名探偵はもういない

名探偵はもういない (講談社ノベルス)Book名探偵はもういない (講談社ノベルス)

著者:霧舎 巧
販売元:講談社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
もうすぐ小学4年生の敬二少年は義兄の木岬研吾と共にドライブ旅行に出かけるが、雪崩に道路をふさがれ近くのペンションに泊まることに。その雪の山荘で起きる連続怪死事件の謎を「名探偵」が解き明かす、本格推理の決定版。真相への手がかりはすべて提示される「読者への挑戦状」付き。あなたは犯人に到達できる。


主人公の犯罪心理学者と山荘の若い女主人のドラマチックな再会。でもミステリならではの台詞まわしや会話の作為性はやはり否めませんねえ。これ永遠のテーマです。誰も突き破れない壁。しかしこの二人が目にする雪世界でのラブシーンには、どこか日本の小説でないような幻想的な描写です。綺麗すぎるかも・・・気恥ずかしさを込めて言えば。


しかしホントに名探偵が登場してしまうとは。しかもあの人が・・・啞然(!)そんな超有名人の一挙一動に目が離せません。そして陸の孤島となった山荘の人々も意外な身分を明かす・・・っていかにも推理小説していて可笑しくなる。と思う間もなく主人公だった人が(!)それに既婚者だったとは・・・と悪い冗談のような展開に目が点(!)


読者への挑戦をはさみ物語はいよいよ佳境へ・・・というほどの緊張感はないですね何故か。雪景色の中、どこかのんびりと状況証拠として残されたものをパズルのように組み合わせたりして、みんなの推理をつき合わせるといった具合です。で、複雑な人間関係が重要な線で結ばれていたりして。普通には楽しめたかな。

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活動写真の女

活動写真の女 (集英社文庫)Book活動写真の女 (集英社文庫)

著者:浅田 次郎
販売元:集英社
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☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
昭和四十四年、京都。大学の新入生で、大の日本映画ファンの「僕」は友人の清家忠昭の紹介で、古き良き映画の都・太秦の撮影所でアルバイトをすることになった。そんなある日、清家は撮影現場で絶世の美女と出会い、激しい恋に落ちる。しかし、彼女は三十年も前に死んだ大部屋女優だった―。若さゆえの不安や切なさ、不器用な恋。失われた時代への郷愁に満ちた瑞々しい青春恋愛小説の傑作。


時空を越えたノスタルジアもの。戦前の美人女優と大学生の主人公の激しくも儚い恋模様がメインストーリーですが、京都の町と大学生が闊歩する様子が青春してるなって雰囲気を盛り上げます。仲間たちとのやりとりひとつ取ってみてもそこには故郷から出て来た若者の息吹がある。と感じた。


著者お得意の幽霊ものだけあって、その登場の仕方と消え去り方がごく自然(って言い方も変だが)でスイッチのONとOFを何気に切り替えてるみたいだ。あまり上手い例えではないな・・・。それと映画への憧憬の念がひしひしと伝わってきますね。著者の想いを作中人物に語らせているのがクサくなくていいですね。


手法としては同類の『地下鉄に乗って』などもそうだが、時代と時代をワープすることが頻繁でも前後の話が違和感なくつながるのは、やはり著者の技量によるものでしょうな。で、今回の話などとくに映像化していただきたいですね。あの伏見夕霞を誰にキャスティングするのかなど、興味が尽きません。

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白夜街道

白夜街道Book白夜街道

著者:今野 敏
販売元:文藝春秋
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☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
外務省職員がロシア貿易商と密談した後、怪死した!その貿易商と一緒に来日していたのは、元KGBの殺し屋・ヴィクトルだった!警視庁公安部・倉島警部補は二人を追ってロシアへ飛ぶが…。マフィアとテロリストたちをも巻き込んだ緊迫の追跡捜査を描く、超硬質アクションノヴェル。


前作の『曙光の街』ではやる気の無い公安警察官だった倉島ですが、あの事件を境に一皮むけたみたいだ。で、殺し屋ヴィクトルは今回はボディガード役で普通に入国して来る。えっ(!?)と思う間もなく既に事件は始まっていた・・・。ふむふむ今回もオープニングから軽快なテンポで読ませます。


中盤から一変してロシアンパートに入ります。倉島は刑事部の牛場というおっさんと組むことになるのだが、これがまた突っ込みどころ満載のキャラ。シリアスな展開だが気分は珍道中ですなこのあたり。幻想的な白樺が続く大平原の風景はまさにロシア(!)だと思う。その反面、市街の描写が心もとないのが気になったかな。


クライマックスは別荘で敵と味方が入り乱れての銃撃戦。さすがのヴィクトルも今回は少々疑心暗鬼になっているみたいだ。で、倉島が一方的に思っているだけかも知れないが、ヴィクトルたちに対する奇妙な友情を覚えつつ、意外にも爽快感のあるエンディングでした。


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ポルナレフ・ベスト

ポルナレフ・ベストMusicポルナレフ・ベスト

アーティスト:ミッシェル・ポルナレフ
販売元:ユニバーサル インターナショナル
発売日:2006/01/25
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☆☆☆☆


内容(「CDジャーナル」データベースより)
欧州のみならず、日本でも世代が一周するたびに再評価されるミッシェル・ポルナレフの名曲20曲を収録。代表曲である「シェリーに口づけ」を筆頭にロマンティックでポップな名曲が満載。


1998年フランスW杯の時の応援歌「アレ!アレアレ!ジャポン!」に姿を変えたり、数年ごとにCMソングで耳にする『シェリーに口づけ』は誰でも一度は耳にしたことがあるはず。♪ほりでぃ〜おぉほりでぃ、そのハイトーン・ヴォイスで空の上から俯瞰して景色を見るような錯覚に陥る『愛の休日』も言わずもがなの名曲。


近年、変わり果てた姿をY◯◯T◯b◯で見かけたりするのですが、十年位前のライヴCDを輸入レコード店で入手して懐かしんだり、新アレンジに感動したりしていました。その中で『君との愛がすべて』という往年のメロディアスなバラードが、多少気怠いミディアムテンポのロックナンバーに変身していてカッコ良かった(!)


そんな新発見をした曲とこのオリジナルのアレンジとを比べてみるのがまた楽しいんです。わたしのオススメは上記の曲の他に『愛の願い』、『ノン・ノン人形』、『渚の想い出』あたりでしょうか。友達の家でゴールデンポップスのLPレコードではじめてポルナレフを聴いたのは多分、小学生の頃かな・・・よく覚えてまへん。


http://www.youtube.com/watch?v=HHuE6K6Qd10


P1020843_p

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かび

かび (小学館文庫)Bookかび (小学館文庫)

著者:山本 甲士
販売元:小学館
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☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
幼稚園の送り迎えでの些細なトラブル、ねちっこく繰り返される姑のいやみ、ウェイトレスの尊大な態度…。日日の怒りを呑み込んで、波風を立てずに生きてきた主婦・友希江。しかし勤務中に脳梗塞で倒れた夫を退職に追い込もうとする会社のやり口に、ついにキレた!主婦一人、地元の大企業相手に、手段を選ばぬ報復を開始!誰にでもある日常の不満から、嫌がらせの応酬や不法侵入などなど、しつこくえげつない闘争へと突入していく様は、あまりにリアル。人間誰しもが孕む狂気を、緻密に描き出す「巻き込まれ型小説」の傑作、ついに文庫化。


いきなり子どもの送り迎えに際しての出来事にいら立つ主婦。この静かに感情が高揚して来る入り方が絶妙です。で、主人が勤務中に倒れ入院。労災申請や復帰後の扱いなど大企業側のエゴと圧力がのしかかる。それに対峙する主婦のメンタル面での変貌が、もろストーリーの面白さに反映されています。


この主人公の主婦の心情を思うとおおむね共感出来るのだが、だんだん反撃手段がエスカレートしていき同時に自分が強くなったという錯覚に陥る。このあたりから、人の不幸や災難をほくそ笑む嫌な女へと脱皮していく。でも不快感はそれほどないな。小さい娘とのやりとりがクッションになっているからか。にしてもこの場面場面のスイッチングとスピード感に読書欲をそそられましたわ。


しかし、悪事(主人公側の)に綻びが生じるのはお約束というか、ある意味ホッとする結末かな。以前読んだ『どろ』では、憎しみがエスカレートした末のやり過ぎの結末に呆然としたものだが、今回はぎりぎりの所で踏みとどまったみたいですね。ちなみにタイトルも思いっきり取って付けたというものです(表紙イラスト理解出来ん!)。


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中学んとき

中学んときBook中学んとき

著者:久保寺 健彦
販売元:角川書店(角川グループパブリッシング)
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☆☆☆+


内容紹介
そろばん教室の2人に芽生えた思い(「願いましては」)日本一空気を読まない中学3年生鷹野。クラスに漲る負のパワーに彼は--?(「ハードボイルドなあいつ」)などバカみたいで愛おしい、中学3年生たちの日々。


う〜ん。のっけから『純粋恋愛機会』のイタい話に半笑いしながら一緒に情けなくなる。まさに「中学んとき」だからこそ、ありうる話だな。この年代の男子にとって思考回路が既に大人びている女子とのギャップを知るとこうなる。にしてもリアルな結末に言葉をなくしました。


日常生活にイラつきながらある日試みる家出。悪友とふたり現実逃避への旅立ちへとレッツゴーなはずの『逃げ出した夜』など、どの話もトホホ感全開のオチになるのか(?)と思いきや、そろばん塾の仲好し三人組のライバル意識と恋愛感情を爽やかに描いた『願いましては』で少し救われる。ポジティブな未来志向がよかった。


『ハードボイルドなあいつ』は、またかよと言いたくなるいじめの話。ただ、いじめられる側のキャラが斬新で・・・。そして悪い冗談だろというエピローグで締めくくられます。切なく甘酸っぱい時期の出来事。記憶の彼方、中三のわが身を振り返ってみると・・・あっ、鮮明に甦るエピソードがひとつふたつありそうだ(!)

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あした咲く蕾

あした咲く蕾Bookあした咲く蕾

著者:朱川 湊人
販売元:文藝春秋
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☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
「赦されること」と「受け入れられること」それがこの世の中で、一番うつくしいことだと思いませんか。世界一、うつくしい物語。


表題作の『あした咲く蕾』は、このストーリーの本質を見事に言い表わしたタイトルですね。心優しきおばちゃんにカラッとした哀しみを覚えました。つづく『雨つぶ通信』では母の幸せを想う娘の粋な演出が最後の最後で効いている。綺麗で温かなラストに涙ぐんでしまった。


長い間、大切に使って来た道具に魂が宿るというのは聞いた事がありますね。『カンカン軒怪異譚』はそんな道具と強烈キャラのおばちゃんが元気を与えてくれる話です。一転して『空のひと』では初々しくも歯がゆい中学生カップルの初デートの様子がいいな。哀しさ半分明るく微笑ましくいい話です。


『虹とのら犬』は小学校のクラスで孤立する少年といじめられっ子の少女の心温まる話。念ずれば想いは通じるという見本です。ここでも傘が効果的に使われているな。赤い傘。そしてラストにまたしても涙止まらずでした。でも泣き笑い・・・よかったよかった。わたしはこの話が一番沁みましたね。


まるで『わくらば日記』の姉さまのような素敵なおばちゃまが登場する『湯呑の月』。心臓の持病がある点も一緒です。しかしこの話は他と比べると異質で、何だか寂しくなる読後感でした。最後の『花、散ったあと』では腐れ縁の四十男たちの別れの構図。ほら吹きの「フカシマン」とあだ名された親友の面目躍如。


どの話でも「不思議な力」というものが色んなかたちで出て来ます。著者の得意とする領域です。そして昭和のいい時代のエッセンス。読むほどに胸熱く涙腺はゆるくなります。でもそれがとても心地好いんですね・・・不思議なことに。

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臨場

臨場Book臨場

著者:横山 秀夫
販売元:光文社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
臨場―警察組織では、事件現場に臨み、初動捜査に当たることをいう。‘終身検視官’の異名を持つ倉石は、他の者たちとは異質の「眼」を持っていた。‘終身検視官’、死者の人生を救えるか―。組織と個人、職務と情、警察小説の圧倒的世界。


倉石検視官。渋いっすねぇ〜。組織の中の一匹狼でアンタッチャブルな存在みたいだ。上官に対しても物怖じしないというかタメグチなんだなこれが。いい歳してありえん(!)それに鑑識と刑事たちとの対立(という程でもないが)の構図。捜査上の縄張りというか棲み分けというかそのやりとりが面白い。


そんなある県警管内の事件と検視を通じて人間の喜怒哀楽というものが、静かにそして鮮やかに浮かび上がる。まるで焙り出しの絵のようにそうするのが調査官の腕なんだろうな。事件そのものは、痴情のもつれや計画殺人や偽装殺人とか自殺などで結構専門的な切り口で事件は解明されていきます。


前回読んだ短編集もそうでしたが、じわじわと謎に近づいて行く緊張感が味わえます。それとは対照的なのほほんとした警察官たちの会話も楽しめ、淡々としたストーリー。絵に例えるならパステル画、いや水墨画のイメージでしょうか。幻想的な奥行きがあるというか・・・。で、倉石調査官はもとより、その後輩調査官や定年の刑事部長などなど脇キャラが善戦してます。全八編収録。

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曙光の街

曙光の街 (文春文庫)Book曙光の街 (文春文庫)

著者:今野 敏
販売元:文藝春秋
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☆☆☆+


内容(「BOOK」データベースより)
元KGBの殺し屋・ヴィクトルが日本に潜入した!標的は赤坂で勢力を伸ばすヤクザ組長。迎え撃つは、プロ野球生活に挫折して組幹部になった兵藤と情報収集に単調な日々を送っていた警視庁公安部・倉島警部補。三人の男が緊迫した戦いの果てに見いだしたものは―。男たちの挫折と再生を描くネオ・アクションノヴェル誕生。


これは久々に骨太のクライムノベルだなと感じるオープニングの緊張感。殺し屋、公安警察、ヤクザの三者三様の横顔をなぞりながらゆっくりと本題に導く。うん。こういう序章のわくわく感というのはたまりませんねえ。


単にアクションや車のシーンのそれではなく、ストーリー全体にスピード感があるのだ。似ているようで異なるキャラの描き分けも上手いな。意外性のあるドラマが隠されていたりしてページを捲る手も早まります。


ラストに向かって何だかみんなが「いい人」になっていく。変な仲間意識や同情なんかが見え隠れして。う〜む。これまでのスリリングな展開を考えると安くなって惜しい・・・。でもそれぞれの後日談など丁寧な終わり方は良しです。

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夕映え天使

夕映え天使Book夕映え天使

著者:浅田 次郎
販売元:新潮社
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☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)
さびれた商店街の、父と息子二人だけの小さな中華料理店。味気ない日々を過ごす俺たちの前に現れた天使のような女・純子。あいつは線香花火のように儚い思い出を俺たちに残し、突然消えてしまった。表題作「夕映え天使」をはじめ、「切符」「特別な一日」「琥珀」「丘の上の白い家」「樹海の人」の6編の短篇を収録。特別な一日の普通の出来事、日常の生活に起こる特別な事件。


浅田作品の特徴のひとつにそのエンディングの形態がある。と読んでいて思い出した。何やらふわふわしたバリアーに包まれた気分のまま、或いはどっちの解釈をとるかは読者にゆだねたり、またある時は理解不能な言葉の固まりだったり・・・。


本書はタイトルからしてハートウォーミングなストーリー満載かと勝手に思い込んでいたが、意外やマイナーでじめじめとした感触の話もあり、そういった意味では色んなテイストが楽しめました。と言ったら語弊があるな・・・多少テンション下がりましたがそれなりに楽しめました(←本心)


中には途中からストーリーが飛躍してこれ無理やん(!)と思うナンセンスな作品もあったが、この著者ならそれも有りうるなと納得した次第です。わたしは『丘の上の白い家』がらしいなという感じで良かったです。このところ著者の短編集はどれも同じに思えて味気ないかな・・・ファンのつぶやきでしたー。

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