シン・新堂冬樹

2014年3月 6日 (木)

白い毒 (河出文庫)

9784309412542

☆☆☆+

著者:新堂冬樹 販売元:河出書房新社 発売日:2013/11/16

内容(「BOOK」データベースより)

ある日、看護師の森下早苗の前に現れた、「医療コンサルタント」を名乗る男。彼は、早苗に囁いた。「まもなくこの病院は倒産します。患者を助けたいなら、医師・看護師を我々の系列病院に移籍するよう説得して下さい」脳裏を過る入院患者や同僚の顔、そして末期癌でホスピスに入院している父親の姿。決断の時が刻一刻と迫る中、早苗が出した答えとは?医療業界最大の闇「病院乗っ取り」に挑んだ、渾身の医療ミステリー巨編!

病院内にいるとつい感じてしまうあの医薬品の臭いや無機質な白い空間イメージ。情熱的な看護師早苗と氷の心をもつ医療コンサル恭司。

病院乗っ取りというスケール感のある詐欺行為の話だが、そこはやはり地味に看護スタッフの切り崩しからはじまる。

この小説自体は著者作品でいうところの「グレイ新堂」になるのだろうが、読者の不安感や危機感を煽る意味で看護師や医師たちの人物描写がなかなか冴えています。

予測していた次のストーリー展開を如何に裏切るかという点では物足りなさもあるが、詐欺の細かな不自然さを除けばすんなり終盤までのめり込めます。

で、これまで幾度となく描かれて来たであろうこのパターンのラストシーン。ここへ辿り着くまでの「憎悪悲哀」が早苗と恭司の間に渦巻く様が目に浮かびましたね。

2012年10月 5日 (金)

ブラック・ローズ (幻冬舎文庫)

11306954_2
☆☆☆+ 著者:新堂冬樹 販売元:幻冬舎 発売日:2011/8/4

内容(「BOOK」データベースより)実の父親を自殺に追い込んだドラマ界の帝王・仁科を蹴落とすため、テレビ制作会社のプロデューサー・唯は、累計発行部数500万部を超える大ベストセラー小説のドラマ化を画策した。あまりにも切なく美しい復讐劇が幕を開ける

原作もののドラマ化についての難題が分かりやすく順を追って描かれる。それも常に時間に追われる業界の臨場感もいい。

そして配役のキャスティングにまつわるドロドロの交渉術。それをブッキングしていく主人公の唯はリアルに敏腕プロデューサーをイメージさせます。

実に久々に筆が冴える著者。所謂「黒新堂」でのワンパターンなプロットには辟易していたので、今回も期待はしていなかったのだが。

テレビ業界では日常風景であろう「非日常」なやり取りをテンポ良く読ませてもらった。お腹一杯になるまであとひと息。

2010年12月 4日 (土)

ミッション

ミッション (中公文庫)Bookミッション (中公文庫)

著者:新堂 冬樹
販売元:中央公論新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆

内容(「BOOK」データベースより)
逃げ足の早さだけが取り柄の編集者・三沢は、謎の一団に拉致され暴力団組長の娘を殺せと命じられた。断ると婚約者の命はないという。そして奇妙な訓練―量販店で万引き、不良の耳ピアス奪取、キャバ嬢に路上キス―を強要されることに。なぜ三沢が選ばれたのか?一団の真の狙いは?傑作ノンストップ・サスペンス。

如何にもな予感がするプロローグから、いきなり強引にもってくる展開は全盛期の新堂作品を思わせます。これはリアルかはたまたシュミレーションなのか…と思ったらどっちもでした(笑)。

そんなあり得ない展開に主人公の三沢がどんどん追い込まれていく。心のささえは囚われ監禁の身となった婚約者まどかです。が、なんか怪しそうだ。こんなうだつの上がらない情けない男に天使のような彼女。無理過ぎやしないか。

で、肝心のミッション遂行まで、しつこい位に実戦テストが繰り返される。それだけで大半のストーリーが埋まります。ラストまで勢いだけで押し通した気がしないでもない。あと全体的にチープな印象なのは何故だろう。

ハードカバーで『日本一不運な男』として上梓された時には、そのイメージからスルーしていました。それはそれで正解でしたね。


2010年11月24日 (水)

吐きたいほど愛してる。

吐きたいほど愛してる。 (新潮文庫)Book吐きたいほど愛してる。 (新潮文庫)

著者:新堂 冬樹
販売元:新潮社
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☆☆☆

内容(「BOOK」データベースより)
愛―、それは気高く美しきもの。そして、この世で最も恐ろしいもの。毒島半蔵の歪んだ妄想が、この世を地獄へと塗り替える。虚ろな心を抱える吉美が、浮気を続ける亭主に狂気をぶつける。傷を負い言葉を失った、薄幸の美少女・まゆか。実の娘に虐待され続けている、寝たきり老人・英吉。暴風のような愛情が、人びとを壊してゆく!新堂冬樹にしか描けなかった、暗黒純愛小説集。

タイトル通り「吐きたいほどの」描写が続く『半蔵の黒子』には、この所の著者の不振ぶりを払拭するようなグロい描写が躍動していますね。食後に読むべからず。

もしかしたら…と思っていたら、その通りのオチになってしまった『お鈴が来る』。これ程度の差こそあれ、今どきそこいらに転がってる話ではないでしょうか。マジで。

『まゆかの恋慕』のラストには、ある意味究極の愛の形が描かれているのかも。ディテールは黒っぽいものだが、純愛小説のようなピュアなストーリーですな。

最後の『英吉の部屋』の回想シーンでは、黒新堂の真骨頂が発揮されていますね。ある意味いいです。がしかし、主人公の自己中思い込みパターンもここまで来るとクド過ぎでした。

長編では酷評される作品がつづく著者ですが、この短編集を読んでかつての輝きの片鱗を伺う事が出来ました。それも一瞬ですが…。

2010年11月 4日 (木)

殺し合う家族

殺し合う家族Book殺し合う家族

著者:新堂 冬樹
販売元:徳間書店
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☆☆+

内容(「BOOK」データベースより)
私は、自分が生き残るために両親と姉を殺しました。構想五年、執筆三年、今世紀最大の犯罪と言われる連続監禁殺人事件をモチーフにした、「新堂冬樹史上最悪の問題本」のベールが、ついにはがされる。

実在の事件をモチーフにしたストーリーみたいですが、まるで再現ドラマのように鬼気迫る描写のオンパレードです。これはこれで説得力があるのでしょうが、全編この調子で虐待描写の連続に辟易します。

主人公の貴子の優柔不断さは、誰もが持ち得る人間の本性ですね。尋常でない極度の緊迫状況にあって、自らの保身に走るというのはしごくまっとうな反応かと。それだけに、これを逆手にとる富永の嫌らしいまでの手口が映えます。

しかし大なり小なり、現在も似たような事件はあるでしょうし、ある意味で小説を凌駕していることも。本作品に関しては著者のイマジネーションよりも実録事件としての事実のほうが勝っているのがよく分かります。

2010年8月 6日 (金)

アンチエイジング

アンチエイジングBookアンチエイジング

著者:新堂 冬樹
販売元:ポプラ社
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☆☆+

内容(「BOOK」データベースより)
アンチエイジング…その功罪を問う衝撃作。ふと鏡を見て、妻は思う。「夫が愛してくれなくなったのは、この皺?身体?」街で女を振り返り、夫は思う。「あと十歳若ければ、俺だって…」夫婦は、手段を選ばず「老い」に抗おうとした。幼子のことも省みずに…どうしても愛を取り戻したかった妻と、たった一度の過ちを犯した夫。隠し切れなくなった嘘がボロボロと互いを覆い尽くし、二人を結ぶ絆は完全に崩壊してゆく。アラフォー世代に贈る、ある哀切な夫婦の物語。

女性の美への執着と追求を露骨に描かれているのですが、どこか淡白な印象を受けますね。やはり『カリスマ』を上梓した頃の筆力には遠く及びません。

で、夫婦揃って目指すところは同じ。これはこれで、どういう結末を見るのか期待しながら読み進む。が、ほどなくいつものパターンかとがっかりさせられました。

これは表面的なエンディングというものは在りますが、ストーリーの本質に対する結末は完結していませんね。興味津々で折角のテーマの筈が...惜しいなぁ。

2010年1月13日 (水)

底なし沼

底なし沼Book底なし沼

著者:新堂 冬樹
販売元:新潮社
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☆☆☆

内容(「MARC」データベースより)
エグイ取立に追い込まれ、足掻くほど泥沼に沈んでゆく債務者たち。借金で借金を返す這い上がれない無間地獄。真の闇金をえぐる極悪金融小説! 電子書籍配信サービス『Timebook Town』連載作品を単行本化。

やはりかつての著作のリメイク感は否めません。がしかし、スピード感とスリリングな展開で紡がれた騙し騙され合いの世界に、この著者の久々のやる気を見ましたね。いや、自由に一番楽なスタイルで書いているという感じの黒新堂だな。

三つどもえの戦いとか、敵の敵は味方とか、何しろ劇画チックなストーリーの王道を行くようなキャスティングです。まさにVシネマ向きな作品。結婚相談所やエステティックサロンの内幕など、結構鋭い突っ込みですな。ちと感心する。

ま、Vシネを楽しむ感覚で一気読みしましたが、とくに心に残るといったシーンとかは無い訳で…終盤は伝説のヒットマンの正体捜しの様相を呈し、いつもながらドロドロな終焉となります。このところハズレ多しの著者でしたが、まずまず楽しめました。

2009年11月10日 (火)

夜騎士物語

夜騎士物語―Night Knight StoryBook夜騎士物語―Night Knight Story

著者:新堂 冬樹
販売元:双葉社
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☆☆☆


内容紹介
ベストセラー『黒い太陽』で描いた夜の歌舞伎町を、新たな視点で描くエンターテインメント。 歌舞伎町でNo.1ホストである心に、六本木でNo.1を張った流華が宣戦布告した。真のNo.1は誰なのか。ホストクラブに集う女性の心理も鋭く描いた傑作誕生。


何十回と繰り返される「はい!はい!はい!はい!」シャンパンコールのシーン。キャバ嬢の皆さんの見栄の張り合いに、これでもかと言うほど。物語の大半がそんな店内のシーンばかり。途中で飽きそうになりました。


で、主人公である心は善玉で敵役の流華が悪玉という構図。わかりやすい(!)ホストに善も悪もある筈もなく、それぞれのやり方、手段だと思うのだが。それと甘ゝな店長がいると思っていたら案の定・・・。雰囲気をちょっと見する気持ちで読みはじめ、あっという間でした。


最後に流華の吐く台詞。あああ・・早苗さんがぁ。これ以上の毒はないな。とか色んな伏線があって・・・このエンディングは充分予想出来ましたね。ただ、誰がこうなるかに興味があったが。ま、これも天罰じゃあ〜(!)で、強引に畳み込んでしまう荒技な終わり方はあんまりと言えば・・・。

2009年3月19日 (木)

君が悪い

君が悪いBook君が悪い

著者:新堂冬樹
販売元:光文社
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☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
竹林英太(たけばやしえいた)は中学教師。真面目な性格でなにごとにも一生懸命、自分ではお人好しだと思っている。そんな彼が恋をした。離婚してから初めての、本気の恋だ。しかし、スナックのホステス・桃華(ももか)との恋路には、粗暴な常連客が立ち塞がっていた。彼女を、そして二人の未来をまもるために、竹林は行動に出る。…それが、延々と続く地獄絵図の始まりだった。世間を震撼させるような殺人犯も、一皮剥けば、きっとこんなもの。圧倒的なリアリティで迫る、純犯罪小説の白眉。


しかし冒頭から思わず笑ってしまうほど人がよく死ぬ。というか殺される。


リードの解説でもっと心理的に追いつめられるサスペンスかミステリタッチの作品かと思っていたのだが。


簡単に殺人が行われ死体の解体処理に精を出す。この辺の描写はパスだな。


偶然と不運によってどんどんエスカレートしていく殺意と残虐性。
これはバイオレンス・コメディという新しいカテゴリーに属します。


「黒新堂」の作風は近年似たような中味の薄いものが目につく。
タイトルの『君が悪い』というのがラストでどう使われるかはお楽しみ。って程でもなかった。

2009年2月22日 (日)

ホームドラマ

ホームドラマ (河出文庫)Bookホームドラマ (河出文庫)

著者:新堂 冬樹
販売元:河出書房新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
「この家の家族団欒と平和のカギは僕が握っている」一見、幸せな家庭に潜む静かな狂気…。あの新堂冬樹が描く“最悪のホームドラマ”とは?書き下ろし短篇「賢母」を収録。


日本中みんなが知ってるあの家族をパロった『団欒』と『賢母』。タイトルを目にしただけで、「ほ〜らほ〜らみんなの〜声がす〜る♪」というあのエンディング・テーマが今にも聞こえてきそうです。


家族に気を遣いながらテレビでプロ野球のナイター中継を見る婿養子である僕。忍耐こそ家族団欒の秘訣ということで、おのれを殺す、とにかく耐える・・・。まわりの家族もそれが当然であるかの如くそれは「お約束」らしい。


お母さんの○ネが夫の○平との夜の生活を回想するくだりは笑える。ここまで書くか!それとイクラちゃんにノリスケさんに伊佐坂先生に・・・タマまで実名で出てるけどいいのか?


サラリーマンの悲喜と葛藤がほのぼのとした笑いの裏側で渦巻く。妄想をやがて行動に移すささやかな心の闇。このギャップが切なくも面白い。他、『邪』『嫉』の二編収録。「黒」でも「白」でもない「グレー新堂」に位置するテイストだなこれは。


単行本『背広の下の衝動』を再編集し書き下ろし『賢母』を追加したもの。

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