコ
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆


内容(「MARC」データベースより)
1980年という醒めた熱狂の季節に、音楽にイカれバンドに入れあげるボーイズ&ガールズが織り成す、青春グラフィティ。クラシックの、ジャズの、ロックの名曲にのせ、総勢34名のメンバーが繰り広げる大群像劇。


「じゃけーのー」の広島弁。なんだかほんわかする台詞になるんだな。


巻頭からこんだけのメンバーの名前とキャラについての情報開示。
ありがたやと共に、覚えられんのかと気になりつつも、全くノープロブレムでした。


で、二十五年ぶりの再結成。ブラバンの楽器なんて普通集まらないだろう。


楽器で想い出したが、高校の時にフォークデュオを組んでいた。
休日に公園練習してると、デート中の先輩にひょっこり出会い、お約束通りギターを奪われ一曲。
彼女の前でイイかっこしたつもりが、明らかにわれわれの方が上手くてあの時は笑えた。


閑話休題。


顧問だった安野先生の人生に一体何があったのか。
彼女がずっと引きずって生きているその闇の部分の見せ方が上手いな。


本番でのステージよりも、練習やリハーサルでぐだぐだやってる時の方が断然楽しいのだ。
それにしても、このバンドの連中ののらりくらり加減というのは何なんだ。


過去のエピソードに再結成のドタバタが交錯しながら、明らかになる人間関係と秘密。
振り返ると他愛のない事でも、青春真っただ中においては全てが一大事だったんだな。


爽快感というのじゃないが、ささやかな充実感を得られました。


2009年5月20日 (水)

ルピナス探偵団の当惑

ルピナス探偵団の当惑 (ミステリー・リーグ)Bookルピナス探偵団の当惑 (ミステリー・リーグ)

著者:津原 泰水
販売元:原書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆+


内容(「MARC」データベースより)
女流詩人の死に立ち会ったルピナスの娘たち。一見不可能に見える殺人事件。仮説はことごとく破られる。真実を知っているのは犬だけ…なのか? ミステリ界の奇才が贈る「しっかりミステリーなのになぜかコミカル」な物語。


主要キャラたちの会話にセンスがあるので、単なる軽口にさえユーモアを感じる。
で、冒頭から犯人の名が告知されてる展開。いきなりこう来るか。


ここで紹介されるトリックについて細かな粗探しをしてはいけない。
そんな不文律すら存在するかの如く、小説としての面白さが確かにあるな。


決してそうではないのだけれど、そこはかと漂うスノッブな雰囲気がいい。


最後に関係者全員を集めての「さて」で始める謎解きシーン。
ミステリの王道とはいえ、そのまんま語り始めますか・・・って。


実は続編の方を先に読んでしまっていたのだが、新鮮なアプローチで楽しめました。


そして最後の最後・・・衝撃の一行かな、これも。


2009年5月14日 (木)

ルピナス探偵団の憂愁

ルピナス探偵団の憂愁 (創元クライム・クラブ)Bookルピナス探偵団の憂愁 (創元クライム・クラブ)

著者:津原 泰水
販売元:東京創元社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
高校時代から、「ルピナス探偵団」として様々な事件に遭遇してきた、三人の少女と少年一人。うち一人が二十五の若さで世を去った。そして彼女が死を前に造らせた、奇妙な小路の謎が残された…。第一話「百合の木陰」から時を遡り、卒業式を目前にして殺人が起きたルピナス学園で、彼らが受けた“祝福”を描く第四話「慈悲の花園」までを辿る。逆回しの時間が紡ぐ、少女たちの「探偵」物語。


仲の良かった同級生の葬式から始まるんだな。
既視感のある謎といい、「知的ミステリ」という呼称がしっくり来る気がする。


うーん。やはりこの著者の台詞と間のとり方、わたしに合うなあ。
キャラ設定にも独特の優雅さというかセンスを感じる。


文章のつなぎの上手さには、あの傑作本を読んでいるときから惹かれていました。


「科学的捜査が抜けられない迷宮を、論理がするりと突き抜けてしまう」という件。
なるほどと、よく判らんながらに納得してしまうわたしです。


何かメルヘンチックな感傷に浸るストーリーだな。不思議な気分にさせられる。
連作短編四話です。


前作のルピナス学園時代のパートを読むのが楽しみです。


2009年4月17日 (金)

綺譚集

綺譚集Book綺譚集

著者:津原 泰水
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆☆


出版社/著者からの内容紹介
孤高の異才が奏でる幻視文学の究竟!『ペニス』他の長篇で、幻想の新境地を拓き続けてきた異才の、もう一つのマスターピース。甘美で凶暴な幻想に満ちた、驚嘆すべき十五の綺譚。収録作「約束」他は伊・国際アンソロジーにも収録!


信じられない位に研ぎすまされた言葉で語られる。
悪魔の囁きや天使の憂鬱といったもろもろの装飾を纏いながら。


時にホラー、時にエロス、時にミステリ、そしてイリュージョンの世界へ。


『天使解体』や『黄昏抜歯』などタイトルから伺える通り、精神と物質の崩壊へといざなうストーリーテラーの役目を果たす作品センス。


生と死、歓喜と苦悩、正気と狂気を紡ぐのは気高い美学にほかならない。


なかでも『玄い森の底から』に見られる絶望すら超越したそれを描いた樣はまさに奇蹟としか言いようがない・・・と思う。


期待を裏切るかの如く突然迎える終焉、前後の脈絡なしに飛翔する思考回路。
全身麻酔にかかったような文体に居心地の好さを覚え、そこから抜け出せずにいる不思議な感覚。


読むほどにスタイリッシュな臨死体験(そんなものがあれば)を味わえる綺譚本なのだ。


読書メーター

  • mizzoの今読んでる本

最近のトラックバック

最新ニュース

参加しています

  • にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
  • にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
  • blogram投票ボタン
  • 人気ブログランキングへ

mixi

  • mixi(ミクシィ)やってます!
2018年1月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー

無料ブログはココログ