シノ・篠田節子

2009年2月 8日 (日)

仮想儀礼

仮想儀礼〈上〉Book仮想儀礼〈上〉

著者:篠田 節子
販売元:新潮社
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仮想儀礼〈下〉Book仮想儀礼〈下〉

著者:篠田 節子
販売元:新潮社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
信者が三十人いれば、食っていける。五百人いれば、ベンツに乗れる―作家になる夢破れ家族と職を失った正彦と、不倫の果てに相手に去られホームレス同然となった矢口は、9・11で、実業の象徴、ワールドトレードセンターが、宗教という虚業によって破壊されるのを目撃する。長引く不況の下で、大人は漠然とした不安と閉塞感に捕らえられ、若者は退屈しきっている。宗教ほど時代のニーズに合った事業はない。古いマンションの一室。借り物の教義と手作りの仏像で教団を立ち上げた二人の前に現れたのは…。二十一世紀の黙示録的長篇サスペンス。


金儲けだけのために宗教を興す、仕事も家庭もなくした二人の男、正彦と矢口。素人同然のネット宗教からはじめ、やがて企業を抱え込み礼拝堂を建設し信者五千人の教団となる。しかし、スキャンダルを機に分裂と融合の末・・・教団が向かう先には。


教祖にあたる正彦は、元都庁の職員でサラリーマン然とした物腰で、胡散臭さの少ない新興宗教として順調な活動をしていたのもつかの間、脱税、収賄、造反、対立、そして信者家族との攻防など、この手の小説でお馴染みの展開をみせます。


信者の主要メンバーとなる女性たちをはじめ、正彦の元妻や支援者の後妻などの「女」たちの細かな描き分けが良く出来ており、女性著者ならではの筆技と言えます。ストーリーの中盤以降、教団パワーが失速していきますが、それと共に同じようなエピソードの繰り返しと中だるみ感を覚え、この小説自体もパワーダウンしていきます。果たしてここまでのページ数はいらなかったのでは、と思いました。


終盤は最後まで残った少数の女性信者たちに、実質教団を乗っ取られるようになり、その間の正彦の教祖として人の良過ぎる情けなさ、パートナー矢口に対するやるせなさには読みながら苛立たしさを覚えました。この辺り著者の技量は流石といえます。さらに、無性に腹立たしさを覚える井坂なる信者の人物設定が効いていました。


しかし、かつて読破した、やはり長編カルト小説の『カリスマ』(新堂冬樹著)のような、圧倒的な筆力による教祖や教団描写の「迫力」というものは、本作からは感じ得ませんでした。

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