シユ・朱川湊人

2013年8月25日 (日)

満月ケチャップライス

9784062180122

☆☆☆+ 著者:朱川湊人 販売元:講談社 発売日:2012/10/5

内容(「BOOK」データベースより)

あれ以上においしくて元気の出る食べ物は、きっと、この世に存在しない。ある朝、中学一年生の進也は、妹の亜由美に起こされた。台所を見に行くと、知らない男の人が体育坐りで眠っている。3人家族と謎の男チキさんの、忘れられない物語が始まる。

チキさんみたいなタイプの男って今の世の中ではそう珍しくもないのかな、何となくですが。で、子供に好かれる理由というのが自然にわかりますね。

むしろ兄妹のいる家庭にそういう男を引っぱり込む母親の優柔不断さの方が気になる。その辺の状況もよく把握している子供たちはしっかりし過ぎか(笑)

チキさん得意の卵料理「満月ケチャップライス」、超能力のスプーン曲げ、公園のジャングルジムなど昭和臭がそこかしこに散りばめてある。

妹がカルト教団に勧誘される件は『サクラ秘密基地』に収められていた短編を彷彿させる。どちらが先か分からないが伏線のような話だった筈。

絶妙な立ち位置でストーリーに顔をのぞかせる雑誌記者の笠井。胡散臭さ満載の割には最後に世話焼きな面を見せ感心しました。

そして現在のみんなの様子がまた「朱川エンディング」そのもの型通りです。多少の都合良さとちょっぴりのサプライズで味付けされています。

2013年6月24日 (月)

箱庭旅団

9784569805276

☆☆+ 著者:朱川湊人 販売元:PHP研究所 発売日:2012/6/8

内容(「BOOK」データベースより)

ずっと、とっておきたい物語がある『かたみ歌』の直木賞作家が紡ぐ、懐かしくて温かい連作短篇集。

近年スピリチュアルな傾向がそこかしこに感じられる朱川作品。いや、もともとその予感はしていましたが。

で、今回の短編集に至る訳でありますが、程よいスピリチュアル感と乗っけからその類いの話とわかり易く色分けされていました。

私にとってはそのタイトルから大いに期待しましたが残念だったのが『一冊図書館』、ほんとタイトルにやられたと思ったのですが。

そして、かつて感動した『虹とのら犬』のアンサーストーリーかと思えた『クリスマスの犬』が引っ掛かりましたね。

まぁ、途中まで読んで「その手の」雰囲気を感じた時点で読書意欲が半減なんて具合でした。高度(?)な文脈と難解な話はどうにも苦手ですか(笑)

2013年5月 1日 (水)

サクラ秘密基地

9784163820101

☆☆☆ 著者:朱川湊人 販売元:文藝春秋 発売日:2013/3/13

内容(「BOOK」データベースより)

短編の名手、日本のブラッドベリこと朱川湊人が、お贈りする「家族」と「写真」にまつわるちょっぴり不思議で哀しい物語。

「家族」と「写真」にまつわる不思議な話。そして昭和のノスタルジックな風景と相まって懐かしく切ない物語にどっぷりと浸れます。

読んでいて突然衝撃を受けたのは『サクラ秘密基地』の天真爛漫な子供たちの日常と大人たちの身勝手な闇の部分が交錯する事件。

往年のUFOブームを思い出させ、綿密に練られた伏線がラストで強烈に効いて来る『飛行物体ルルー』のファンタジックな世界観。

年長の少女に対する憧れや甘えの感情を紡ぎながら、ひっそりと新聞の片隅で記事になるような事件へといざなう『コスモス書簡』のやるせない倦怠感。

どれも一寸した驚きをサラッと与えてくれます。他、『黄昏アルバム』『月光シスターズ』『スズメ鈴松』の全6編。

2011年2月13日 (日)

鏡の偽乙女

鏡の偽乙女 ─薄紅雪華紋様─ Book 鏡の偽乙女 ─薄紅雪華紋様─

著者:朱川 湊人
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆+

内容(「BOOK」データベースより)
大正三年、東京。画家を志し、家を飛び出す槇島風波。闇を幻視する美貌の天才画家、穂村江雪華。根津蟋蟀館に集う異形の面々。心を略奪する美の蒐集家。変わりゆく帝都を彷徨う未練者たちの怪異。

世はまさに大正浪漫(ロマン)の花咲く時代背景、妖しくも得体の知れない雪華と名乗る奇妙な男の登場。この出だしの大正三年は、東京駅開業、女性パーマ流行、森永ミルクキャラメル発売、そして何より第一次世界大戦勃発の年だったそうな。

主人公の功次郎あらため風波(雪華がつけた号)が、どんどん雪華に惹かれていくという件から、二人三脚コンビとなり奇談に対峙していくという構図が出来上がります。最初の『墓場の傘』などは、そんな二人の関わりを静かに、そして緻密に描写しています。

表題作の『鏡の偽乙女』では、さらに風波と雪華のキャラが確立されて来ます。そしてここで登場する彷徨える魂というか幽霊に、謎掛けされる訳です。これはなかなか面白かったです。その深層心理はちと分かり辛かったですが。

『奇談みれいじゃ』で、盲目の母親の記憶として語られる、真っ赤な夕焼け空のこと、ここが一番じーんと来ましたね。それは大層な宝物だった筈です。次の『壷中の稲妻』も、生きている死者「みれいじゃ」を扱ったネタが続きます。

最後の『夜の夢はまこと』に登場する早大生の平井某とは…後の著名な探偵小説家となるあの御仁なのですね。このタイトルからしてピンと来ました。後世に起こる出来事を退廃的に、さらりとレトリックを用いて描いている、まさに朱川タッチというべき筆の冴えが随所に散りばめられています。

で、本作は線の細いおどろおどろしさ…とでも表現すればよいのか、物語の輪郭がうっすらと見えて来るあぶり出しのような面白さが心地好いです。しかし全編を通して雪華の見せる一抹の薄情さは何だろう。もしかして彼も…なのか。そんな謎を残したまま続編希望です。

2010年6月 9日 (水)

ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント

ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾントBookウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント

著者:朱川 湊人
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆☆☆

内容(「BOOK」データベースより)
ウルトラマンたちは、なぜ命を賭けて戦うのだろう。異星人である私たちのために。若き地球防衛隊員を通して描く、ウルトラマンメビウスの活躍と葛藤。一級品のSF小説として描かれた、ファン必読の新たな「ウルトラマン」像。

GUYS研修生のカナタ隊員のシニカルなキャラがいい味出してますねぇ。ウルトラマンでさえ単なる「異星人」扱いしてる。父を亡くした恨みはそこへ向くのか。

で、ウルトラマンメビウスの正体からしてばればれな設定だが、回りの隊員たちのゆる〜い空気がそれを違和感のないものにしている(笑)。大丈夫か地球防衛軍(!)。

そうか朱川さん、メビウスのTVシリーズに関わっていたんですね。ちぃーとも知らなんだです。ま、これはある新人隊員の成長物語として受け入れれば楽しめます。職場の環境がちと尋常ではありませんが(笑)。


2010年5月23日 (日)

銀河に口笛

銀河に口笛Book銀河に口笛

著者:朱川 湊人
販売元:朝日新聞出版
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☆☆☆+

内容(「BOOK」データベースより)
僕らは親愛なる秘密結社「ウルトラマリン隊」を結成して、みんなが持ち込んでくる不思議な事件の謎に挑んでいた。そんな小学三年生の二学期の始業式の日、不思議な力を持った少年リンダが転校してきた…。虹の七色に乗せて送る、ちょっぴりほろ苦い少年たちの成長物語。

ノスタルジックな朱川作品には荒川区がよく出て来ますね。今回も舞台は三河島商店街あたりみたいだ。仲好し少年探偵団の「ウルトラマリン隊」というネーミングは、安易につけた割りには語呂がいいな。

モッチをはじめとするメンバーのキャラも、あの頃のクラスにいたなぁ…と思い返してみる。あ、流石にリンダはいなかったが。実を言うと、わたしも転校生で子どもながらほろ苦い別れというものを体験しました…。

次々に解決していく事件の途中、顔見知りの人が背負っている悲しみや想いなど、普段の生活の裏側を知り成長していく少年たち。子どもの澄んだ目線で描かれているだけに心に響くものがありますね。

いつもながら、この世界にずっと浸っていたい気になる。読後、リンダのことを思うと「この星の○◯は…」という異星人のセリフが印象的な、あの缶コーヒーのCMが閃いた(笑)。全七話からなる連作短編集。

2010年3月 3日 (水)

太陽の村

太陽の村Book太陽の村

著者:朱川 湊人
販売元:小学館
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☆☆☆

内容(「BOOK」データベースより)
ハワイ帰りの飛行機事故。目が覚めると、そこはド田舎の村。電気・ガス・水道なし。金太郎、桃太郎に仮面の男。田おこし、年貢、人身御供に仇討ち!?本当にどうする俺?フリーターが遭遇した究極の問い。著者新境地のノンストップ・エンタテインメント。

あれ、これ朱川さんの新境地(?)って感じのコミカルな印象です。これまでのノスタルジックでミステリアスな路線に心酔していた身としては、多少面食らいました。しかしすぐに引き込まれ、ふむふむタイムスリップものか…と読み始める。いつもと違う違和感をひきずりつつ。

そう、そこはまるで「七人の侍」の農村を舞台にして、悪の地頭と一戦交える活劇というシチュエーション。相撲取り体型の主人公がどんくさくていい味出てます(笑)。そして太陽の塔とかシンデレラ城とかお馴染みのアイコンが登場するあたりから…訳わかんない冒険アクション小説へと移行していきます。

んで、これは「猿の惑星」なのか(?)過去へ来た筈がじつは未来だったという…。そんなこんなで謎と期待が膨らみます。タイトルの「太陽の村」とは、ほんとに「太陽」だった訳ですよある意味。現代人の堕落した生活への警鐘ともいえるラストのオチには納得するも、簡単にまとめましたぁ的なエンディングでした。

2009年11月 1日 (日)

あした咲く蕾

あした咲く蕾Bookあした咲く蕾

著者:朱川 湊人
販売元:文藝春秋
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☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
「赦されること」と「受け入れられること」それがこの世の中で、一番うつくしいことだと思いませんか。世界一、うつくしい物語。


表題作の『あした咲く蕾』は、このストーリーの本質を見事に言い表わしたタイトルですね。心優しきおばちゃんにカラッとした哀しみを覚えました。つづく『雨つぶ通信』では母の幸せを想う娘の粋な演出が最後の最後で効いている。綺麗で温かなラストに涙ぐんでしまった。


長い間、大切に使って来た道具に魂が宿るというのは聞いた事がありますね。『カンカン軒怪異譚』はそんな道具と強烈キャラのおばちゃんが元気を与えてくれる話です。一転して『空のひと』では初々しくも歯がゆい中学生カップルの初デートの様子がいいな。哀しさ半分明るく微笑ましくいい話です。


『虹とのら犬』は小学校のクラスで孤立する少年といじめられっ子の少女の心温まる話。念ずれば想いは通じるという見本です。ここでも傘が効果的に使われているな。赤い傘。そしてラストにまたしても涙止まらずでした。でも泣き笑い・・・よかったよかった。わたしはこの話が一番沁みましたね。


まるで『わくらば日記』の姉さまのような素敵なおばちゃまが登場する『湯呑の月』。心臓の持病がある点も一緒です。しかしこの話は他と比べると異質で、何だか寂しくなる読後感でした。最後の『花、散ったあと』では腐れ縁の四十男たちの別れの構図。ほら吹きの「フカシマン」とあだ名された親友の面目躍如。


どの話でも「不思議な力」というものが色んなかたちで出て来ます。著者の得意とする領域です。そして昭和のいい時代のエッセンス。読むほどに胸熱く涙腺はゆるくなります。でもそれがとても心地好いんですね・・・不思議なことに。

2009年5月15日 (金)

わくらば追慕抄

わくらば追慕抄Bookわくらば追慕抄

著者:朱川 湊人
販売元:角川グループパブリッシング
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☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
人や物の「記憶」を読み取れるという不思議な力をもった姉の鈴音と、お転婆で姉想いの妹ワッコ。固い絆で結ばれた二人の前に現れた謎の女は、鈴音と同じ力を悪用して他人の過去を暴き立てていた。女の名は御堂吹雪―その冷たい怒りと憎しみに満ちたまなざしが鈴音に向けられて…。今は遠い昭和30年代を舞台に、人の優しさと生きる哀しみをノスタルジックに描く、昭和事件簿「わくらば」シリーズ第2弾。


今回も最初の一行から、すっと物語に入り込めました。


一話ごとの扉絵が舞台となる場所を背景に、仲のいい姉妹を描いている。
二人とも、髪の長さが変わっていたりして、楽しいイラストだな。


『澱みに光るもの』

黒ずくめの怖い女が登場する。鈴音との対決やいかに?
何やら因縁めいた話になって来そうな予感が・・・あたりました。


『黄昏の少年』

戦後復興もまだ間もない頃に起因する、哀しいストーリーでした。
気軽に姉さまの力にすがる人々。体力の減退が心配です。


『冬は冬の花』

わあ、「アカシア商店街」が出て来たので嬉しくなる。
あの『かたみ歌』に登場する懐かしくも不思議な商店街のことです。


『夕凪に祈った日』

う〜ん。白い日傘美人というだけで、わくわくしながら過去の謎解きに興味津々でした。
悲惨な話ながら最後の鈴音の告白にちょっと救われた気がする。


『昔、ずっと昔』

石器から辿る考古学のロマンティックな話なのかなと、思いきや・・・。
家族愛というものについて考えさせられる。エンディングも良かったな。


前作の『わくらば日記』の時のような、血なまぐさい事件が無かったのでホッとしました。
それに、主要人物のキャラ分けが頭の中でしっかり出来ていたのか、今回はさらにテンポ良く読めたかなと・・・。


2009年3月26日 (木)

スメラギの国

スメラギの国Bookスメラギの国

著者:朱川 湊人
販売元:文藝春秋
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☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
かけがえのないものを失ったために、最愛のものを守りつづけるために、愛情は狂気にかわる。不幸な事故をきっかけに、猫と人間の凄絶な闘いがはじまった。


猫VS人間の壮絶な戦いがあるのは知っていたが、その前の猫を虐待するシーンで読むのを中断する。がしかし、小説なんだと割り切り何とか再読。


猫にカミカゼ攻撃させるなんて酷過ぎだな。他に手段は無かったのか。


サイドストーリーでは息子の復讐に執念を燃やす男。その帰りを待つ猫(チョコ)が見たイリュージョンに涙腺が緩んでしまう。ここ朱川マジックの真骨頂かな。


一番のサプライズはジンゴローが◯◯だったなんて!


著者の長編は前回読んでどうかなと思っていたのだが、酷い話ではあるけれどこの不思議なファンタジーには感動した。


但し猫好きには読むの辛いです。

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