その女アレックス (文春文庫)
☆☆☆ 著者:ピエール・ルメートル 翻訳:橘 明美 販売元:文藝春秋 発売日:2014/9/2
第一部で誘拐されたアレックスは果たして無事に脱出出来るのか?犯人トラリューの得体の知れなさにも興味を惹かれとりわけネズミとの攻防には予断を許さないものがあります。やがてアレックスが目論んだアイデアに感心。
第二部に入ると被害者である筈のアレックスの正体が徐々に露わになって来る。この辺りから読者を欺くテクニック、予想していた展開を見事に裏切っていく様は読み応え十分。そして怨念を込めたトリックが披露される第三部へ・・・。
過去にアレックスに降りかかった災難にしても事の壮絶さに突っ込みどころも多々ありました。そしてカミーユ刑事とその仲間たちのキャラもなかなか楽しめました。
実に久々の翻訳もの(ブログ初掲載!)でしたが、ありがちな過剰な状況描写や小道具などのオーバーリアリティが思いの他少なく、その点は好印象。で、これはミステリーというより一種の「サイコスリラー」作品を傍観していたという読後感ですかね。
DONAさんのブログから興味を持ち手に取るまで、結構話題になっていた作品とはつゆ知らずでした(笑)
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コメント
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相変わらず素敵な書評ですね~。こんな風に簡潔に的確に文章が書けるようになりたいものです・・。
ネズミとの攻防を読んで、アレックスに対して「こいつ、ただ者じゃないな?」と疑うようにはなったのですが、あまりにも壮絶な人生に泣きそうになりました。でも全体的に面白かったですよね。私も久々に濃いミステリーを読んだ気がしました。
投稿: DONA | 2015年2月25日 (水) 15時45分
>DONA さん
そんなに褒めて頂いても何も出ませんよ(笑)
いやいや、ありがとうございます。
アレックスの「ただ者じゃない」加減が段々エスカレートしていき・・・
後から思えばそんなに驚く事か?と自問するも読書中はハマってましたね。
濃密な時間を過ごせました☆
投稿: mizzo | 2015年2月25日 (水) 21時49分