ヤナ・柳 広司

2015年2月15日 (日)

ラスト・ワルツ

9784041021378

☆☆☆+ 著者:柳 公司 販売元:角川書店 発売日:2015/1/16

内容(「BOOK」データベースより)

疾走する特急車内、仮面舞踏会、ドイツの映画撮影所加速する頭脳戦、ついに最高潮へ!世界各国で展開する究極の騙し合いに生き残れ。日本最高峰のスパイ・ミステリ。

スパイなら当然の所作であろうがやはり読むたびに新鮮さを覚える神経質なほどの用心深さ。

いきなりスリリングな予感をさせる『アジア・エクスプレス』での列車内劇。

ソ連のスパイ機関「スメルシュ」の名が出てくる。かの007シリーズでおなじみの対スパイ殺人機関。「黒い衣装」というのが引っかかると思ったら重要なキーワードとなっていました。

あばずれ娘は貴族の子息。そして彼女の危機を救った若き軍人。いつかの再会を約束して別れる。まるで古いメロドラマそのものの展開。豪華絢爛で華やかなる『舞踏会の夜』に酔いしれる。

そんな「あの人」を思慮する顕子の心情。そして我らが結城大佐の影と彼が果たした役割とは・・・。ああ、全てが粋でスタイリッシュな空間描写の中の出来事!

最後の中編『ワルキューレ』の中に出てくる「国家が文化に関わるとろくな結果にならない」というスパイ雪村の吐いた言葉はこの現代でも生きている。

映画『ジョーカー・ゲーム』の宣伝をバンバン垂れ流している時期を見越した上で「映画の中のスパイ」とは違うという、ある意味映画版を茶化した台詞なんぞグッと来ましたね。

終盤のどんでん返しに至っては最早、著者による「名人芸」の世界というべきなのか・・・。

2013年5月27日 (月)

ロマンス

Romance011

☆☆☆ 著者:柳 広司 販売元:文藝春秋 発売日:2011/4/10

内容(「BOOK」データベースより)

ロシア人の血を引く子爵・麻倉清彬は、殺人容疑をかけられた親友・多岐川嘉人に上野のカフェーに呼び出される。華族社会で起きた殺人事件と共産主義活動家の摘発。そして、禁断の恋。退廃と享楽に彩られた帝都の華族社会で混血の子爵・麻倉清彬が辿りついた衝撃の真実。

これは見方によっては『ジョーカーゲーム』の序章とも取れなくはない。混血の子爵、麻倉清彬が「魔王」を彷彿させるエピソードを垣間見せる。

なかなか時代考証にも長けたストーリーなのでスラスラと読めてしまう。なので結構肝心なトラップなんか見過ごしたりも。

ただ「ミステリ」というカテゴリーで読んでしまうと大時代的なトリックやアリバイ、はたまた犯人の動機といった部分に物足りなさを感じる事必至です。

長年遣えた執事や運転手など戦前の「貴族社会」の様子が自然に盛り込まれ、また彼らのキャラが実にいい。そういう楽しみ方もありますね。

2013年5月 6日 (月)

キング&クイーン

06216223

☆☆☆ 著者:柳 広司 販売元:講談社 発売日:2010/5/26

内容説明

話題作「ジョーカー・ゲーム」を凌ぐ頭脳戦六本木のバーで働く元SP冬木安奈のもとにチェス世界王者アンディ・ウォーカーの警護依頼が舞い込む。依頼者は「アメリカ大統領に狙われている」というが……

冒頭のバーでの世俗的な会話などすんなりストーリーに入れます。がしかし、読みやすさというか多少の違和感を覚えるのも確か。

元SP安奈と元チェス世界王者のアンディのキャラがもう少し立ってればなぁ…という残念なシーンが随所に出て来た。

『ジョーカー・ゲーム』シリーズで馴染んだスリリングな展開を味わえるものと期待していたが、やはり短編とは勝手が違うのかといったところ。

タイトルの意味が終盤になりわかるもいまいち弱い感はぬぐえません。まぁ、ほんの数時間で一気読み出来たのが良かったところか(笑)

2013年4月 5日 (金)

パラダイス・ロスト

9784041101384

☆☆☆☆ 著者:柳 広司 販売元:角川書店 発売日:2012/3/24

内容紹介

異能のスパイたちを率いる魔王”――結城中佐。その知られざる過去が、ついに暴かれる!? 世界各国、シリーズ最大のスケールで繰り広げられる白熱の頭脳戦。究極のスパイ・ミステリ!

最初の『誤算』を読み終えてまず感じたのが、前作までにあった「D機関」の重厚で凄みのある雰囲気が薄らいだこと。今回の任務の性格上かと思ったがどうも違うな。外国人の持つ日本人に対するイメージが端々に伺えその解釈に感心する。

いきなりドラマチックな掴みで引き込まれる『失楽園』は、D機関の本領発揮かという大仕掛けの罠。まさかそれはないだろう、と言えないところが凄い。「シンガポール・スリング」の甘い香りが漂って来る錯覚にとらわれた。

ついに「魔王」結城中佐の生い立ちが明かされるのか、という期待に心逸らせた『追跡』だが、ストーリーの中心となる英国人特派員や謎の鍵を握る人物など、二重三重の楽しみ方が出来る仕掛けがいい。

豪華客船による優雅な船旅を予想していた『暗号名ケルベロス』。いきなり冒頭から迫力満点の鬼気迫る地獄絵図に呆然。船上で起こるハプニングや暗号名の持つ意味まで様々なフックが仕掛けられ、D機関スパイ内海の人間性も相まって読み応え充分。

2009年9月 4日 (金)

ダブル・ジョーカー

ダブル・ジョーカーBookダブル・ジョーカー

著者:柳 広司
販売元:角川書店(角川グループパブリッシング)
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
結城中佐率いる“D機関”の暗躍の陰で、もう一つの秘密諜報組織“風機関”が設立された。だが、同じカードは二枚も要らない。どちらかがスペアだ。D機関の追い落としを謀る風機関に対して、結城中佐が放った驚愕の一手とは―。表題作「ダブル・ジョーカー」ほか、“魔術師”のコードネームで伝説となったスパイ時代の結城を描く「柩」など、5編を収録。吉川英治文学新人賞&日本推理作家協会賞W受賞の超話題作『ジョーカー・ゲーム』シリーズ第2弾、早くも登場。


『ダブル・ジョーカー』

これは初出時のタイトル『敵手』の方がしっくりくる気がするな。単行本化にあたって前作からのイメージでこうなった事は想像に難くない。と思う。しかし初っぱなから結城中佐の迫力には恐れ入りました。


『蠅の王』

いきなり漫才の掛け合いから入るので、ちょっと面食らってしまう。心理トリックというべき狐と狸の化かし合いが繰り広げられます。野戦病院の騒々しさなんかが上手く雰囲気をつくっています。


『仏印作戦』

わたしはこの話が一番良かったかな。ハノイのゆる〜い空気が伝わって来て恐らくそうかなと思っていた大筋のどんでん返しも的中しました。のんべんだらりとした昼と豪華絢爛魑魅魍魎の夜の顔の対比が面白い街。


『柩』

結城中佐のスパイ時代の描写(←魔術師です)がチラと出てくる。むしろそこを光らせるために用意されたストーリーだったのかも知れないな。あと悪名高きゲシュタポは知っていましたがアプヴェーアという組織は初耳でした。


『ブラックバード』

スパイとはこうも大掛かりな舞台装置を必要とするのか・・・人も愛も血縁さえも欺いて。なんてセンチメンタル色の強い話ですが「決定的な何か」というワードにはすぐにピンと来ました。


今回もそうでしたが、全編に漂う軍国日本のデカダンスな部分に呼応するかのようなモダニズム思考のD機関の独自性。やはりこの雰囲気にのめり込んでしまうな。


表紙腰巻きに『ジョーカー・ゲーム』を凌ぐ興奮度。とありましたが、同じくらいでしたね。勿論、充分に楽しめましたという意味で。

2009年3月16日 (月)

ジョーカー・ゲーム

ジョーカー・ゲームBookジョーカー・ゲーム

著者:柳 広司
販売元:角川グループパブリッシング
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆+


内容紹介
スパイ養成学校“D機関”。常人離れした12人の精鋭。彼らを率いるカリスマ結城中佐の悪魔的な魅力。小説の醍醐味を存分に詰め込んだ傑作スパイ・ミステリー。


コピーにあるように「最高にスタイリッシュなスパイ・ミステリー」とは。
やはりこういう小説のことを言うのだろうか。


結城中佐なる人物が陸軍内にスパイ養成学校を組織する。
ネーミング的には「D機関」と呼ばれる。というか呼ぶ。インテリの生徒たち。


最初のパート『ジョーカー・ゲーム』では設立のイデオロギーなどについて。
チェスで盤面の駆け引きから情報の手がかりを探る『幽霊 ゴースト』。


ロンドンでの「目も当てられない失敗」から敵に捕らわれる。
そこから脱出サスペンスがハラハラドキドキな『ロビンソン』。これは面白い。


デカダンな『魔都』上海を舞台に憲兵隊内のスパイ捜しと腐敗の様子がわかる。
女によりスパイの本分を見失う情けない話となった『XX ダブル・クロス』。


劇画やドラマ化になったらアタリそうな本だと思う。シリーズ化が楽しみ。


ひとつガジェットに甘いところが気になった。


時代考証からみて辻褄合いませんなものが出て来る。分かる人には分かるはず。

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