ヨネ・米澤穂信

2015年1月 3日 (土)

満願

9784103014744

☆☆☆ 著者:米澤穂信 販売元:新潮社 発売日:2014/3/20

内容(「BOOK」データベースより)

人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは。驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、交番勤務の警官や在外ビジネスマン、美しき中学生姉妹、フリーライターなどが遭遇する6つの奇妙な事件。入念に磨き上げられた流麗な文章と精緻なロジックで魅せる、ミステリ短篇集の新たな傑作誕生。

『夜警』に描かれている若い警官ですが実際に居そうで妙にリアリティがあった。しかし拳銃管理はここ迄甘くないと思う。シンプルなトリックに辿り着くよう伏線もしっかり記されています。

「衝撃の一行」ではないが意表を突かれたラストにやられた『死人宿』。二段落としの結末はいつも必ずと言っていいほど見抜けない。そしてこんな旅館もどこかにあるのかも・・・。

美貌の母とその美しい二人の娘を描いた『柘榴』。母と娘のパートが一人称で紡がれる。娘たちの幼少時の健気さに心打たれるも、成長と共にギリシャ神話に例えたエピソードが秀逸。

まるで経済小説を読んでいるような錯覚を起こさせる『万灯』の骨太なストーリー。二人のライバル商社マンの対比と、これも「こう来るか」という落ちにある種の安心感を覚えました。

お年寄りの話には耳を傾けましょう!というテーマなのかと思わずにいられない『関守』でした。じわじわとその「正体」が判明した時には・・・という古典的パターンです。

タイトル作品である『満願』は下宿人の苦学生が弁護士になり恩人に借りを返すストーリー。おかみさんとの情緒あるやりとりが良い。トリックにはピンと来ないがおかみの「誇り」を感じる話。

以前読んで高評価とした『儚い羊たちの祝宴』に似た味わいのある短編集だがインパクトは薄め。あれほど各作品に統一感は無く、出来にもバラつきが見られました。

2010年9月 7日 (火)

ふたりの距離の概算

ふたりの距離の概算Bookふたりの距離の概算

著者:米澤 穂信
販売元:角川書店(角川グループパブリッシング)
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☆☆☆

内容(「BOOK」データベースより)
あいつが誰かを傷つけるなんて―俺は信じない。すれ違う心の距離を奉太郎は解き明かせるのか。“古典部”シリーズ最新刊。

あれだけチャーミングに思えた千反田えるですが、前作を読んでから時間が経っていたせいかさほど響くものが無かった。う~ん残念です。奉太郎しっかりせい(笑)。

で、今回は新入部員の大日向さんを中心に展開する話。マラソン大会での限られた時間で解き明かすのは、相変わらず大勢に影響のないような事なんですが…。

例によってのらりくらり、回りくどい言い回しも健在です(笑)。しかしこれ表紙イラストの女の子、下手過ぎというかイメージ違い過ぎな気がします。わたしだけでしょうか(?)。

2010年3月 4日 (木)

追想五断章

追想五断章Book追想五断章

著者:米澤 穂信
販売元:集英社
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☆☆☆+

内容(「BOOK」データベースより)
古書店アルバイトの大学生・菅生芳光は、報酬に惹かれてある依頼を請け負う。依頼人・北里可南子は、亡くなった父が生前に書いた、結末の伏せられた五つの小説を探していた。調査を続けるうち芳光は、未解決のままに終わった事件“アントワープの銃声”の存在を知る。二十二年前のその夜何があったのか?幾重にも隠された真相は?米澤穂信が初めて「青春去りし後の人間」を描く最新長編。

リドルストーリー…か。五篇それぞれの話が示唆するものを探りながら読む。そんな二重の楽しみ方が出来ましたね。そして時代を遡りつつ検証していくことのわくわく感に心地好く浸れました。ただ、わたしが最初気にしていたのは古本屋のバイトのお姉ちゃんでしたが(笑)。

「彼自身の断章」というパートがある意味一番沁みましたねぇ。うーん、めげるな芳光(!)と叱咤激励しながら読む。ストーリー全体の流れの中で、こういう一時避難所的なパートというのはほんとありがたいです。煮詰まって来たアタマの中が癒されます。著者のセンスに感謝ですね。

果たしてこの結末を知ることが主人公にとってどうなのか(?)依頼人との真相解明に対する微妙なズレ(←これも謎のひとつ)が実は利いていたりするんですよワトソンくん。で、わたしの読後感。そーですねぇ、それは親子の情に対する「切なさ」の再認識でしょうか。

2009年7月11日 (土)

秋期限定栗きんとん事件

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)Book秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

著者:米澤 穂信
販売元:東京創元社
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秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)Book秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

著者:米澤 穂信
販売元:東京創元社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
あの日の放課後、手紙で呼び出されて以降、ぼくの幸せな高校生活は始まった。学校中を二人で巡った文化祭。夜風がちょっと寒かったクリスマス。お正月には揃って初詣。ぼくに「小さな誤解でやきもち焼いて口げんか」みたいな日が来るとは、実際、まるで思っていなかったのだ。―それなのに、小鳩君は機会があれば彼女そっちのけで謎解きを繰り広げてしまい…シリーズ第三弾。

今回は一年がかりの連続放火事件に対峙する船戸高校新聞部の面々を中心に進行します。小鳩&小佐内コンビは前作でコンビ解消したので陰ながらの後方支援要員といったところ。二人が新たなパートナーとつき合いはじめてからの深層心理を探る楽しみがありましたね。それぞれカップルのデートシーンとか。


事件そのものについては・・・ごくありふれた動機と多分想定内(?)であろう犯人といった意外性には欠ける展開ですね。この辺り放火事件を引き起こすことへのバックグラウンドが希薄でミステリとしての謎解きというより、単に犯人探しそのものに比重が置かれます。


かつての小佐内さんとの関係を栗きんとんの作り方に例え、裏ごしが足りなかったと解釈する小鳩くん。そして絶妙なお菓子を挟んで二人のスリリングな会話。そんな放課後のひと時がこのシリーズの独特な雰囲気を醸し出していたんだな。と終盤間近になり感慨にふける。


黒胡麻と豆乳のアイスクリーム二種盛り合わせ(きなこをトッピング)が、今回出て来たスイーツメニューの中では一番食指が動いたかな。栗きんとんやマロングラッセなどの「栗もの」が苦手なもので・・・読んでおきながらどうもすみません。

2009年4月22日 (水)

夏期限定トロピカルパフェ事件

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)Book夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

著者:米澤 穂信
販売元:東京創元社
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☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは“小佐内スイーツセレクション・夏”!?待望のシリーズ第二弾。


このシリーズ読みはじめてから、なんか「お子ちゃま向け」ミステリのような気がしていたのだが・・・馴染んだ。


<小佐内スイーツセレクション・夏>のメニュー調べてみました。


シャルロット消失のトリック(あえて言えば)を真剣に組み立て検証するあたり、微笑ましさを通り越してあきれる。
何でもかんでも謎解きにしてしまう。時にその設問を考えたりして楽しい学園生活。


後半は一転して、ダークネスなストーリー展開となっていきます。


驚くべきは、そのエンディングを迎えるために冒頭から伏線が張られていたいたこと。
なるほど!と相槌打つより、してやられた感の方が強かったかな。


スイーツ系の小道具に惑わされがちですが、なかなかどうして本格心理サスペンスの様相すら呈して来た今回の事件顛末でした。


2009年4月21日 (火)

春期限定いちごタルト事件

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)Book春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

著者:米澤 穂信
販売元:東京創元社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。


まったく、殺人の起こらないミステリなのに理屈と閃きで話をもたせてしまう。
というテクニックというか、謎解きをするキャラたちの行動を楽しむストーリーに興味の比重が置かれる。


途中でおいしいココアが飲みたくなりました。


なんかほんわかして、こういう小説を読んでる時こそ、「小市民」の幸せというものを実感させられる。


小鳩&小佐内コンビのお互いの本性(過去の?)が、少しだけ垣間みられる場面があります。
そのあたり、非常に読者の興味をそそるのでは。


果たしてその実体は開けてはならぬ禁断のパンドラの匣なのでしょうか・・・。


で、そんな二人のことが多少なり分かりはじめた所でエンディング。
次回に期待をもたせる上手い終わり方だなこれは・・・。

2009年4月14日 (火)

遠まわりする雛

遠まわりする雛Book遠まわりする雛

著者:米澤 穂信
販売元:角川書店
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
神山高校で噂される怪談話、放課後の教室に流れてきた奇妙な校内放送、摩耶花が里志のために作ったチョコの消失事件―“省エネ少年”折木奉太郎たち古典部のメンバーが遭遇する数々の謎。入部直後から春休みまで、古典部を過ぎゆく一年間を描いた短編集、待望の刊行。


このシリーズの最新作ではあるけれど、何か読んでても気の抜けた感じがする。
前作の一大イベントにまつわる事件で盛り上がった後だからなのか・・・。
それとも一話完結の短編だからそう感じてしまうのかな。


今回はどれも「事件」というほどのものでもなく、身辺雑記的に小さなエピソードを纏めてみましたといった趣です。


『やるべきことなら手短に』、『大罪を犯す』、『正体見たり』、『心あたりのある者は』、
『あきましておめでとう』、『手作りチョコレート事件』、『遠まわりする雛』の七編収録。


作品としては、やはり表題作の『遠まわりする雛』が幻想的とすら思える映像がイメージ出来たりして抜きん出ています。
奉太郎と千反田えるの明るい未来をちょっぴり暗示しているような終わり方も良かったかな。


2009年4月11日 (土)

クドリャフカの順番―「十文字」事件

クドリャフカの順番―「十文字」事件Bookクドリャフカの順番―「十文字」事件

著者:米澤 穂信
販売元:角川書店
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☆☆☆☆


出版社 / 著者からの内容紹介
さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリの傑作登場!
待望の文化祭。だが、折木奉太郎が所属する古典部では大問題が。手違いで文集を作りすぎてしまったのだ。古典部の知名度を上げて文集の完売を目指すため、奉太郎たちは学内で起きた連続盗難事件の謎に挑むことに!


やっとこさ「カンヤ祭」の開催にこぎつけました。
ここまで来るのに二巻を費やした訳か。そう思うと感慨深いものが・・・。


今回は古典部の面々の一人称でパートが構成され、各メンバー目線(トランプのマーク表記)で語られる形をとっている。


奉太郎が万年筆→ワッペン→水鉄砲→小麦粉のわらしべ長者(?)状態に。
これがこの後、どういう効力を発揮するかを知るに至って感心いたしました。


お料理研のイベント、実況バトルは臨場感があって白熱したなあ。


待ちこがれていた姉貴も満を持して登場!
大雑把で投げやりで捻りの利いたなかなかの人物とお見受けしました。
何気にキーパーソンとなる役割を果たしてるし。


何にしても全編にただようこのウキウキする文化祭の雰囲気はいい。


で、「十文字」事件の謎とトリックについては、最後の鮮やかな手口に衝撃を与えられましたね。
これって反則ではという疑惑も含めて(笑)。


戦いすんで日が暮れて・・・といった安堵感のある読後でした。

2009年4月 9日 (木)

愚者のエンドロール

愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)Book愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)

著者:米澤 穂信
販売元:角川書店
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☆☆☆


出版社/著者からの内容紹介
文化祭の準備に追われる古典部のメンバーが、先輩から見せられた自主映画。廃屋で起きたショッキングな殺人シーンで途切れたその映像に隠された真意とは!?ちょっぴりホロ苦系青春ミステリの傑作登場!


未完のビデオ映画を完結させるのに、オブザーバーとなった古典部員たち。


その先輩たちへのインタビューが始まる。
個性的な人たちのはずが何故かみんな決定力不足。そして印象不足でしょうか。


中盤までは何だかのらりくらりしていたな。読んでても堂々巡りしてるようだ。
前作ではウインナーココアで今回はウイスキーボンボンが味のキーワードか。


奉太郎がやらざるを得ないシチュエーションにおかれ、いきなり推理が結実してくる。
同様にストーリー自体も動き出した。というかスピードアップだなこれ。


古典部の面々も結束が強まるというより、各々の自己主張が前面に出てきたのかな。


探偵役を無事やり抜いた安堵感もつかの間、二段落ちの結末が用意されていようとは。
エンディング間近になり濃縮された面白さがどっと溢れ出て来た。


勝負は下駄を履くまでの例え通り、油断のならない終焉でした。

2009年4月 7日 (火)

氷菓

氷菓 (角川スニーカー文庫)Book氷菓 (角川スニーカー文庫)

著者:米澤 穂信
販売元:角川書店
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☆☆☆+


出版社/著者からの内容紹介
第五回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞受賞作!
何事にも積極的に関わらない奉太郎が、姉の命令で入部させられた古典部で、部員の少女の叔父が関わった三十三年前に起きた事件の真相に迫る。省エネ少年と好奇心少女が繰り広げる青春ミステリー。


ずっと読みたかった作品というかシリーズ。
ようやくその機会が訪れ、「古典部」シリーズ第一弾のページを捲ることに。


まずはこの「古典部」を復興した面々のキャラがいいですね。
みんな地味目でいて穏やかに主張する個性というか、わきまえた奴らという気がする。


とりわけ奉太郎が会話の合間に他のキャラ分析をするところ、毎回感心しながら読めました。


事件そのものは別に殺人が起こる訳でもなく、過去の学内の事件を推理検分するというどちらかといえば「安楽椅子型」探偵パターン。


教室や図書室の匂いと空気、それに文化祭の雰囲気など、こちらも想い出に浸りつつ古典部員に同化しました。


「手紙と電話」で出演の奉太郎の姉貴にもただ者ではない所を見せつけられましたね。
また登場する機会あるのかな?ぜひ次回は「実写」版でお願いしたいです。


この著者の作品は先に、大人ミステリやホラー色の強いものを読んでいました。
デビュー作のこの本で甘酸っぱい高校生活の日常ミステリといったカテゴリーを確立したんだな。

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