ハセ・馳 星周

2015年2月 1日 (日)

復活祭

9784163901190

☆☆☆ 著者:馳星周 販売元:文藝春秋 発売日:2014/9/17

内容(「BOOK」データベースより)

株式公開を目指せ、その後で株を売れ。かつての地上げと同じ方程式がそこにある。最後に笑うのは男か、女か。

「最後に笑うのは男か、女か」の腹帯コピーが狐と狸の化かし合いを連想さます。株式公開とM&Aのマネーゲーム。80年代の不動産バブルが今はIT企業に形を変え体現されている。

美千隆と彰洋のコンビは10年後でもあの頃の「夢」の実現を目指している。それに纏わるかつての女たち。そして新しい女の登場。

とくに麻美と早紀の二人は10年という年月を感じさせる反面、マネーゲームに関わる事によって

かつての生気を取り戻していく様が絶妙に描かれています。

夜の六本木、赤坂、銀座といった盛り場と新宿、渋谷などを中心にストーリーは進むのだが、ほとんど尾行したり拉致したりホテルや店に出入りしたりといった描写。

華やかなロケーションの割には地味な活動ばかり。M&Aの手口にしても巧妙さを披露するというよりキャストの怨恨や感情移入で読ませるパターン。

で、最後に笑ったのは・・・終盤へのワクワク感は流石です。これは『生誕祭』をもう一度読み返してみたくなる気がしないでもない。

2012年9月 2日 (日)

暗闇で踊れ

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☆☆☆☆ 著者:馳 星周 販売元:双葉社 発売日:2011/11/30

内容紹介
警視庁三課の刑事・神崎は大量の古美術品が市場に出回ったことから、捜査をはじめた。彼が辿りついた松涛の富豪・井上家で、身寄りのないはずの井上を世話をしていたのは、榊田恵、学の姉弟。事件の臭いを感じた神崎は密かに内定を始めたのだったが、いつしか仕事を忘れ恵の身体に溺れてしまう――。

美貌の姉弟がそのミステリアスな雰囲気を遺憾なく振りまき、読者を迷宮へといざないます。それは一応の主人公たる氷の異名をとる刑事すら巻き込んで。

一つの謎が解けたかと思いきや、また次なる疑問が湧き出て来る。う~む、近年の馳作品にしては珠玉の出来か。そしてエロティックな隠し味が効いている。

第二部に入るとそれまでをおさらいする意味で別の視点から読ませます。こういう趣向も久しぶりだな。でも何とな~く先読み出来てしまうのも馳作品(笑)

ま、破滅へのロードをまっしぐらという従来のパターンがどうしても頭をよぎるのだが、終盤に向けてまだまだ飽きさせない仕掛けが飛び出す。

どろどろの人間関係とスリリングな騙し合い、そしてスピーディーな展開、心地好いヒートアップ感が堪能出来ました。これ続編は無理かな。

2012年7月27日 (金)

沈黙の森 (徳間文庫)

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☆☆☆ 著者:馳星周 販売元:徳間書店 発売日:2012/1/7

内容紹介
軽井沢を舞台としたノンストップ・アクション・ノワール。森の枯れ葉が、欲望に彩られた生き血に染まる! 馳星周の真骨頂!

久々に読みましたよ馳作品。ノワール社会に生息する人々を描かせたらやはり抜きん出てるな。かつての兄弟分に敵対関係や憧れの人物などなど。

とにかく次から次へと悪い奴らがやって来る(笑)そして見境なく殺し合う。女性カメラマンがいい雰囲気出してるなと思うも、やはりな展開に。期待裏切らないなぁ。

この手の話というのはどうにも先が読めてしまうストーリーなのですが、そこを保たせるのが似た者同士でいて異なるキャラの魅力ですか。

血なまぐささが加速して終盤へと雪崩れ込むのだが、いかんせん山場となるそれこそ「山」へと逃亡するシーンが長過ぎ。これ飽きるよ途中から(笑)


2012年1月 7日 (土)

トーキョー・バビロン

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☆☆☆+ 著者:馳星周 販売元:双葉社 発売日:2006/4

内容(「MARC」データベースより)
ブラック・マネーを掻っ攫え! 若くして「人生の敗者」となった3人が仕掛ける起死回生の大勝負。汚い仕事に手を染める消費者金融から、金を強請ろうと画策する若者たちを描く。裏切り、暴力、計略。圧巻の暗黒小説。

今から5、6年前の話なのだろうが、当時の時代背景がそのまま甦るほど、上手くストーリーとキャストに取り入れている。

ITバブルが弾けて、時代の寵児たちの凋落ぶりや消費者金融の不祥事。経済ヤクザこと企業舎弟の実態などにその辺の事情が伺えます。

かつて、著者のキメフレーズだった「騙せ、欺け、丸め込め」という言葉通りの駆け引きは復活したものの、話が長過ぎた。

折角のスリリングな展開で盛り上がって来ても、フラッシュバックやスイッチングが入り乱れ、逆に間延びしている場面もあるし(笑)

それでも気を抜かせずに読ませるというあたりは流石ですね。所どころに地雷が埋め込まれてる緊張感か。しかし女はしたたかで強いです。


2009年9月 7日 (月)

9・11倶楽部

9・11倶楽部Book9・11倶楽部

著者:馳 星周
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
地下鉄サリン事件で妻子を失った救急救命士が出会った、新宿で生きる戸籍のない子供たち。理不尽で惨めな境遇に追いやられた彼らがはじめた、危険きわまりない“遊び”とは―。


大雑把なイメージでいうと少年ギャングのようなものを思い浮かべていたが、冒頭の事件からそうではないのだと判る。孤児たちのリーダー明と病弱な少女笑加のキャラには惹き付けられます。


救急救命士である織田が何故そこまで少年たちの面倒をみるのか。その理由付けにしたっていまいちリアリティに欠ける。やがて少年たちのある計画を知る事となりどういう行動をとるのか(?)が、それはあっけなく解決しました。


えっ(!)この表紙写真って・・・よく見るとテロリストの・・・。


盗んだ車に釣り竿とテントが積んであるあたりの用意周到さには舌を巻く。ごく自然に描写される中で気づくプロットのキメ細かさは流石だなあ。しかし終盤になって少年たちの絆の強さが逃亡シーンでより浮き上がり静かな感動を得る。


久々に外国人と絡むストーリーだが『不夜城』、『マンゴー・レイン』といった傑作と同じ匂いを所々に散りばめた緊張感がある。やはりこの著者のホームグランドは中国人をはじめ多国籍のノワールものであると再認識しました。


な訳で最近の作品では久々に納得のいくエンディングだったかな。


がしかし、そもそもこのお節介な救命士が子どもたちの世界に首を突っ込まなけりゃこんな騒動にはならなかったものを・・・って言っちゃあおしまいか。疑似家族のぬくもりにささやかな安らぎを見た中年救命士の夢が昇華した話だな。

2009年8月12日 (水)

煉獄の使徒

煉獄の使徒 上  /馳星周/著 [本]煉獄の使徒 上 /馳星周/著 [本]
販売元:セブンアンドワイ ヤフー店
セブンアンドワイ ヤフー店で詳細を確認する
煉獄の使徒 下  /馳星周/著 [本]煉獄の使徒 下 /馳星周/著 [本]
販売元:セブンアンドワイ ヤフー店
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
悪徳刑事には美点があった。権力に群がる蟻どもを冷静沈着に操るスキル。しかし欠点もあった。その快楽に溺れること。教団は「白い通貨」を果てしなく産み権力者は威厳を繕いつつ美酒にひざまずいた。その酒は原罪の匂いがした。


いわずもがなあのカルト教団のテロ事件に至るまでをなぞっていくストーリー。実際こんな確執が舞台裏で起こっていたのかと思うほどリアリティに溢れている。何より権力を掌握するための醜いまでの執念は、ここで見る限り教団幹部と警察官僚とも本質的には同じである。


途中、間延びしたかなと思うと絶妙なタイミングで次の問題が勃発するという風に、緊張感を途絶えさせない緩急のある筆は安定している。著者が成功の絶頂にあった時期の初出より約七年の時を経ての刊行に、どのような事情があったのか憶測がとび交う。


大量殺戮を阻止しようと暗躍する一部の教団幹部たち。しかし毎回、グルの圧力の前に後手を踏む。このパターンが中盤以降、幾度となく繰り返され同じところを読み返している錯覚にとらわれる。これほどの長編で閉鎖されたシチュエーションという条件下では致し方のない事か。


そして本書も終焉へ向かってそれまで保たれていたテンションがゆっくりと失速していく。この辺は近年の馳作品の尻窄みなエンディングの原型を見た気がする。

2009年3月 8日 (日)

マンゴー・レイン

マンゴー・レインBookマンゴー・レイン

著者:馳 星周
販売元:角川書店
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☆☆☆☆


出版社/著者からの内容紹介
馳星周の新たなる代表作、誕生!
タイ生まれの日本人・十河将生。借金を重ね、妻を亡くし、再びタイに舞い戻った。彼は、中国人の女をシンガポールに連れ出す仕事の依頼を受けるが、そこには予期せぬ無数の罠が仕掛けられていた!


再読。


初読時に、著者の『不夜城』『夜光虫』以来の衝撃を受けた記憶がある。

それは、クアラルンプールからバンコクでのエピソードに至る過程でのこと。

70Sハリウッド映画(アクションもの)を観ているようなビジュアルが脳裏に浮かび、

ある種の高揚感を体感したほど。本という媒体では稀なことだ。


めまぐるしく抗うストーリーと魅力的なキャラたち。

息をもつかせぬ展開に引き込まれ一気読み。読者にも体力要求される感じだ。

上梓時の書評など見ると絶賛コメント以上に、酷評されているものが目についた。

はたして本作はその後の新たなプロットづくりへの試金石となったのか。

2009年3月 3日 (火)

ブルー・ローズ

ブルー・ローズ〈上〉Bookブルー・ローズ〈上〉

著者:馳 星周
販売元:中央公論新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ブルー・ローズ〈下〉Bookブルー・ローズ〈下〉

著者:馳 星周
販売元:中央公論新社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
優雅なセレブたちの秘密に踏み込んだ元刑事。身も心も苛む、背徳の官能と、腐敗した正義。青い薔薇―それは、ありえない現実。


ブルー・ローズと呼ばれる女の秘密のヴェールに接近する。倒錯と快楽と欲望の世界に身を投じるその女たちとは。ここがメインテーマのはずだが。


警察官僚の妻とその娘。キャリアの権力闘争を背景に事件はゆっくりと動き出す。そして邪魔するものは排除されていく。失踪した娘を捜す主人公の徳永は警官くずれの調査員。もちろんやさぐれている。


エナメルっぽい革の切れ端の件、イメージしたものが当たっていた。ってどうなんだ。そして青バラさん赤バラさんのSM世界のメンタリティをもっと描いてほしかったな。


謎解きの興味より、セレブの女たちとの駆け引きが面白くなって来る。


細かい小道具へのこだわりと解説には著者のセンスが伺える。何事も掘り下げれば掘り下げるほど物事の本質が鮮明に露見するのだから。ただ前後の文脈からそこだけ浮いてみえるのが惜しい。


全編を通じてスピードの緩急のつけ方が上手いなと思う。


ハードボイルドで押し通すかと思いきや、後半はノワールノベルスになってしまい、いつもの畳み掛けるというか雑にやっつけた感がつよいな。このボリュームでも一気に読めました。が、終盤のだらだらしたパートは割愛してもよかったのでは。


2009年2月27日 (金)

やつらを高く吊せ

やつらを高く吊せBookやつらを高く吊せ

著者:馳 星周
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
スキャンダルハンターのおれは、非情な金貸しとセックス中毒の女子高生に振り回され、ポルシェと度胸を武器に政界財界、巨大な敵の裏情報を探った末に…。


Driiiiive!! ポルシェ・カレラを駆って急げ、追う、逃げる、慌ただしいスピード感!


天敵である非常な金貸し、相棒となるのはセックス中毒の女子高生、政界のフィクサーに右翼の大物、女占術師、スキャンダルの匂いこそ生きがいの“おれ”。時代背景を'80年代に設定してありその時代の猥雑さを出そうとしたのか・・・しかし通信手段がポケベルというのは。


ストーリーや登場人物に目新しさはないが、この手の小説で上っ面だけのクライム・ノベルスが派生している昨今、アウトローたちの人物やその日常の様子(これが意外と難しい)の描写がリアリティ充分で、例えるならフィルム・ノワールを観ているようだと言ってしまいたい。もしくは別冊週刊誌の劇画か。


短編連作六編からなるスリリングな刺激作。都会の猥雑な部分描写を得意とする著者にとって、久々にみせる自信のフィールドワークでは。タイトルはマカロニ・ウエスタンならぬアメリカ映画。C.イーストウッドの本国凱旋作品である。って何十年前の話だ。

2009年2月 9日 (月)

楽園の眠り

楽園の眠りBook楽園の眠り

著者:馳 星周
販売元:徳間書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
おさな子のやわらかい肌。いたぶる自分、止められない!女子高生と刑事。夜の闇の中、底なしの慾望と孤独に苛まれる男と女。罪悪感は加虐心を加速させる。幼児虐待に潜む暗い罠。現実世界と切り結ぶ最新長編。


「楽園の眠り」とは、心の底から感じる幸福感に包まれた眠り。そして、それはひと月ももたなかった。生き方、やり方がどこかで損なわれているから、全てを取り逃がしてしまうということ。


五歳の息子を誘拐された父親の行動と間抜けぶりにイライラさせられながら、なるほどこれって良くあるよ、と納得してしまいます。何処にでもいる現代人のフラストレーションを描かせたら、まずこの著者ほどリアルに文体表現の出来るものはいないでしょう。


子供に対するそれまでの虐待に贖罪するかのような行動。同じ心の傷と闇をもつ女との精神的な繋がり。携帯電話というツールがそれぞれを結びつけます。終盤、父親が子供を連れ回した女子高生と対峙した時に、奇妙な感動を覚えました。それは、虐待する側とされる側の心情が交錯して起こる連帯意識というものでしょうか。

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