サク・桜庭一樹

2009年11月22日 (日)

製鉄天使

製鉄天使Book製鉄天使

著者:桜庭 一樹
販売元:東京創元社
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☆☆☆


内容紹介
レディース〈製鉄天使〉を結成し、中国地方にその名を轟かせた伝説の女、赤緑豆小豆の唖然呆然の一代記。里程標的傑作『赤朽葉家の伝説』のスピンアウト長編、全貌を現す!

『赤朽葉家の伝説』というバックグラウンドを知らずに読むと、この不思議な能力を発揮する主人公小豆のキャラを理解出来ないのでは。それとも、単に薄っぺらなレディース青春記として認識されるだけかも。そんな余計なことに気を回しつつ、今回もあっという間に引き込まれました。

小豆とタケルの武器談義には笑った。こんな調子でデートしてんのかなるほど。
がしかし、スピンオフっていう割りに元ネタのストーリーをそっくりおさらいしてる。毛毬(改め小豆)の活躍するパートをいいとこ取りして噛み砕いてみましたという感じだな。果たして一粒で二度おいしい話なのでしょうか。

妹分のスミレとの「えいえん」の世界。やがて儚い楽園「えいえん」は一瞬となった。この二人のメンタリティには読んでいてゾクッとするものがありましたね。そして揃って口下手の小豆とスミレの伯父が、百日紅の木の下で会話するシーンにはホロリとする。ちょっと嬉しかったラストのサプライズはおまけです。

2009年7月 1日 (水)

赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説Book赤朽葉家の伝説

著者:桜庭 一樹
販売元:東京創元社
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☆☆☆+


出版社 / 著者からの内容紹介
「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。2006年を締め括る著者の新たなる代表作、桜庭一樹はここまで凄かった!


三代に渡る女たちの奇妙な大河ロマン、ホラー、ミステリという体裁の物語なのだが。
舞台となる山陰地方の村にもちゃんとモデルがあるらしく、なかなかリアリティのある描写ですね。
と思ったら、著者の故郷もこの地方だということで・・・。


まず「山の人」である万葉の出生と赤朽葉家に嫁ぐまでのエピソードが語られる。
それは伝説と言うに相応しい話であり、おどろおどろしい雰囲気と共に心優しいこの大女の魅力が分かる。


第二部になると、物語の主役は毛毬をはじめ子供たちに移行し、ポップな時代背景とそれにたがわぬエピソードが目白押し。


この毛毬の青春のパートがメチャメチャ面白い。ぱらりらとバイクで疾走する毛毬姉ちゃんの勇姿。
いじめや学校教育の問題もさらりと取り上げ、またその対処法も納得のいくもの。


可憐な少女にガサツでいてキュンと来るような台詞を喋らせる著者の上手さ。


いきなり幽霊らしき女なんか普通に出て来てこれがまた笑えたり(←怖かったり)する。
こういうセンスってのはこの著者ならではの茶目っ気だとわたしは思う。


赤朽葉家の兄妹たちのキャラとそれを取り巻く環境。まったく面白いったらありゃしない。


第三部ではようやく時間軸も現代になり伝説がら現実へとワープしたようにストーリーも落ち着く。
孫娘の瞳子が殺人に遭った人を捜す謎解きミステリへと方向転換していく。


随所に伺えるユーモア(←時にブラックな)あふれる会話のやりとりには今回も笑わせてもらいました。
全編を通して感じたことは家族をはじめ、親族、恋人、友人など人の優しさというものが根底に流れているということ。


二段組みで読み応えがあり、なおもっと読んでいたいと久々に思った本でした。


2009年4月 4日 (土)

少女には向かない職業

少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)Book少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)

著者:桜庭 一樹
販売元:東京創元社
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☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
島の夏を、美しい、とふいにあたしは思う―強くなりたいな。強くて優しい大人になりたい。力がほしい。でも、どうしたらいいのかな。これは、ふたりの少女の凄絶な“闘い”の記録。


女子中学生が主人公ということもあり、ほんわかとして不思議な感覚で物語に引き込まれる。
冒頭からサクサクと読みやすい文章はラノベ出身の著者だからか。


殺意を抱く→罠を仕掛ける→殺人を遂行する この三段論法からなる物語。
それほど単純でもないけどそんな感じ。


この小説の魅力も葵と静香のキャラに依存するところが大きいかな。
二人とも二面性があり、ダークネスな精神構造を持ち合わせているみたいだ。


告白の章だけ楷書体っぽい文字になっている。こういう手法には好感がもてますね。
手記を読んでるみたいで。


どこまでが本当のことなのか、静香の素性や助けを求める話に信憑性がない。
そして、とうていありえない殺人方法を提案するなど十三歳丸出しの稚拙さ。


こういった儚げな殺人者という設定が最期にチームワークとして凄みをみせる。


少女であるが故に構築される恐怖もどこか夢想的な世界観に溢れている。
そこが全体を通して統一性のある雰囲気づくりに役立っているのかもしれないな。


こういうエンディングは唐突ながらこのストーリーに相応しい終焉ですね。


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