ノサ・野沢 尚

2010年5月11日 (火)

眠れぬ夜を抱いて

眠れぬ夜を抱いて (幻冬舎文庫)Book眠れぬ夜を抱いて (幻冬舎文庫)

著者:野沢 尚
販売元:幻冬舎
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☆☆☆

出版社/著者からの内容紹介
ひとつの町で連続して起こる一家失踪事件。平凡な主婦、中河悠子(33)は、その町の開発者でもある夫を助けるために独自に調査に乗り出していく。だがそれが悲劇の始まりだとは気づきもしなかった……。超大型サスペンス長編。

これかなり前にTVドラマで観た記憶があります。謎が謎を呼ぶストーリーに翌週が待ち遠しかったはず。キャスティングも何となく覚えてた。ただ、最後の方がどうなったか思い出せないのだ。という訳で新たな期待とともに読み始める。

しかし「そのために」こんな舞台づくりをするとは正に狂気の沙汰としか思えない。種明かしがだんだん判るにつれ荒唐無稽さが浮き彫りになる。う〜ん。これ無理だわ。で、ストーリー中盤にしてミステリな部分が明かされたので後半は流し読みになりました…って単に飽きただけか。

なので、息をもつかせぬ展開で観たTVドラマの印象が強く、小説バージョンは少し拍子抜けしました。やはり野沢さんの本というのは、脚本であり映像向けの作品になってしまうのだなと改めて認識した今日この頃であります。

2009年2月 9日 (月)

烈火の月

烈火の月―THE MOON IN A FURYBook烈火の月―THE MOON IN A FURY

著者:野沢 尚
販売元:小学館
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☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
憎悪と殺意で沸騰する街が生んだ破天荒な刑事・我妻諒介の決死の闘いが始まる―。刑事小説に“最凶”のヒーローが誕生。


麻薬密売の拠点エリアとなった臨海都市に生息する巨悪な権力。そんな犯罪多発地帯が必要とする「毒」とされる破天荒な刑事我妻。ある時、事件捜査の中で押収物である覚醒剤が警察署内から流出している事実に気付く我妻は・・・。


ヤク中の犯人に脳天を割られた温厚な同僚刑事、公私ともに世話になっている先輩刑事の疑惑死、反目しながらも認め合うマトリの女捜査官への監禁陵辱・・・極悪非道な描写が止めどなく繰り出されます。そして上層部の薬物流出疑惑を解明しようと仲間内で孤立していく我妻。


本筋の事件とはずれたシーンでは、我妻が精神障害のある娘とのコミュニケーションをとろうと試みるも、反応がみられないもどかしさと悲壮感が痛いほどに伝わってきました。巨悪に対する我妻の運命は、娘に安息の日々は訪れるのか、後半からエンディングへ緩急をつけた事件解決への加速が素晴らしいです。ただ一つ、マトリの女捜査官が自身に起こった災難を贖罪として受け入れる件には違和感を覚えましたが。


尚、本書は深作欣二→北野武の監督作品となった『その男、凶暴につき』の元脚本を改稿したものですが、映画化されたものは即興的に修正され本書とは別の作品になっています。

砦なき者

砦なき者 (講談社文庫)Book砦なき者 (講談社文庫)

著者:野沢 尚
販売元:講談社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
報道番組『ナイン・トゥ・テン』に売春の元締めとして登場した女子高生が全裸で首を吊った。恋人を番組に殺されたと訴える青年八尋樹一郎の姿は、ライバル局の視聴率を跳ね上げた。メディアが生んだ一人のカリスマ。その邪悪な正体に気づいたのは、砦を追われたテレビマン達だった。『破線のマリス』を超える衝撃。


メディアに殺された恋人への復讐。やがてカリスマとなった若者八尋。しかし、そこには綿密に練られたシナリオが存在した。


番組の「やらせ」が社会問題化する今日、さらに過激な方法論で視聴率戦争を勝ち抜くために「とばし」が行われる実態。事態に翻弄されるテレビ局の現場ディレクター、上層部の面々、連携をはかる警察組織。臨場感あふれる見せ場がつづきます。


どこかの局にいそうな視聴率男のキャスター長沢、テレビマンとしての熱いプライドをもつ赤松。この二人の八尋に対峙する業界人としてのモラルなど、心理描写にはなるほどと納得させられるところも。


その反面「殉教者」として多くの若者の心に生きる八尋の人心掌握術の部分が描ききれていない気がします。終焉に向けてもの足りなかったのも事実です。


2009年2月 8日 (日)

魔笛

魔笛 (講談社文庫)Book魔笛 (講談社文庫)

著者:野沢 尚
販売元:講談社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
白昼、渋谷のスクランブル交差点で爆弾テロ!二千個の鋼鉄球が一瞬のうちに多くの人生を奪った。新興宗教の教祖に死刑判決が下された直後だった。妻が獄中にいる複雑な事情を抱えた刑事鳴尾良輔は実行犯の照屋礼子を突きとめるが、彼女はかつて公安が教団に送り込んだ人物だった。迫真の野沢サスペンス。


爆破テロの実行犯の手記という形ではじまるサスペンス・ストーリー。カルト教団の教祖に死刑判決が下された直後に起こった渋谷スクランブル交差点での大爆破。


その女、照屋玲子は公安の潜入捜査官として教団に潜り込んでいた人物だった。ミイラ取りがミイラになったのか。対するは殺人犯の服役囚を妻にもつ特殊事情の刑事、鳴尾良輔。この二人の背景について語られるくだりはなかなか説得力のある回想録です。


潜入捜査官がテロの犯人という事実を隠蔽しようと画策する、公安の上層部。最近の警察小説では、まず公安警察vs刑事警察の対立ありきでストーリー進行するケースが多いですが、大抵の場合は公安が悪者にされていますね。


そして、そんな警察をあざ笑うかのように次々に爆破テロを実行していく玲子。爆発物特別処理隊の月給手取り18万のあんちゃん真杉。鳴尾と絡む場面が数回ありますが非常にいい味出してます。お互いに認め合える組織内の半端者同士?


あのオウム事件の当事者や周囲のマスコミ人をモデルに、教団擁護派の大学教授や、学生クサさが抜けない教団広報など、ああそういえばそんな人いたなぁ、と思い出す。この辺のリアリティはそのままキャラ拝借です。公安のいけ好かない二人組の片割れが、えげつない死に方をします。それって、どおなんだぁぁぁ!と思うような。いや、思いたくない。


鳴尾の獄中の妻、籘子の存在が大きいですね。ファクスのやり取りで夫に謎解きのアドバイス。夫は捜査機密の漏洩・・・。ここだけ現実ばなれしていて気になる。他の荒唐無稽なプロットは割り切って読めるのに。


終盤、鳴尾と玲子が手錠で繋がれ、電車内で格闘するシーンなんか可笑しい。急に漫画のような展開になってしまう。著者は意表を突いてみたのか。

リミット

リミット (講談社文庫)Bookリミット (講談社文庫)

著者:野沢 尚
販売元:講談社
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☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
連続幼児誘拐事件の謎を追う警視庁捜査一課・特殊犯捜査係勤務の有働公子。婦人警官でなく、一人の母親として事件の当事者となってしまった彼女は、わが子を取り戻すため、犯人のみならず警視庁4万人を敵にまわすことに…。驚愕の展開、そして誰も予想だにしなかった戦慄の結末。ミステリーの到達点。


プロローグからゆるやかに誘拐事件発生の現場へと導入されていき、傍観者として現場にいるかのような感覚に襲われます。三件の事件と三名の幼児被害者の身体特徴とともに、白血球の血液型であるHLA型の特定記述がされているなど、後に判明するこの犯罪の輪郭を冷たく演出しています。


誘拐事件の被害者宅に待機して犯人との交渉にあたる婦人警官公子。しかし、その事件はさらに公子の息子を誘拐するという展開に及んでいく。内通者がいるとして同僚たちに疑いの目を向けながら、わが子が誘拐された事実とそれを報告出来ないもどかしさ、試行錯誤する公子の心労がひしひしと伝わります。


息子の学校や暴風雨の中での決闘シーンでは警官としてでなく、母としての一念で超人的な力を見せる公子ですが、ここまでやるかという違和感を覚えました。確か「銃の腕はからっきし」という設定なのでは。しかし、銃の撃ち合いで聴力を失っていたことに公子がしばらくして気付く件など、ふとした感覚表現の上手さはいつも通りの著者の持ち味だといえます。


『俺たちに明日はない』のボニー&クライドの死にざまに憧れる、犯人側の若い二人のキャラ設定が必要以上に細かく描写されています。おそらく終盤で・・・と著者の狙いはわかるのですが、ストーリーの中の比重からいってもそのメタファーは効果的な形にはなっていません。


そして主犯の女、智永についてのプロフィールも中途半端なものに思えました。仲間との過去のいきさつなどにページ数を費やしていますが、現在の彼女のポジションというものが今ひとつ曖昧に思えます。公子に共感するところで、その裏付けとなる子供に対する意識ですら、おざなりな補足事項の域を出ないのでは。


結末では事件の真相の深さに驚きました。まさか・・・という位に、意表をつく終わり方ではありました。そして意外な首謀者にも。


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