ラスト・ワルツ
☆☆☆+ 著者:柳 公司 販売元:角川書店 発売日:2015/1/16
疾走する特急車内、仮面舞踏会、ドイツの映画撮影所―加速する頭脳戦、ついに最高潮へ!世界各国で展開する“究極の騙し合い”に生き残れ。日本最高峰のスパイ・ミステリ。
スパイなら当然の所作であろうがやはり読むたびに新鮮さを覚える神経質なほどの用心深さ。
いきなりスリリングな予感をさせる『アジア・エクスプレス』での列車内劇。
ソ連のスパイ機関「スメルシュ」の名が出てくる。かの007シリーズでおなじみの対スパイ殺人機関。「黒い衣装」というのが引っかかると思ったら重要なキーワードとなっていました。
あばずれ娘は貴族の子息。そして彼女の危機を救った若き軍人。いつかの再会を約束して別れる。まるで古いメロドラマそのものの展開。豪華絢爛で華やかなる『舞踏会の夜』に酔いしれる。
そんな「あの人」を思慮する顕子の心情。そして我らが結城大佐の影と彼が果たした役割とは・・・。ああ、全てが粋でスタイリッシュな空間描写の中の出来事!
最後の中編『ワルキューレ』の中に出てくる「国家が文化に関わるとろくな結果にならない」というスパイ雪村の吐いた言葉はこの現代でも生きている。
映画『ジョーカー・ゲーム』の宣伝をバンバン垂れ流している時期を見越した上で「映画の中のスパイ」とは違うという、ある意味映画版を茶化した台詞なんぞグッと来ましたね。
終盤のどんでん返しに至っては最早、著者による「名人芸」の世界というべきなのか・・・。
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映画は見てませんがCMの亀ちゃんをみて
「あんな真っ白の服着てたら目立ちすぎるじゃないか( ̄д ̄)」と思いましたが・・・(^-^;)
早く読みたいなー。
投稿: igaiga | 2015年2月17日 (火) 09時37分
> i g a i g a さん
こんばんみ(・-・。)
真っ白な服って・・・さすが目の付けどころが!
映画の方も気になりますねぇホント。
配役には一言申したい所が有りますが、またの機会に( ̄▽ ̄;)
投稿: mizzo | 2015年2月17日 (火) 21時18分