クホ・久保寺健彦

2011年10月21日 (金)

ハロワ!

ハロワ!Bookハロワ!

著者:久保寺 健彦
販売元:集英社
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☆☆☆

内容(「BOOK」データベースより)
就職相談員だって、「仕事」探しに悩む。次々訪れるワケありの求職者たち―めんどくさいけど、憎めない。ハローワーク勤務・28歳男子の奮闘を描く、「お仕事」青春小説。

職場の先輩や同僚の事など、分かっているようでそのじつ何一つ本当の顔を知らない。という事が多分にあるなと再確認させられた内容でした。どこかあいまいな雰囲気を纏った相談員の沢田。主人公としては少し影の薄い印象もありますが、実際に居そうなキャラですね。

ハロワの常連三人組がもっと絡んで来るのかと思ったが、ラストパートまでとくに活躍もなく職場風景といった扱いでしょうか。恋愛パートもどこかもどかしく、ストーリーも地味な話がつづく。

がしかし、ここでは書かれていないが、実は◯◯と◯◯はつき合っていたのでは(?)といった妄想を抱かせるみたいな面白さはある。あれっ、考え過ぎでしょうか。で、この著者にしては後味の悪いエンディングだな。

最後に口笛するディランの名曲『くよくよするな』もなんだか取って付けたようでフォローになってない気がした。あまりカラッとして能天気な話でも困るが、明日への希望という読後感。今回はそれが小っちゃめでした。


2010年10月 2日 (土)

オープン・セサミ

オープン・セサミBookオープン・セサミ

著者:久保寺 健彦
販売元:文藝春秋
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☆☆☆☆

内容(「BOOK」データベースより)
20代、30代、40代、50代、60代、70代。いいオトナたちが経験する、6つの“初めて”。そこには新たな可能性が待っている、かも。

『ラストラ40』
運動会のリレーの準備運動の描写には笑えました。以前読んだ『ブラック・ジャック・キッド』のリレーのシーンを思い出した。感動のレースと共に正直今回も泣き笑いしました。しかしこの著者は運動会で笑いを取るのが得意なのか(笑)。

『彼氏彼氏の事情』
左遷されて来た元エリートの部下に対峙する保険会社の課長。しかしその関係が…これはちょっと変わったテイストの話かもしれない。職場と家庭のスイッチング描写が絶妙ですね。

『さよならは一度だけ』
こういう爺さんは、今じゃほとんど絶滅したのでは。親戚の小学生たちに話す遠い過去の秘密話のくだりには引き込まれます。子供の頃の夏休み風景を懐古させられました。

どれも読み終えた後、少しだけほっこりとした気分になれる全六編。

2009年11月 2日 (月)

中学んとき

中学んときBook中学んとき

著者:久保寺 健彦
販売元:角川書店(角川グループパブリッシング)
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☆☆☆+


内容紹介
そろばん教室の2人に芽生えた思い(「願いましては」)日本一空気を読まない中学3年生鷹野。クラスに漲る負のパワーに彼は--?(「ハードボイルドなあいつ」)などバカみたいで愛おしい、中学3年生たちの日々。


う〜ん。のっけから『純粋恋愛機会』のイタい話に半笑いしながら一緒に情けなくなる。まさに「中学んとき」だからこそ、ありうる話だな。この年代の男子にとって思考回路が既に大人びている女子とのギャップを知るとこうなる。にしてもリアルな結末に言葉をなくしました。


日常生活にイラつきながらある日試みる家出。悪友とふたり現実逃避への旅立ちへとレッツゴーなはずの『逃げ出した夜』など、どの話もトホホ感全開のオチになるのか(?)と思いきや、そろばん塾の仲好し三人組のライバル意識と恋愛感情を爽やかに描いた『願いましては』で少し救われる。ポジティブな未来志向がよかった。


『ハードボイルドなあいつ』は、またかよと言いたくなるいじめの話。ただ、いじめられる側のキャラが斬新で・・・。そして悪い冗談だろというエピローグで締めくくられます。切なく甘酸っぱい時期の出来事。記憶の彼方、中三のわが身を振り返ってみると・・・あっ、鮮明に甦るエピソードがひとつふたつありそうだ(!)

2009年10月 5日 (月)

すべての若き野郎ども

すべての若き野郎どもBookすべての若き野郎ども

著者:久保寺 健彦
販売元:講談社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
生涯戦績、317勝無敗(自称)の達夫と、元暴走族特攻隊長・恭平は、最強コンビを組み「天下統一」を目指す。五つの暴走族、地元のヤクザを向こうに回し旋風脚と皿割りで連戦連勝。そこに立ちはだかる伝説の男の正体は?天下無双のスケールにドラマ化が追いつかない!?でも、とりあえずガンガンいきゃあいいんだよ!TBS・講談社第1回ドラマ原作大賞選考委員特別賞受賞作。


のっけからいきなりの格闘シーンというか、恭平&達夫他青春小僧たちのオラオラなツッパリモード全開バトル(!)ここは漫画モードに変換してイメージしてみる。フムフムなるほど 「ろくでなしBLUES」 や 「ROOKIES」 ・・・って野球はないけどノリという意味で・・・う〜んよくわからん。


そんな中でローカルヒーローの「セブン」には「ブラックジャック」に心酔するアッチョンの姿がオーバーラップしたな。またウルトラセブンの第何話とかマニアックな一面をひけらかす著者(!)こういうの嫌いじゃないです。


色っぽい(!?)ところでは、最強女武道家と化した薫ちゃんも魅力的でしたが、鎌倉の美少女千世のその後についてまったく触れられていないのは不満ですね(!)ああいうミステリアスなお嬢様には憧れてしまうのだよワトソン君(!?)


で、二つの族を壊滅したりハチャメチャパーティーを開催したりヤクザ事務所へ乗り込んだりと、好き勝手やりたい放題の「野郎ども」でした。読後感でいうと恭平と達夫の二人の世界(!)ある種のパラノイア・ワールドにより完結しているストーリーだなあとつくづく思うのでありました。


2009年4月 2日 (木)

みなさん、さようなら

みなさん、さようならBookみなさん、さようなら

著者:久保寺 健彦
販売元:幻冬舎
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☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
芙六小学校を卒業したのは全部で107人。みんな、団地に住んでいた。小学校の卒業式で起きたある事件をきっかけに、団地から出られなくなってしまった渡会悟。それを受け入れた悟は団地で友だちを作り、恋をし、働き、団地の中だけで生きていこうとする。「団地に閉じこもってたら、悟君の友だちは減る一方でしょ。さみしくない、そういうのって?」月日が経つにつれ一人また一人と同級生は減っていき、最愛の恋人も彼の前を去ろうとしていた。悟が団地を出られる日はやってくるのだろうか―。限られた狭い範囲で生きようとした少年が、孤独と葛藤に苛まれながらも伸びやかに成長する姿を描く、極上のエンターテインメントであり感動の物語。第一回パピルス新人賞受賞作。


少しずつ減っていく同級生。107−6=101人(二年目) という章ごとの表記が切ない。
しかし併記される名前考えるの大変だったろうな。卒業生名簿活用かな。


懐かしいな。「みなさん、さようなら」という小学校の下校のあいさつ。


表紙カバーの団地のイラストがイメージと何となくちがう。
仕切りのある続きベランダのはずだが。これかなり重要なところなのに。


お調子者の悟くん。テレビ番組の取材で張り切るもその後の自己嫌悪。
う〜ん。ここすごく共感しました。後から見たらアイタタってこと誰でもあるよね。


団地内の人に単に温かく見守られてっていうんじゃなく、変人扱いされたりしてるリアルさ加減がいい。
ケーキ屋の師匠とか回りの人に恵まれて少しずつ成長する悟だが、その幼稚性がなかなか抜けない。


憧れていた子とつき合いはじめ婚約までしたあげく振られる情けなさ。
親友の薗田が病んでいくさまを身近に見てる悟の目線が上手く描かれてる。


後半になり、それまでの流れからいきなり陰湿でバイオレンスな展開には違和感があった。
そうか、悟が自己鍛錬していた成果を発揮する見せ場だったんだな。と納得してみる。


すべてを優しく見守っていてくれていたヒーさん(母親)の愛情の深さには・・・言葉もありません。


巻末にスペシャル・サンクスとして記載された方々が取材元なのでしょうか。
著者のデビュー作にしてしっかりと読ませるストーリーでした。


2009年3月27日 (金)

空とセイとぼくと

空とセイとぼくとBook空とセイとぼくと

著者:久保寺 健彦
販売元:幻冬舎
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☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
ホームレスだった父親は死んだ。住むところも無い。でも、犬のセイとエサを探し、遊び、一緒に寝ることさえできれば良かった。セイといれたら、それで満足だった。だが、零が一四歳になったころ、セイがフィラリアにかかってしまう。読み書きすらもできないけれど、ずば抜けた嗅覚を持ち、女性の発情が臭いでわかる零は、セイの治療費を捻出するため新宿でホストとして働くことになる。源氏名は「ポチ」。全てが初体験。だが零は次第にその能力を開花させていく―。犬と二人きりで育った数奇な運命の少年が、犬との絆を守りながら成長する姿を、ユーモアとリアリティ溢れる筆致で描いた感動作。


物心ついた頃からホームレスだった少年零。やがてホストになりダンサーとして成功を目指すようになる。傍らには子犬の頃から一緒に育った愛犬セイがいる。


父親が死に引取先の児童養護施設を脱走して愛犬と転々と旅する。そして14歳でホストになる前半の無理目のストーリーをさほど違和感なく読ませる。


カラーギャングにストリートダンサーなど都会に息づくKIDSパワー全開。


犬とじゃれ合い喧嘩してたのがブレイクダンスのベースになってたなんてアリ?と思いつつもその滑らかな文脈になるほどと納得させられる。映像が浮かんだほど。


謎の女の登場やダンスバトルの出場に突然の拉致と零の身辺も慌ただしくなる。


最後に年老いたセイが望んだものとは。哀しいけれど夢のあるエンディングには爽快感すら覚えた。少年零の将来はどうなるのか知りたくなる。


この著者の初めて読んだ本でその達者な文章力に楽しませてもらったので、今回も最初から安心して読むことが出来た。


ちなみに表紙絵はセイの尻尾です。

2009年2月 8日 (日)

ブラック・ジャック・キッド

ブラック・ジャック・キッドBookブラック・ジャック・キッド

著者:久保寺 健彦
販売元:新潮社
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☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
手塚治虫の名作『ブラック・ジャック』をこよなく愛する小学生の和也。「患者」を探して団地を駆け回る毎日にも、否応なく現実ってやつが影を落とす。両親の離別、転校、いじめ…。そんな和也に、少女マンガに夢中の宮内君と、眼鏡を外すと超綺麗な泉さんという親友ができて…。恐るべき新人が描く、ほろりと切ない青春小説の傑作!第19回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。


ブラック・ジャックに憧れ黒い衣装に身を包む和也。「アッチョン」のあだ名で呼ばれる小学生だ。医師になりきり、動物の死骸を探して解剖することに夢中な日々。この少年の葛藤と成長の物語をコミカルにそしてシリアスに綴ります。


学校では、男子VS女子の決闘から上級生との対立、はては運動会の徒競走で、類い稀なる「ブラック・ジャック走り」をみせ、皆の失笑を買うも圧倒的なスピードで疾走する。このくだりには、静かな喫茶で読んでいて笑いをこらえるのに四苦八苦しました。


やがて両親が離婚して転校先でも目立つ黒ずくめのそのファッション。「死神」という不名誉なあだ名で呼ばれるも、ブラック・ジャックに一歩近づけた気がしないでもないアッチョンであった。泉や宮内くんといったクラスメイトとのやりとりにも、将来を見越したような予感がする。ただ単にませガキという訳ではないと思う。ここに登場するガキたちは意外と鋭いのだ。


母親とかつて住んでた町を歩き、想い出話をする中でアッチョンはブラック・ジャックの話題となり嬉しくてのぼせ上がってしまう。そんな無邪気な一面も。中盤にオカルトチックに登場する不思議な少女との出会いと別れ。しかし、そのあと訪れる苦境を救ってくれた少女の力。この辺からファンタジー色が強くなってきます。


ブラック・ジャックにはなれなかったが、それに自己投影しながら成長するアッチョン。家庭環境から、そして現実から逃避しそうになるが、引きこもりではなくポジティブに少年時代を生き抜く。ここ重要なテーマですね。


大人になったアッチョンの姿は、あの頃に想いをはせながらも現在の時間の流れの中で築いた幸せを実感する。も・・・少々あっけない終わり方だった。

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