アヒルと鴨のコインロッカー
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アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア)
著者:伊坂 幸太郎 |
☆☆☆+
引っ越し先で出会ったばかりの男にいきなり本屋の襲撃をもちかけられる。すでに現場でポジションについているところからの導入部。この「いきなり」感がいいな。
「ディラン」の名が出て来てすぐ引き込まれる。
現在と二年前の話のパートが交互に出て来て、途中から物語の輪郭がはっきりとしてくる。曖昧なままの部分もあるのだが。こういう手法は好きだな。それとキレイな男女の登場人物の描写がイメージしやすい。
「わたし」である琴美のことがとても気になってくる。本屋を襲ったあとの車のトリックの説明などセオリーどおり。ふむふむ。こういうフォローがあると安心して次のパートにすすめる。
動物園でレッサーパンダを盗み出す子供たち。いいねえ。
ブータンと日本という二つの国をタイトルに上手くひっかけてある。その表現の仕方がなんとなくアメリカン・ジョークのように思える。いいセンスと言う意味で。
終盤になりミステリの部分がはっきりしてくるのだが、犯罪を遠くから語るようなドライな文体が冷静に読ませる。まぁ、復讐という部分のところなんですが。そして、はにかんだようなエンディングは、三人の物語には入っていないと認識する「僕」の心情のようだ。
それにしても「神様」をそんなとこに閉じ込めるのか(笑)。
ずっと行方不明だった黒い柴犬がおいしい役もってった。
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話題のブータンを先に出してきているところがすごいですよね。
「神様」を閉じ込めて、自分が必要なときだけ出してこられたらどんなに良いか・・。
面白いこと考える作家さんですね。
投稿: DONA | 2012年12月23日 (日) 17時57分
>DONAさん
このシニカルでいて何処か暖かい世界観に浸ってしまいました。
発想が斬新で静かな衝撃を覚えましたね...。
そういえばこの所ご無沙汰です伊坂作品。ほんと次何読もうかな。
投稿: mizzo | 2012年12月23日 (日) 20時45分