オカ・小川勝己

2010年11月21日 (日)

イヴの夜

イヴの夜Bookイヴの夜

著者:小川 勝己
販売元:光文社
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☆☆☆+

内容(「BOOK」データベースより)
すべてのものを失って、初めて出会える人がいた。コミュニケーション不全をテーマに描く著者が、追いつめられた果てと、その向こう側を描く。

似た者同士、誤解が誤解を招く、そういった妙なことが重なってとんでもない事件になるんですね。その辺りリアリティのあるストーリーだなこれは。

うーん。それにしても麻由子が刺されたあとの描写、あまりにも切なく、このストーリーの中で一番光っている所ですね。

ひとみが働くデリヘルの事務所の描写、あの村上龍『トパーズ』を読んだ時の感覚が蘇りました。独特の頽廃感と生命力の巣窟みたいな。

そして血なまぐさい事件を経て、ラスト一行の最後の言葉に希望がもてるんですね。思ったより悪くないエンディングでした。

2010年5月13日 (木)

純情期

純情期Book純情期

著者:小川勝己
販売元:徳間書店
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☆☆☆☆

内容(「BOOK」データベースより)
それは、瑠璃子先生の真っ白な脚線を見た瞬間から始まった。中学二年・日高優作、やんちゃな下半身をもてあます思春期。おっかない体育の女先生にのぼせ上がった優作は、とつぜん体操部に入部する。熱病が本物の恋へと姿を変えたとき、お気楽だった毎日は重苦しい日々へと暗転、そして事件が―。

まさに「甘酸っぱい爽やかさ」が堪能出来るストーリーでした。しかも著者があの小川勝己というのだから驚きです(!)俗にいうところの新境地なのか。これまでのエグイ暴力描写と血なまぐさいプロットとは真逆に位置する純情青春ドラマって…ある意味サプライズでした。

で、話はというと…これが古典とでも言うべきストレートな学園ドラマなんですね。勿論、主人公の日高くんや瑠璃子先生というキャラは今風にアレンジされていますが、昭和の「◯◯男だ!」とか「◯◯青春!」といったTVドラマで体験したエピソードがダブって見えました。がしかし、ページを捲る手が止まらん(!)。

中学校の放課後と部活を舞台にした、狭い世界と時間の中で繰り広げられる青春グラフィティです。そして分ってはいても、つい作中に入り込んで熱くなってる読者の自分がいる。そんな一読で二度おいしい、底抜けの明るさとちょっぴりの切なさが共存する、大人の鑑賞に堪えうる純情ドラマです。ああしんど。


2010年5月 3日 (月)

眩暈を愛して夢を見よ

眩暈を愛して夢を見よ (角川文庫)Book眩暈を愛して夢を見よ (角川文庫)

著者:小川 勝己
販売元:角川書店(角川グループパブリッシング)
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☆☆☆

内容紹介
失踪した元AV女優にして、高校時代の憧れの先輩・柏木美南を追いかけていた須山は、調査を進めるうちに彼女の悲惨な過去を知る。

啞然呆然の柏木美南の本性というかその正体(!)。ここまで救いがたい女性キャラというのも久しぶりな気がする。職業として見るAV女優の彼女と、噂で耳にする高校時代の彼女の痴態…。行為そのものよりもイマジネーションの中で美化していたものが崩壊していく。

で、そんな美南が小説を書いていて、その作品がいくつか掲載されている。批評なんかもあり、こういうのもアリなのかというより読んでて面倒くさいな。おお(!)そうこうしてる内に脚本まで出て来た。ここで集中力が一旦切れました(笑)。

そうは言ってもその後明らかになる彼女に訪れる不幸な事件。いくら本人が自堕落な生活を送っていたいたとはいえ、これは災難意外の何者でもない。そして彼女に憧れていた主人公須山の情けなさと周囲の交遊関係。意外とその辺りがこのストーリーに奥行きをもたらしていたのか…。

2010年4月29日 (木)

撓田村事件―iの遠近法的倒錯

410126451109mzzzzzzz_2撓田村事件—iの遠近法的倒錯 (新潮文庫)
著者 小川 勝己
販売元 新潮社
定価(税込)
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☆☆☆

内容(「BOOK」データベースより)
岡山県の山間の集落・撓田。東京から転校してきた中学生が惨殺され、連続猟奇殺人事件の幕が上がる。犠牲者は皆、土地の権力者・朝霧家の関係者。遺体の下半身は、噛み千切られたような傷を残して失われていた。惨劇は、三十年前に撓田を震撼させた忌まわしい出来事の再来か、あるいは朝霧家への復讐なのか―。鬼才・小川勝己が横溝正史へのオマージュをこめて放つミステリの雄編。

少〜しずつ事件の輪郭が見えて来るのかと思いきや、そうではないんですねぇ。大昔に起きた事件やら伝説じみたことがごちゃ混ぜになり、判りにくい(!)この村に戻って来た刑事や、謎めいた探偵や、事件の渦中にいる中学生などなど、主役級がズラリです。で、誰が主人公なんだ…。

子どもに対して、子どもの部分をあげつらって(多少、意地悪く)指摘する大人。こういう人はホント居なくなったなあ。探偵さんが珍しく真剣に話すこの描写は何だかスカっとしましたね。それまで事件と村の雰囲気がやたらじめじめした物だっただけにです。そして、曰くつきの女たちが少女から老婆まで出て来る。彼女たちの事は不思議とイメージ出来ましたね。角川映画なんかで見たキャラか(?)。

とにかく結構なボリュームでした。事件が次々に起こり、殺人が繰り返されるのだが、どこか牧歌的な印象が拭えないな。それなりに緊張感もありますが、続かない。で、過去ネタをひも解いて家系図めいた謎が明かされていく…。「iの遠近法的倒錯」というサブタイトルの意味が解説されているが、理解不能。まぁ、変人探偵さんがいい味出してたのが救いかな。

2010年4月17日 (土)

葬列

葬列 (角川文庫)Book葬列 (角川文庫)

著者:小川 勝己
販売元:角川書店
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☆☆☆+

出版社/著者からの内容紹介
――これが私たちの戦争なんです――横溝正史賞大賞受賞作!
社会にもてあそばれ、運命に見放された三人の女と一人の男。逆転不能の状況のなかで、負け犬たちは、とっておきの作戦を実行した。果てなき欲望と本能だけを頼りにして――。

この著者の本はこれが四冊目です。で、これまでで一番フィットしたかも。プロットやキャスティングがいつも面白いなと思っていたが、その一方グロい描写が多いのに閉口していたのも事実。その辺のバランス感覚が今回のは絶妙でした。これがデビュー作だったというのにも驚き(!)。

おばさんがテロリスト化したり、情けなさすぎる若いヤクザの挙動など笑いどころも満載された、非日常的なエンターテイメントにどっぷりと浸れます。いやいや、今のご時世なら決してありえない事でもない…ありえる。そして強烈なインパクトを与える、サバイバルゲームのキャラみたいなこれまた非現実的な女もいる。

解説で列記されている、いろんな小説や映画にインスパイアされて書かれたのが本書みたいだ。単にいいとこ取りのつなぎ合わせに終わらず、なるほどパクリの面白さも随所に散りばめられていますね。500ページ以上のボリュームですが、程よいスピード感で一気読みさせられました。

2009年4月27日 (月)

この指とまれ GONBEN

この指とまれ  -GONBEN-Bookこの指とまれ -GONBEN-

著者:小川 勝己
販売元:実業之日本社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
美貌の女子大生・椙浦夏子は、稼いだバイト代全てを貢いだ恋人を、社長令嬢・日ノ原麗華に奪われた。「お金持ちになって、あのふたりを見返してやる!」と誓う夏子は、大学の同級生で体育会スキー部に所属する鹿沼歩、父親が会社で不正を働いて逮捕されたスキー部の後輩・吉田博貴、夏子がバイト先のキャバクラで知り合った長谷川夏樹らを仲間に加え、詐欺グループを結成する。学生サークルのノリでカモを騙す計画を練る彼女たち。数多の犯罪の成功に味をしめ、より大物をターゲットに定めるうちに、いつしかヤクザや警察を敵にまわすことになって…。狐と狸の化かし合い。悪魔は誰に微笑むか。


ひい〜ぃぃぃ・・・骸骨がデフォルメされた表紙カバーがエグい。


で、ストーリーもそれに劣らず狐と狸の化かし合いといったドロドロの青春残酷物語・・・と期待していましたが、この著者の初期作品と比べると大人しめでした。


この詐欺集団のチームワークなんか、個々に勝手気ままやってるようでいて、そのじつやるときゃやるといったハラハラさせる素人な奴ら。


罠にかけたと思ったら、そいつが同じ罠を他の奴にかけられていて・・・といった具合でプロット自体に目新しさもなかったし。


男ども女どものキャラの書き込みもイマイチかな。


ただ、全体にどんよりとした空気というか雰囲気が漂っている。
それは諦めの境地というか絶望感というものかな、それのよどみ加減がよかった。

2009年3月10日 (火)

まどろむベイビーキッス

まどろむベイビーキッス (角川文庫)Bookまどろむベイビーキッス (角川文庫)

著者:小川 勝己
販売元:角川書店
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☆☆☆


出版社 / 著者からの内容紹介
嘘、いじめ、そして孤独――。悪意うずまくキャバクラ、ベイビーキッスで働く女性たち。彼女たちの哀しいまでの狂気を描いた戦慄のクライム・ノベル!


西東京市にある「ベイビーキッス」でのキャバ嬢たちのいがみ合い。


プロローグの女子高生二人のやりとりが笑える。
この後どういう伏線になっているのか楽しみにしていたのだが。


第一部
みちるに留美にケイに優菜に典子にあかりに・・・。
キャストたちの派閥にイジメに嫌がらせ。お決まりのフルコース。


みちるのサイトが「荒らし」にやられた。
三ページ半にわたって埋め尽くされた「死ね」の文字。


第二部
このアリバイづくりは最初から意味ないと思っていたら。
みちるの実家の父母もなかなかやってくれます。一枚上手だな。


第三部
まさかこんなトリックが隠されていたとは。えっ、どゆ意味?
ここは著者に一杯食わされた。


しかし、殺人に至る理由というのがこんなんでいいのか。


結局、店の見取図を掲載するほどのこともなかったのに。
道具そのものの描写説明より突撃シーンに期待してたのになあ。


エピローグ
冒頭の女子高生再登場。こんどはひとり。で予想通りのエンディングだ。

2009年3月 1日 (日)

彼岸の奴隷

彼岸の奴隷 (角川文庫)Book彼岸の奴隷 (角川文庫)

著者:小川 勝己
販売元:角川書店
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☆☆☆+


出版社/著者からの内容紹介
ありとあらゆる罪悪が襲いかかる狂気のエンタテインメント!
手と首を斬りおとされた女の死体が発見された。捜査一課の蒲生は、所轄の悪徳刑事・和泉と組み、捜査を開始する。だが、被害者と和泉が過去に関係があったことが判明し…。衝撃のクライムノベル、待望の文庫化。


首を切り落とされた女の死体。すべての悪夢はそこから始まった。悪徳警官、インテリヤクザ、その変質的な人物描写には、怖いもの見たさに似た扇情感を覚える。まったく、悪くてイカれてる奴らがある意味魅力的ですらあるのが。


それは重要な役割を果たす二人の女たちにも言える。病的に歪んだ「愛」というものの幻想にすがる刹那的な行動。D.リンチの『ブルーベルベット』を観た時に覚えた戦慄に近いものを感じた。


メインストーリーから外れ、ある人物の過去の事件を暴いていくパートなど、優れたミステリ要素もあるのだが、悪人キャラたちのアクの強さにかすみそうだな。強烈なバイオレンス&エロスの描写。言ってしまえばその連続で構成されているシナリオ。


読後感は背徳のエンターテイメントでしょうか。以前、書評で絶賛されていたので手にとったのだが、しばらくこの手の本は読む気になれないな。

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