アサ・浅田次郎

2018年1月 2日 (火)

おもかげ

Bk4620108324

☆☆☆+ 著者:浅田次郎 販売元:毎日新聞出版 発売日:2017/11/30

内容(「BOOK」データベースより)

浅田文学の新たなる傑作、誕生―。定年の日に倒れた男の“幸福”とは。心揺さぶる、愛と真実の物語。

重体の主人公を見舞うかつての同僚で出世頭のプロフィール。

オープニングから何となくその後の展開を想像してしまうがあながち外れてなかった。

章を追うごとに登場する謎めいた美女たちの正体や如何に?

病室仲間?との会話が糸口となり、ゆっくり転がるストーリーへと引き込まれます。

作者お得意の戦後から復興期、高度成長期の当時の情景描写には多くを語らず、

それでいてジーンを沁み入る言葉で紡がれており、流石の力量を感じさせます。

主人公が全編を通じそれまでの人生の節目を回想する度に、

定年を間近に控えた私自身も幼少期からの自分史を走馬灯しながら読みました。

腹帯の「忘れなければ、生きていけなかった。」のコピーが秀逸です。

2010年3月10日 (水)

ハッピー・リタイアメント

ハッピー・リタイアメントBookハッピー・リタイアメント

著者:浅田 次郎
販売元:幻冬舎
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☆☆☆

内容(「BOOK」データベースより)
定年を四年後に控えた、しがない財務官僚・樋口慎太郎と愚直だけが取り柄の自衛官・大友勉。二人が突如再就職先として斡旋されたJAMS(全国中小企業振興会)は、元財務官僚の理事・矢島が牛耳る業務実体のない天下り組織。その体質に今イチ馴染めない樋口と大友は、教育係となった秘書兼庶務係の立花葵から、ある日、秘密のミッションを言い渡される…。

天下りのおっさん二人が主人公という設定。それぞれ財務官と自衛官の出身で、またこれがいかにもなキャラです。そこに何やらミステリアス(?)な秘書が絡んでのミッション開始となる訳です。が、意表をついたプロローグを何故かクサいと感じてしまうわたしなのでした(←ひねくれ者)。

しかし、ケーススタディ的な話が幾つか続き、やってる事と言えば同じことのリピートな訳で、途中少し飽きて来たのも確か。ただ、そこからまたグイと引き戻させるあたりが浅田先生の筆力というか力量というか…ま、ツボを心得てらっしゃるんですよ(←要は飽きさせないということか)。

で、こんなに美味しい話でないにしろ、近い話はあるんだろうな天下り役人ども(!)と怒っておく。濡れ手に泡だけがハッピーな事ではないという…微妙なエンディング。そして読了と同時に、これは著者の趣味と嗜好を満載したストーリーなんだと気付く(←遅過ぎっ!)。

2009年11月 6日 (金)

活動写真の女

活動写真の女 (集英社文庫)Book活動写真の女 (集英社文庫)

著者:浅田 次郎
販売元:集英社
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☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
昭和四十四年、京都。大学の新入生で、大の日本映画ファンの「僕」は友人の清家忠昭の紹介で、古き良き映画の都・太秦の撮影所でアルバイトをすることになった。そんなある日、清家は撮影現場で絶世の美女と出会い、激しい恋に落ちる。しかし、彼女は三十年も前に死んだ大部屋女優だった―。若さゆえの不安や切なさ、不器用な恋。失われた時代への郷愁に満ちた瑞々しい青春恋愛小説の傑作。


時空を越えたノスタルジアもの。戦前の美人女優と大学生の主人公の激しくも儚い恋模様がメインストーリーですが、京都の町と大学生が闊歩する様子が青春してるなって雰囲気を盛り上げます。仲間たちとのやりとりひとつ取ってみてもそこには故郷から出て来た若者の息吹がある。と感じた。


著者お得意の幽霊ものだけあって、その登場の仕方と消え去り方がごく自然(って言い方も変だが)でスイッチのONとOFを何気に切り替えてるみたいだ。あまり上手い例えではないな・・・。それと映画への憧憬の念がひしひしと伝わってきますね。著者の想いを作中人物に語らせているのがクサくなくていいですね。


手法としては同類の『地下鉄に乗って』などもそうだが、時代と時代をワープすることが頻繁でも前後の話が違和感なくつながるのは、やはり著者の技量によるものでしょうな。で、今回の話などとくに映像化していただきたいですね。あの伏見夕霞を誰にキャスティングするのかなど、興味が尽きません。

2009年10月27日 (火)

夕映え天使

夕映え天使Book夕映え天使

著者:浅田 次郎
販売元:新潮社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
さびれた商店街の、父と息子二人だけの小さな中華料理店。味気ない日々を過ごす俺たちの前に現れた天使のような女・純子。あいつは線香花火のように儚い思い出を俺たちに残し、突然消えてしまった。表題作「夕映え天使」をはじめ、「切符」「特別な一日」「琥珀」「丘の上の白い家」「樹海の人」の6編の短篇を収録。特別な一日の普通の出来事、日常の生活に起こる特別な事件。


浅田作品の特徴のひとつにそのエンディングの形態がある。と読んでいて思い出した。何やらふわふわしたバリアーに包まれた気分のまま、或いはどっちの解釈をとるかは読者にゆだねたり、またある時は理解不能な言葉の固まりだったり・・・。


本書はタイトルからしてハートウォーミングなストーリー満載かと勝手に思い込んでいたが、意外やマイナーでじめじめとした感触の話もあり、そういった意味では色んなテイストが楽しめました。と言ったら語弊があるな・・・多少テンション下がりましたがそれなりに楽しめました(←本心)


中には途中からストーリーが飛躍してこれ無理やん(!)と思うナンセンスな作品もあったが、この著者ならそれも有りうるなと納得した次第です。わたしは『丘の上の白い家』がらしいなという感じで良かったです。このところ著者の短編集はどれも同じに思えて味気ないかな・・・ファンのつぶやきでしたー。

2009年6月16日 (火)

沙高樓綺譚

沙高樓綺譚 (徳間文庫)Book沙高樓綺譚 (徳間文庫)

著者:浅田 次郎
販売元:徳間書店
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☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
各界の名士たちが集う「沙高樓」。世の高みに登りつめた人々が、女装の主人の元、今夜も秘密を語り始める―。やがて聴衆は畏るべき物語に翻弄され、その重みに立ち上がることもできなくなるのだ。卓抜なる語り部・浅田次郎の傑作ミステリー。


こういう秘密クラブみたいな会の雰囲気に惹かれるんだな昔から。
各界の名士が集う「沙高樓」の主人は女装している・・・。


そんな中でひとりひとり語られる綺譚に、他のメンバーの突っ込みが意外と辛辣だ。
確かに、中には要領を得なくてイライラする展開の話もあるし。


五編からなるそれぞれの話には全く関連性もなく、時代やシチュエーションなども被らないのでバリエーションはある。


けれど、この著者の汎作の中で読んだような気がする話が無きにしもあらず。


そんな余計なことに気をとられつつ読了いたしました。
この秘密クラブの体裁は大した事なく、本編の話への興味もわたしには期待外れでした。


2009年6月 4日 (木)

月下の恋人

月下の恋人Book月下の恋人

著者:浅田 次郎
販売元:光文社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
これで最後、恋人と別れるつもりで出掛けた海辺の旅館で起こった奇跡とは?(表題作)昭和が昭和であった時代。ぼろアパートに住む僕の部屋の隣には、間抜けで生真面目で、だけど憎めない駄目ヤクザが住んでいた…(風蕭蕭)。これぞ短編。これぞ小説。名手が五年の歳月をかけて書き綴った、心をほぐす物語。人を想い、過去を引きずり、日々を暮らす。そんなあなたを優しく包む、浅田次郎待望の最新刊。


全編を通しての印象は、奇妙な味、ちょったした怖さ、そして物足りなさでしょうか。
読者がおいていかれた感が強く残るエンディングがいくつかありました。


読みやすく心に沁みる文章が著者の持ち味で、その辺りはいいのですが。
これだけの数の作品をたて続けに読んで思ったのは、初期の短編集のクオリティにはないなと。


それはこの著者だからこそ、期待してしまうのでしょうが。



いまどき女子高生二人がちゃきちゃきした会話で引っぱり、最後にあったかい気持ちにさせる『告白』。



『黒い森』は、サスペンスドラマでありそうな話。この腑に落ちないラストの混沌を払拭したいのだが・・・。



表題作の『月下の恋人』も、よく似たシチュエーションの短編があった気がする。



『冬の旅』は、あの『地下鉄に乗って』に通じるプロットで、その一遍のコンパクト版かな。


他、『情夜』、『適当なアルバイト』、『風蕭蕭』、『忘れじの宿』、『回転扉』、
『同じ棲』、『あなたに会いたい』の全11編収録。


2009年3月 5日 (木)

あやし うらめし あな かなし

あやしうらめしあなかなしBookあやしうらめしあなかなし

著者:浅田 次郎
販売元:双葉社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
日本特有の神秘的で幻妖な世界で、生者と死者が邂逅するとき、静かに起こる優しい奇蹟。此岸と彼岸を彷徨うものたちの哀しみと幸いを描く極上の奇譚集。名手が紡ぐ、懐かしくも怖ろしい物語。


『虫篝』

常にもう一人の自分の存在を意識すさせられる。ドッペルゲンガー現象という飛び道具がストーリーの謎部分になっている。そしてもう一人の自分は羽振りのいい人間だった。ということの結末は、やはり言わずもがなでした。


『昔の男』

歴史のある病院を舞台にしたナースもの。これは「幽霊使い」の著者の面目躍如の感がある、スマートなそれの登場シーンがあります。美人の先輩婦長がよく描けている。


『客人』

いま知り合ったばかりの飲み屋のママとこうもトントン拍子にことが運ぶか・・・という書き手都合でいきなり引っぱる導入部。しかし、そこからが怖かった。いや、怖いもの見たさで読ませます。


『遠別離』

これは少し驚いたというか違和感があった。戦時中のストーリーで兵隊が戦地からいきなり現代の六本木市街にワープする。霊として浮遊してるのだろうがその情景がなんだか滑稽でした。


他、『赤い絆』、『骨の来歴』、『お狐様の話』の七編収録。

2009年2月19日 (木)

日輪の遺産

日輪の遺産 (講談社文庫)Book日輪の遺産 (講談社文庫)

著者:浅田 次郎
販売元:講談社
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☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に隠したという時価二百兆円の財宝。老人が遺した手帳に隠された驚くべき事実が、五十年たった今、明らかにされようとしている。


最初に読んだとき、重〜い読後感に包まれた記憶が。ストーリーは帝国陸軍が隠蔽した二百兆円!の財宝をめぐるミステリ。太平洋戦争が終戦間近のパートと現在のパートが交互に展開される。このスイッチングは著者ならではの筆遣いの妙で、まるでひとつの物語のように(実際はそうなのだが)読めるんですね。


ある老人が残した手帳にはとてつもない秘密が隠されており、五十年後のいまその玉手箱が開けられようとしている・・・といった感じのプロローグ。そこまでが結構ながい。「マッカーサーから奪った財宝」というワードが何ともミステリアスな響き。


心がちぎれそうな状況下、曹長と久枝の辿る運命とは。


金が絡むとなると人は目の色かえ血を流し、取り憑かれたように行動するんですね。それは昔も今も不変の法則であるかの如く。米軍の英雄に憧れる日系二世の通訳なんてキャラ、よく考えつくなぁ。


中盤の現在のパートで「あっ」と絶句するマジックが隠されています。時を超えるスイッチングで綴るストーリーだからこそ、この数行が映えるのでしょうね。しかし、驚いたというか嬉しくなったというか・・・奇妙な感慨があります。


しかし、財宝を死守する少女たちの行為には、ぞーっと背筋が寒くなった。


怖いついでに言っておくと「七生報国」なる四字熟語に、戦時下の国民思想が伺えますねえ。そういう時代背景と照合して後に新たな感動を覚える訳なんですよ。この小説は。そこいらへんがまさに二段構えの「浅田マジック」たる所以ですね。


「みんなで鬼になって、この宝物をまもろう」


一途な気持ちが怨念となり、やがて神々しい意志として永遠になる。財宝に関わり生きながらえた人、死んでいった人、さまざまな人の想いが形となってこの物語に感動を呼ぶのでしょうね。きっとそうなんだ。

2009年2月11日 (水)

見知らぬ妻へ

見知らぬ妻へ  /浅田次郎/著 [本]見知らぬ妻へ /浅田次郎/著 [本]
販売元:セブンアンドワイ ヤフー店
セブンアンドワイ ヤフー店で詳細を確認する

☆☆☆


内容(「MARC」データベースより)
5年前に離婚し、東京のボッタクリバーに客を回す仕事をしている花田は、手配師の土橋に頼まれて、中国人女性と結婚することになるが…。表題作「見知らぬ妻へ」のほか、7編を収録した短編集。


中国人女性との偽装結婚を扱った表題作で、歌舞伎町で客引きをする花田のとった行動。形だけの婚約指輪からはじまる疑似新婚生活。妻と筆談で意思の疎通をはかり、やがて本当の愛が芽生えはじめた頃に事件は起こる。


これは実際、そういった世界でよくある話なんだろうなぁ。


リアリティというより「事実」そのものを記してるんじゃないだろうかという、完成度の高いプロットとシチュエーションであります。「妻」との別れの言葉のやりとりにも、ついその裏に隠された意味に思い及び、自己嫌悪する花田。


いいと思ってやったことが、必ずしもそうではない。


都会の底辺で肩すり寄せて生きる人たちの、まんざらでもない温かさにふれることが出来た話でしょうか。


『踊子』、『スターダスト・レヴュー』、『かくれんぼ』、『うたかた』、『迷惑な死体』、『金の鎖』、『ファイナル・ラック』、『見知らぬ妻へ』の八つの掌編です。

霞町物語

霞町物語 (講談社文庫)Book霞町物語 (講談社文庫)

著者:浅田 次郎
販売元:講談社
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☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
青山と麻布と六本木の台地に挟まれた谷間には、夜が更けるほどにみずみずしい霧が湧く。そこが僕らの故郷、霞町だ。あのころ僕らは大学受験を控えた高校生で、それでも恋に遊びにと、この町で輝かしい人生を精一杯生きていた。浅田次郎が始めて書いた、著者自身の甘くせつなくほろ苦い生活。感動の連作短編集。


『霞町物語』

「青山パルスビート」にたむろする、クルマと不良気取りの少年少女たち。'60年代の後半位に撮られた雑誌写真に憧れましたねぇ。まだ子供でしたが。で、そこに集う連中の中でもひときわ目立つ明子という女の話。住む世界のちがう、雲の上から降りて来た彼女といい仲になる「僕」。粋で小洒落た会話はあの時代ならではの空気を感じます。


『夕暮れ隧道』

学生カップルに起こった不幸な事故と、不思議な現象にまつわる青春ラブ・ストーリー。ここに在らざるものたちにより、あっち側へと招かれるが如く。オカルト的な色合いが強いですね。「まるで古い映画のスチールのように」と表現される、額縁に収まる二人の写真の意味を即座に理解出来ませんでした。


『青い火花』

かつて縦横無尽に都内を走っていた都電をネタにした、写真職人の祖父の気概あふれる仕事ぶりと、感動秘話です。タイトルは都電のパンタグラフ(車両上の集伝装置)に発火する火花のこと。花電車に向けシャッターを切る際の「ああっち!ねええっ!さん!」という祖父のかけ声、その情景が鮮やかに浮かびます。いい話ですよこれは。


他、『グッバイ・Dr.ハリー』、『雛の花』、『遺影』、『すいばれ』、『卒業写真』の計八編の連作短編集です。全編に登場する「僕」とは著者自身のことであり、いい時代にいい場所で記憶された、切なくほろ苦いストーリーなのだ。きっと。

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