カケ・景山民夫

2009年8月10日 (月)

遠い海から来たCOO

遠い海から来たCOO (角川文庫)Book遠い海から来たCOO (角川文庫)

著者:景山 民夫
販売元:角川書店
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☆☆☆☆


出版社/著者からの内容紹介
六千万年以上も昔に絶滅したはずのプレシオザウルスの子を発見した洋助。奇跡の恐竜クーと少年とのきらめく至福の日々がはじまったが…。直木賞にかがやく、感動の冒険ファンタジー。(田辺聖子)


再読。


この本を初読した時にまず感じたこと。これは子ども時分に読んだあの『ピーター・パン』だと。物語のプロットや敵と対峙しながらもある種のハートマインドを貫くさまとか・・・不朽のメルヘンであり永遠のファンタジーであると確信した次第です。


少年が父と暮らす島での日常生活が素晴らしいタッチで描かれている。それはまるで手元でフィジー諸島の美景写真集を捲っているかの如く錯覚させるほど。文章もノンフィクションタッチで海洋生物の専門用語などを解説しながら自然と読ませます。


そして少年とCOOとの出会い。少しずつ築き上げたふれあいと信頼。やがてふたりを取り巻く大人社会の陰謀と思惑。メルヘンチックな至福の日々から戦闘モードへと周りの空気が変わっていく様子が切なく悲しく淡々と突き刺すように訴求して来ます。


で、あの素晴らしいエンディングへと至る訳ですが・・・。「COOは私たちの幻想であり、永遠の憧れである」と解説されていましたが、まさにわたしの標榜するところの「いつまでも少年の心をもった大人でありたい」というキャッチにぴかりと響きました。

ボルネオホテル

Borneo
ボルネオホテル
著者:景山民夫
販売元:講談社
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☆☆☆☆


出版社/著者からの内容紹介
嵐の夜、小島の古いホテルに閉じ込められた九人の男女。底無し沼と化したプール、宙を舞う家具、毒虫の大群。邪悪な霊が心と体を乗っ取ろうと襲ってきた。これがホラー小説の原点だ!


再読。


嵐の孤島。そこにある由緒あるホテル。一癖も二癖もある面々が閉じ込められる。クローズドサークルの舞台として申し分なく、単なるミステリのジャンルを超越したホラーサスペンスとして映像を思い浮かべながら読める・・・と言っても語弊がないほどに冴え渡る著者の筆さばき。


怖ぁ〜い物語をコミカルに演じる登場人物たちと、おどろおどろしい小道具に大道具の舞台設定。いくつかの名作秀作を発表して著者自信も一番脂に乗っていた時期の作品だけに、読者に対するエンタテイメントの部分が最大限に発揮されているのが分かります。放送作家出身の著者の遊び心が垣間見れて得した気分ですね。


で、震えるほど怖い悪霊の正体やエロティックな怪奇現象や謎と確執が交差する心理サスペンスやら・・・見どころ読みどころてんこ盛りでまさに目が離せませんとはこのことです。あらすじの詳細(←ネタバレ必至)をお伝え出来ないのが残念です(!)


終盤、何故かイメージとしてボクらのクラブのリーダーは〜♪というあのテーマソングを思いつくが、ここではハイホォ〜♪だったかな(?)・・・と唄いながら悪霊に対峙していく面々を想像すると、可笑しいやら切ないやらそれでいて胸が熱くなる一体感を共有したことに感動する。そんなアドベンチャー・ワールド気分を満喫出来ます。


あ、そうそうこの物語を締めくくるエピローグがまた粋でおしゃれでたまりません。
どうかご一読されてその「大人の茶目っ気」というものを味わっていただければこの上ない幸せです。


PS.この本は現在、諸事情から入手困難となっていますが図書館の蔵書検索で十分ヒットするタイトルであると思われます。

2009年2月20日 (金)

ハックルベリー・フレンズ

C3cc_2

著者:景山民夫
販売元:ブロンズ新社

☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
すべての女の子と、すべての男の子,そして子供の心を忘れない大人たちへ。痛快コラム集。


再読。


著者自身の画による表紙カバーがとてもほのぼのとして愛くるしい。


かつて雑誌『ブルータス』でこの著者の連載エッセイを楽しみにしていた頃。ノリのいい文章で笑わせ、しかし必ず先達者としてのメッセージが込められたそのエッセイに夢中になったものだ。


それは後に単行本となり上梓され、もちろんわたしも手にしました。それから数年、文学賞を受賞されたり、すっかり小説家としての活躍が主立ってきた著者でしたが、意外というかエッセイ本も数冊あり、その中でもとくにハートウォーミング度の高いのが本書です。


すべての女の子と、すべての男の子、そして子供の心を忘れない大人たちへ。


このキャッチにはやられた。でも『キャンティ』の二番煎じか。


女の子たちへのパートは『anan』に、男の子たちへのパートは『宝島』にそれぞれ書かれたもので、微妙な文体の書き分けが心地よい。両雑誌の読者にピンポイントにそれでいて軽〜く投げかけている感じ。


テーマとしては、環境問題に身近に取り組む、身障者の方への思いやり、映画やテレビの業界裏話、ペットとの共生について、車、健康、ファッション、グルメ、ライフスタイル、などなどバラエティに富んでます。タイトルにかけてあるように動物ネタも目につきます。


で、この当時に書かれた問題定義のほとんどが現在において実証されていることに驚く。おしまい。

2009年2月 9日 (月)

ガラスの遊園地

Book_garasuno

著者:景山民夫
販売元:集英社


☆☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
昭和40年代、テレビ界が夢に満ちあふれ、テレビに恋した男たちが、目を輝かせていた。関東テレビに入社した三田村庄市、芸能局配属になって3ヶ月。憧れのバラエティ番組のADになったものの、失敗ばかり、鉄拳と罵声がとびかった。しかし、とてつもなく満足だった。テレビを創る人間たちを、あたたかく描いた長編小説。


再読。


「シャボン玉ホリデー」をテレビで観たのは小学生の時分。確か、まだ低学年だったはず。後のコント55号やドリフ、今で言えばSMAPへと受け継がれる本当の意味での“バラエティ”番組を、お茶の間に提供することに命をかけた面々のセミ・ドキュメンタリーともいえる作品です。


かけ出しADチョボイチの成長物語の形をとりながら、テレビというメディアのもつ魔力と普遍生、時代に奔走されるギョーカイ人たちを面白おかしく、リアリティ溢れるエピソードを織り交ぜながら、筋の通ったストーリーに仕立てています。


テレビの形でいえば、その角が丸っこいアールを描いていた時代に咲いた、苦いながらも夢を見れるという大人のお伽話として楽しめる秀作です。

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