オク・奥田英朗

2015年2月26日 (木)

ナオミとカナコ

9784344026728

☆☆☆+ 著者:奥田英朗 販売元:幻冬舎 発売日:2014/11/11

内容(「BOOK」データベースより)

ナオミとカナコの祈りにも似た決断に、やがて読者も二人の共犯者になる。望まない職場で憂鬱な日々を送るOLの直美。夫の酷い暴力に耐える専業主婦の加奈子。三十歳を目前にして、受け入れがたい現実に追いつめられた二人が下した究極の選択。「いっそ、二人で殺そうか。あんたの旦那」復讐か、サバイバルか、自己実現か。前代未聞の殺人劇が、今、動き始める。比類なき奥田ワールド全開!

帰って来たクライム・ノベルの奥田ワールド!今回は二人の女性が主人公となるのだが、かつての脇役・敵役にみられた「生理的にも嫌悪感を覚える」というような人物はいない。

ストーリー自体はすでにネタバレしているのだが、究極の選択ミッションを遂行するまでと、そこから完全犯罪成立なるかというスリリングな展開を楽しむ趣向でしょうか。

「ナオミの章」と「カナコの章」と進んでいくのだが、ストーリー上その時点で精神的に強い方の名前が冠されています。計画遂行前のナオミの強気と遂行後のカナコの精神力アップという具合。

いよいよ警察が動き出す終盤、二人のとった行動は。そして真相究明に執拗に絡んでくる(まぁ当然ですが)カナコの義妹の存在!ラストの一行まで果たして二人はどうなるのかと引っぱります。

自分が共犯の一味となって一緒に逃げている感というのは、やはり「女性読者」限定で響くものなのでしょうか。

表紙イラストどちらがナオミでどちらがカナコだろうか。カバーを外すとその答えが分かった。

2013年5月16日 (木)

沈黙の町で

9784022510556

☆☆☆+ 著者:奥田英朗 販売元:朝日新聞出版 発売日:2012/2/7

内容(「BOOK」データベースより)

中学二年生の名倉祐一が部室の屋上から転落し、死亡した。屋上には五人の足跡が残されていた。事故か?自殺か?それとも。被害者家族や加害者とされる少年とその親、学校、警察などさまざまな視点から描き出される傑作長篇サスペンス。

新聞書評をはじめ、おのずと目にした読者批評から読後感の悪さ、陰湿な毒気など概ねネガティブなイメージが出来上がっていました。

で、いざ読み始めるとそこは従来の「奥田ワールド」が繰り広げられ(シリアス路線の方)、ぐいぐいとストーリーに引きずり込まれます。そこには妙な安心感が…。

クラスメートとのつき合い方、いや、馴れ合い方と言うべきか。そんなひとつひとつのエピソードがリアリティ豊かに描かれています。

当然の事ではあるが加害者家族と被害者家族の温度差、そして子供たちの心理状態が上手く描かれてるなぁ、と感心することしきりです。

まぁ、随分とノンフィクション寄りの作品になったもんだと思いましたが、脇目も振れさせずに読ませる著者の筆力には…ああ、次回作が待ち遠しい。

2013年1月16日 (水)

噂の女

12068769

☆☆☆☆ 著者:奥田英朗 販売元:新潮社 発売日:2012/11/30

内容(「BOOK」データベースより)

中古車店に毎晩クレームをつけに通う3人組、麻雀に明け暮れるしがないサラリーマン、パチンコで時間をつぶす失業保険受給中の女、寺への寄進に文句たらたらの檀家たち。鬱屈した日々を送る彼らの前に現れた謎の女・美幸。愛と悲哀と欲望渦巻く連作長編小説。

1話目を読み始めてすぐに引き込まれる。閉塞感のある地方都市で働く面々。会社の上司と部下、同僚。

巻頭の数話は同じ様なシチュエーションで同じ様なストーリーが展開される。がしかし、見て来たようなリアリティさが何とも気持ちいい。

そして主人公たる「噂の女」美幸の輪郭がじわじわと焙り出されていく。この辺りの人づてに情報を得る過程が楽しめるのも連作長編小説の醍醐味(!)

中でも圧巻なのが「柳ヶ瀬の女」。貧乏家族から脱皮を図ろうとする女にチャンスを与える美幸の存在感には凄みすら覚えます。

すべての話の災いの中心となる魔性と謎に包まれた美幸のキャラ。そして大胆不敵なその行動には喝采を贈りたくなる。

これ続編来るな、という期待と満足感に包まれ読了。

2011年10月 1日 (土)

我が家の問題

我が家の問題 Book 我が家の問題

著者:奥田 英朗
販売元:集英社
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☆☆☆☆

内容紹介
平成の家族小説シリーズ第2弾!
完璧すぎる妻のおかげで帰宅拒否症になった夫。両親が離婚するらしいと気づいてしまった娘。里帰りのしきたりに戸惑う新婚夫婦。誰の家にもきっとある、ささやかだけれど悩ましい6つのドラマ。

いきなり有りがちな話の『甘い生活?』です。タイトルに反して切なくなる。新婚夫婦ならみんな経験してるのか(笑)『ハズバンド』のように妻が夫を労るようなシチュエーションを描かせたら流石の著者だなあ。思いやる女心というのが実に伝わるのだ。

『絵里のエイプリル』では子供も高校生くらいになると充分しっかりしているという事。まさに今どきの時勢に合ったテーマでした。ひとつ間違うと危ない話になりそうな『夫とUFO』ですが、ラストのファンタジーなシーンでほっとさせられた。

『里帰り』では夫婦各自の実家でのぐだぐだ具合が可笑しいしリアルだ。そして最後に鼻の奥がツンと来た。『妻とマラソン』ってつい著者の家庭の事かと想像してしまう。夫婦間の絆を再確認させる、これもいい話です。

しかし夫にはUFO、妻にはマラソンをくっつけるあたり、著者のセンスが光ってるな。どういう事かというと、読んでみればほっこりして納得しますから。全6編。

2011年6月26日 (日)

純平、考え直せ

純平、考え直せ Book 純平、考え直せ

著者:奥田 英朗
販売元:光文社
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☆☆☆+

内容(「BOOK」データベースより)
坂本純平、21歳。新宿・歌舞伎町のチンピラにして人気者。そんな純平が組長から受けた指令、それは鉄砲玉(暗殺)。決行までの三日間、純平は自由時間を与えられ、羽を伸ばし、様々な人びとと出会う。約一年半ぶりの滑稽で哀しい最新作。

歌舞伎町こそ自分の居場所だと実感するチンピラやくざの純平だが、本人のキャラも相まってかカラッとした空気にまとわれた読み心地の良さ。いわゆる鉄砲玉が実行前の三日間を色んな人との出会いとトラブルを介してどういう顛末となるのか。

純平の頼りなくも侠気にあふれるアンちゃんキャラというのも、お約束の活躍ぶりというか、思っていたよりまともでやや拍子抜けしましたね。奥田作品だけにもっと病んだ規格外の部分が見れるかなと期待していたのですが。

そして純平の行動への賛否が書き込まれる携帯サイトの役割が、今どきの臨場感をあおります。無銭飲食常習犯の大学教授や刹那的なはっちゃけOLや純平と兄弟盃を交わすテキ屋の若手やくざなどなど、それなりに役所をしっかりと押さえた面々がこの三日間を支えます。

正直、えっ、これで終わり(?)という気がするエンディングでした。こういう結末なら必然的に続編への期待がたかまりますね。きっとあるかも。

2010年4月16日 (金)

港町食堂

港町食堂 (新潮文庫)Book港町食堂 (新潮文庫)

著者:奥田 英朗
販売元:新潮社
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☆☆☆

内容(「BOOK」データベースより)
N木賞受賞でさらに多忙に、もっとワガママになった自称“品川イチの偏屈作家”を待ち受ける受難の数々。毒舌炸裂、阿鼻叫喚、トドメに感涙必至の紀行エッセイ。

旅のエッセイというものは他人から見たら詰らない事でも、当人にとっては随分ドラマチックな体験として記憶に擦り込まれるのだろうな。港町で地元の食堂やスナックを食べ歩き飲み歩きの役得リポートといった様子です。

で、漁港で口にする魚の美味しさの表現がどうも一本調子というか、「食のエッセイ」を本職にする人なんかと比べるとやはり素人くさい。どこの港でも同じような表現ですね。食べてる魚は違うのに(笑)。

それよりも、スナックで知り合うママやホステスたちとの人情味あふれる描写の方が著者本来の持ち味ですね。目的地には船で上陸しなければならない…っていう企画にそれほど意味があるとは思えないが、全編に漂う黄昏感みたいなものは伝わってきました。

2009年12月29日 (火)

無理

無理Book無理

著者:奥田 英朗
販売元:文藝春秋
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☆☆☆☆

内容紹介
人口12万人の寂れた地方都市・ゆめの。この地で鬱屈を抱えながら生きる5人の人間が陥った思いがけない事態を描く渾身の群像劇。

並行して進行する五人の主人公たちの五つのストーリー。『最悪』『邪魔』のキャラたちと同じ匂いの面々がここにもひしめいている。社会の底辺でもがく人たちに降り掛かる負のスパイラル。気を急かせられるように次の展開へと読まされる。著者の術中に嵌ってしまいます。

なるほどなぁと頷いたのは、地方には富裕層を満足させるインフラが皆無であるという件。ふむふむ。市会議員の妻や新興宗教の教祖の行動パターンがそれを如実に物語ります。そして家族、友人、仲間、コミュニティといった単位での人の相互扶助関係。こういった人間関係すら破綻していくさまは人ごとではないな。

人物描写の巧みさも然ることながら、舞台となる地方都市の閉塞感というものが、不順な天候をひき合いに見事に表現されています。五つのストーリーがようやく交わるここだ(!)というポイント。そうか表紙のイラストの示唆するところだったのか。と言う訳で、結末よりその過程を楽しむスタイルの小説ですねこれは。


2009年10月17日 (土)

ララピポ

ララピポBookララピポ

著者:奥田 英朗
販売元:幻冬舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
対人恐怖症のフリーライター、杉山博(32歳)。NO!と言えないカラオケBOX店員、青柳光一(26歳)。AV・風俗専門のスカウトマン、栗野健治(23歳)。文芸コンプレックスの官能小説家、西郷寺敬次郎(52歳)。専業主婦にして一応AV女優、佐藤良枝(43歳)。デブ専裏DVD女優のテープリライター、玉木小百合(28歳)。選りすぐりの負け犬たち、ここに集合。最新爆笑小説。


う〜ん。評価に苦しむというかエンタメ要素は満たされていると思うのですが、いまひとつエロスに対する品が無いというか、テレビ三面記事とか週刊誌の特集ネタを見ているような気になったのはわたしだけでしょうか(!?)でもそれが狙いか。


とはいいつつも、社会の底辺の人たち(と言ったら言い過ぎか)の身の回りの出来事が発展していくことの面白さは流石の著者の力量ですな。まったくどうでもいいような出会いやいさかいなんかを、そのままどうでもいいように描くことの凄さ。


母娘がシンクロするストーリーでは、当人同士のあまりのサバサバぶりに、実際こんなものなのかも・・・と、ついうなずいてしまった。それに負け犬キャラを次から次へと登場させるタイミングとセンスにはあのとんでも精神科医のシリーズを彷彿させるものが。


あっ、「ララピポ」ってこういう意味だったんだ。こりゃわからんわ。


第六話でそれまでのオールスターキャスト登場の大団円的なストーリーになっていて、おさらいしながら読んでいるみたいだな。あらゆる章の話とリンクしていてなんだ同時進行していたのかなどと楽しめました。

2009年10月 4日 (日)

家日和

家日和Book家日和

著者:奥田 英朗
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆+


内容(「MARC」データベースより)
ネットオークションにはまる専業主婦。会社が倒産し、主夫となる営業マン。夫と妻。ちょっとずれていて、でも愛情がないわけでなく…。ずっと外にいた夫の王国か。ずっと家にいた妻の城か。ビター&スウィートな「在宅」小説。


◯◯オクで落札のタイムアップを確認したときのささやかな感動(!)そして手軽さからか意外とハマってしまうその魔力。予想通りのオチにほっとして思わずニンマリする 『サニーデイ』 にはネットオークションをはじめた頃の自分がダブって見えた。


『ここが青山』 というタイトルに郊外から都心へ引っ越しカルチャーショックにあたふたする話を勝手に想像していたら全然ちがった。「青山」 の読みも意味も知らなんだなあ・・・と恥じ入る。ハローワークが最近の小説では一般的な風景と化しているのが何とも切ないです。


インテリアに凝る派なわたしとしてはこの 『家においでよ』 の居心地のいい空間というのに大いに共感する。それが家族を巻き込んでの騒動へともっていく強引でありきたりの展開であっても、この合宿気分の誘惑の描き方の絶妙さに納得するのであった。


おっ(!)これは違うなというのが 『グレープフルーツ・モンスター』 で、主婦のセクシャルな妄想シーンが描かれる異色作。タイトルの意味にしばし考え込んだが、ピンクネクタイの営業マンの柑橘系フレグランスのことなんだろうなたぶん。


読んでて上手く書けてるなあと感心した 『夫とカーテン』 。これは夫婦ともにちょっとした才能があるから成立する話なのだが、実際似たようなことがあるかもしれない。話のプロットから登場人物のキャラに至るまで程よいリアリティと一抹の不安。最後の幸福感がいいです。


妻への気遣いを優先させ家庭の平穏を守る夫が描かれる 『妻と玄米御飯』 には、所謂ロハスな人々が登場する。これ結構社会風刺的にエコ問題の矛盾点を突いていて感心したなあ。作家である夫がボツにした原稿読んでみたかった(!)


以上六編からなる家族(主に夫婦)の日常に訪れた、ささいな(時に大きな)変化とその背景をシニカルに描いたホームコメディの様相です。ほんわかとした雰囲気に包まれ読後感もよし。

2009年9月23日 (水)

ガール

ガールBookガール

著者:奥田 英朗
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
さ、いっちょ真面目に働きますか。キュートで強い、肚の据わったキャリアガールたちの働きっぷりをご覧あれ。爽快オフィス小説。


なんかこうスカッとする小説を読んでみたい(!)といういきなりの読書欲に、以前から延ばし延ばしになっていた本書をようやく開いてみた。この著者の本自体、五ヵ月ぶりに読むんだな。これまた随分とご無沙汰でした。


『ヒロくん』

新任の女課長聖子は年上の体育会系部下との軋轢に悩む。一方、夫のヒロくんは聖子より年収も低くマイペースで趣味に生きる男だ。子どものいない二人にとっての幸せとは・・・両親からのプレッシャーや仕事のいざこざも絡んであらゆるものの「価値観」が問われる物語になっている。聖子が男二人に立ち向かうラストは痛快だな。


『マンション』

親友OLのマンション購入に触発され一念奮起するゆかり。生保会社の広報で「石原都知事」の異名をとるタカ派の彼女。天敵である秘書課の帰国子女とのバトルには笑わせられる。で、都心の高額物件に憧れるも職場での自分を顧みて選択した結論は。前向きで何かが始まる感のあるおわり方です。


『ガール』

30代にしてガーリッシュな由紀子は大手広告代理店のOL。派手好きな先輩OLと出向いた得意先で堅物の担当女性との丁々発止。しかしこの「お光」って先輩のキャラがなかなか。きっぷが良くて仕事が出来て若作りで、と思ったらイタい人でしたか。そんな「お光」の姿に自分の将来を見てブルーになる由紀子。最後に、かつてシンディ・ローパーが歌った歌詞がひき合いに出てくる。これがじつに効いてます。いいなぁ、女の子って。


『ワーキング・マザー』

バツイチシングルマザーの孝子は息子の小学校入学を機に古巣の営業部へ復帰した。新プロジェクトの立ち上げで、販売部のアメリカ帰り同期OLと対立する。会議での攻防がじつにリアルだな。最後にはからずも子どもを盾にした強烈な厭味をぶつけてしまう。で、ここからがこの話の本題というか「女同士はあわせ鏡」とはよく言ったものだと感心するエンディングへとむかうのだ。ふむふむ。


『ひと回り』

イケメン新入社員の指導員となった容子。ひと回りちがいの彼にときめいたりする。このイケメンくんに対するまわりのOLたちがお互いに牽制しあう様には笑えた。OL仲間と参加した合コンでのある事に我を忘れた行動をとった容子。すべては現実逃避のモラトリアムだったと気づき、オフィスで爽やかな一日を迎える容子に清々しさをみました。


オフィス小説としては前作の『マドンナ』から、さらにパワーアップしていますね。30代キャリアガールたちの前のめりな生き方がそのまま反映されているからでしょうか。女性はもちろん男性読者にも充分訴求してくるなこれは。主人公OLたちの心情がじわ〜っとしみ込んでくるみたいに。力量のある筆で紡がれるライトなストーリーの心地好さ、ああスカッとした。


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