オン・恩田 陸

2009年5月 9日 (土)

猫と針

猫と針Book猫と針

著者:恩田 陸
販売元:新潮社
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☆☆☆+


出版社 / 著者からの内容紹介
人はその場にいない人の話をする――。友人の葬式の帰り、久々に学生時代の仲間が集まった。一見なごやかな宴だが、やがて漂う不穏な空気。この集まりの本当の意図とは? 閉鎖空間で展開する心理サスペンス会話劇。戯曲執筆の舞台裏を赤裸々に綴る書き下ろしエッセイ「『猫と針』日記」も収録。遂にベールを脱ぐ、恩田陸〈初戯曲〉。


最初、この台詞のスイッチング状態、読めるかなと不安だった。
がしかし、心理サスペンスなタッチにすぐに嵌りました。


銀行員が視線で殺意を送る話・・・ある意味ぞっとした。
これは似たようなことが確かにある。エア・トラップというかその場の空気で。


つらつらと、その場に居ない人をあげつらう話。
思わず聞き耳たてたくなるような・・・大抵の人はそうだろな。


巻末の日記で「小説を書く人の芝居」と言われた著者の不安げな反応が興味深い。
とはいえ、戯曲台本を書籍化したスタイルには好みの分かれるところでしょうか。


2009年5月 4日 (月)

夜のピクニック

夜のピクニックBook夜のピクニック

著者:恩田 陸
販売元:新潮社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。


淡々とした会話のキャッチボールにより成立する、学校行事を通じての物語。
高校生活でのリアリティある事件や噂話には感慨すら覚えるな。


半幽霊扱いだったアメリカ人少年が、歩行祭を評して集団主義+精神主義の意見に賛成。


しかし、歩行中にも意中の男子をひっかける手練手管に長けた女子軍団!
というより、ここはチームワークの良さを褒めておく。


この行事で体力消耗した状況下だからこそ、本音トークが聞けるのだろうな。
ただ、ダラダラと歩いてた訳じゃないということだ。


全編を通じてノン・ビブラートのようなプロットだが、そこにこの小説の凄みがあるのかな。

2009年4月29日 (水)

黒と茶の幻想

黒と茶の幻想 (Mephisto club)Book黒と茶の幻想 (Mephisto club)

著者:恩田 陸
販売元:講談社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
目の前に、こんなにも雄大な森がひろがっているというのに、あたしは見えない森のことを考えていたのだ。どこか狭い場所で眠っている巨大な森のことを。学生時代の同級生だった利枝子、彰彦、蒔生、節子。卒業から十数年を経て、4人はY島へ旅をする。太古の森林の中で、心中に去来するのは閉ざされた『過去』の闇。旅の終わりまでに謎の織りなす綾は解けるのか…?華麗にして「美しい謎」、恩田陸の全てがつまった最高長編。


もう、決して若いとは言えない4人の視点からみたそれぞれのストーリー。


「美しい謎」をテーマに語られるのは、彼の「海亀のスープ」のような知的(?)推理ゲームのようなエピソード。
UFO、幽霊、超常現象、ミステリ・・・次々に繰り出される設問と、それに対する会話のやりとりがテンポよく進む。


過去の記憶にあった、ひとりの美少女のことがフラッシュバックされる。


しかし、優雅な船旅の先での思考回路というものは、凡庸な日常生活の中では得られないようなインスピレーションが閃くのだろうか。


自分では気づかない自分を他人は知っているということ、しかも三者三様に。
旅先での森が舞台になっていて、それぞれの話の前フリから幻想的な役割を果たしている。


しかし、考えてみるとこんなシンプルなネタでよく600ページもの本が書けたなと、感心する次第でありました。


2009年2月 8日 (日)

夏の名残の薔薇

夏の名残りの薔薇Book夏の名残りの薔薇

著者:恩田 陸
販売元:文藝春秋
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☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
山奥のクラシックなホテルで、毎秋開かれる豪華なパーティ。その年、不吉な前兆とともに、次々と変死事件が起こった。果たして犯人は…。巧妙な仕掛けで読者に挑戦する渾身の一作。


毎年開催される山奥のクラシック・ホテルでの豪華パーティ。華やかな中に秘密と醜聞にまみれた人物が集う。やがてその不穏な雰囲気のなか、起こるべくして起こった変死事件。ミステリーお約束の舞台設定と一癖二癖ある登場人物たち。ホテルの中心ですべてを睥睨するかのような柱時計。これは事件に大きく関わって来ます。


コケティッシュな魅力をふりまく桜子とその弟、時光の関係。さらにカーディーラーとの関係を疑う夫は桜子にぞっこん。パーティの主催者である沢渡三姉妹の悪ふざけと虚言の招くものは。実験小説としての手法が物語にスムーズに入っていく妨げになっているなと思う。「Xの声」のパートが挿入される度に読書意欲が低下していく。


各章ごとに殺人事件が起こり、そのシチュエーションに既視感を覚え、連作短編のように進行するストーリー。しかし、時間軸の相対性すら曖昧に感じてしまう場面も。それは死者が次章では生き返っていたりするからか・・・。


子供の赤い手袋。ミステリーの小道具として効いてます。それに柱時計。


やがて未来と過去が溶け合って物語の幕は閉じるのでした。この辺りも様式美にこだわったところでしょうか。全体を俯瞰して見ると霞がかった印象はぬぐえません。『去年マリエンバートで』のイメージをもってこの本を書いたと著書のコメントがあるが、演劇的で実験的な引用を試みた結果がこのようなスタイルになったらしい。

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