2012年5月23日 (水)

共鳴

11245440

☆☆☆ 著者:堂場瞬一 販売元:中央公論新社 発売日:2011/7/25

内容(「BOOK」データベースより)
祖父・麻生和馬・元刑事/頑固一徹対孫・新城将・無職/引きこもり。ご近所トラブルの解決に精を出す和馬とネット命の将とのぎこちない同居生活。ある日、近所の高校生から「両親が祖母を安楽死させたのではないか」と悩みを打ち明けられ、将は心の奥底に封じ込めていたある疑惑を蘇らせた。共に暮らす中で祖父の生き方を知り、孫は真相を探ろうと決心する。

警察官OBの祖父とひきこもりのその孫を中心に、崩壊してしまった家族関係をなぞっていくストーリー。なもんで従来の堂場作品に馴染んでいる身としては、その違和感に戸惑いました。

ここで取り上げているのは「老人介護」について。もはや社会問題化しているテーマであり、どう絡んで来るのかと期待してたら普通に直球勝負でした。

何かが起きるという緊張感に引きずられて読み進む。が、のどかな地方の風景がのんべんだらり感を醸しているんですね。なのでこちらも自然と脱力してリラックスモード。

で、事件らしい事件もあるのですが、やはり家族問題にスポットを当てた硬派な話かな。中心となる若い衆のキャラは全然そんなことは有りませんが(笑)ひきこもりの孫がネット繋がりのメール相手とのフラグはいらんかった。

2012年5月12日 (土)

化合

11253857

☆☆☆ 著者:今野 敏 販売元:講談社 発売日:2011/7/8

内容説明
検事の筋を覆すのは科学捜査と刑事の誇り 1990年、科学捜査の夜明け。猛スピードで犯人逮捕に向かう検事主導の捜査本部に、若き警視庁捜一刑事は抗えるのか。「落ちるな。必ず証拠を見つけ出すから」

うむむ、冤罪はこうやって造られるのかと昨今の事件を回想する。殺人事件そのものは最初から結末が透けて見えました。

本庁の若きエリートと所轄のベテラン刑事コンビ。しかし久々に内容のあるいいチームだったな。検事に相対する管理官以下一同のことです。

謎を推理するほどのストーリーでもなく、人間関係にのめり込み肩入れするでもなく、司法のあり方にささやかな疑問を抱く程度か。

もっとアクティブに躍動する若手刑事の話かと思っていたのだが、読後感じるところは他にあったかな。あっという間の一気読みでした。


2012年5月 3日 (木)

三匹のおっさん ふたたび

11577232

☆☆☆+ 著者:有川 浩 販売元:文藝春秋 発売日:2012/3/28

内容紹介
剣道の達人・キヨ、柔道の達人・シゲ、機械をいじらせたら右に出る者なしのノリ。「還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか!」と、ご近所の悪を斬るあの三人が帰ってきた! 書店万引き、不法投棄、お祭りの資金繰りなど、日本中に転がっている、身近だからこそ厄介な問題に、今回も三匹が立ち上がります。

「三匹」は第一作を読んだ限りでは、はっきりそれほど響くものが無かった気がした。判で押した様なキャラ立ちのおっさん3人に、「如何にも」臭を感じたからか。町内活劇譚としては面白いですが。

がしかし、今回随分と間をおいて本作を読み始めると、いやぁ〜これが何の苦もなくすいすいとページが進みます。「三匹」の家族にスポットを当てたストーリーが多いせいか、熱くなり過ぎず丁度良い湯加減でした(笑)

祐希と早苗のラブコメ路線も鼻につくこともなく、いい距離感を保ってるなと妙にホッとする。ボーナストラックの「好きだよと言えずに初恋は、」については、う〜む...この場では多くを語るまい。


2012年4月24日 (火)

越境捜査3 破断

11363197

☆☆☆ 著者:笹本稜平 販売元:双葉社 発売日:2011/10/23

内容紹介
迷宮入り事件を担当する警視庁捜査一課の鷺沼は、新年早々神奈川県警・宮野から、警察の制式拳銃だったニューナンブが失踪中の右翼の大物が死体で発見された現場から見つかったという話を聞く。捜査に着手する鷺沼らに公安警察が接触してくる。三たび、コンビを組むことになった2人にたちはだかる巨大な陰謀の影。絶好調の『越境捜査』シリーズ第三作。ドラマ化も決定。

以前にもその機雷はあったのだが、鷺沼さん今回は完全に宮野に食われてるなぁ。

この金髪刑事という宮野のチャラいキャラには違和感があったが、先日、交通整理をしていた若い茶髪警官を発見して妙に納得する(笑)

失踪事件と警察機構の汚職という地味なストーリーですが、お馴染みの三好や井上、そして福富といった面子の掛け合いで繋ぎます。

公安捜査管の描かれ方がここでも気の毒なくらい酷い扱いだ。しかし金回りの良さそうな身なりをしていたり嫌味なイメージがあるのも確か。

で、マニラ出張という海外ロケ(?)という展開になり、いつものパターンでエンディングまでまっしぐらです。


2012年4月15日 (日)

幻の1940年計画―太平洋戦争の前夜、“奇跡の都市”が誕生した

9784757216600_120

☆☆☆+ 著者:指南役 販売元:アスペクト 発売日:2009/4/6

内容(「BOOK」データベースより)
1940年の帝都、東京―。太平洋戦争が回避された都市は4大イベントで輝いていた。歴史の「if」をもとに展開される異色のマーケティング、そして都市論。

もし…が、なければ。まさに帝都「東京」が、世界のビッグシティに名乗りを上げる前夜の隆盛。それは壮大なスケールで描かれる祭典の舞台裏を検証してみて気づく事。

それは、現在の東京と驚く程の類似性が見えて来るという奇妙な既視感か。新幹線もオリンピックも万博もテレビ放送も1940年にその構想が実現していたという驚愕の事実。

これは単に当時の著名人のコメントを引用したり、スクープ記事を掘り起こしただけの回想録ではなく、史実に基づいた検証がしっかりと成されたスクラップブックだと捉えています。

2012年3月22日 (木)

七つの証言 - 刑事・鳴沢了外伝

11518586

☆☆☆ 著者:堂場瞬一 販売元:中央公論新社 発売日:2012/2/25

内容紹介
日々起きる事件、そのとき鳴沢が取った行動とは? 冴や藤田、勇樹ら七人の目を通して見た鳴沢了という刑事の生き様。人気シリーズ外伝登場!

「瞬断」
あの「失踪人捜査課」の高城賢吾の目を通して描かれる鳴沢の姿。高城とコンビを組む愛美の二人に対する態度が面白い。しかしここでの鳴沢了、カッコ良過ぎだな。

「強靭」
以前、鳴沢シリーズ最終話にゲスト出演した、あの「神の領域」の城戸検事が回想する話。聞き手は、これまた鳴沢とは浅からぬ縁の作家、長瀬龍一郎です。警視庁と神奈川県警の子供じみたいがみ合いが笑える。

「脱出」
絶体絶命の危機に晒された鳴沢と相棒の藤田。結婚した鳴沢の「家庭」に対するスタンスが伺える。人間が丸くなり、精神的なゆとりを手にしたのかな。二つの意味で息の詰まる展開でした。

「不変」
映画スターとなり来日した鳴沢の息子勇樹。そのボディ・ガードを任されたのは、今は私立探偵となった小野寺冴。ラストの会話で鳴沢と正反対の最も刑事らしくない男、大友鉄が登場。ここでタイトルの意味が分かり爆笑。

鳴沢本人が活躍する話と、これまで彼に関わった人物にスポットをあてた話が楽しめる。こういう短編で鳴沢の姿を見るというのは、少なからず違和感がありました。全7編。

2012年3月11日 (日)

ヒア・カムズ・ザ・サン

11416879_2

☆☆☆ 著者:有川 浩 販売元:新潮社 発売日:2011/11/20

内容(「BOOK」データベースより)
真也は30歳。出版社で編集の仕事をしている。彼は幼い頃から、品物や場所に残された、人間の記憶が見えた。強い記憶は鮮やかに。何年経っても、鮮やかに。ある日、真也は会社の同僚のカオルとともに成田空港へ行く。カオルの父が、アメリカから20年ぶりに帰国したのだ。父は、ハリウッドで映画の仕事をしていると言う。しかし、真也の目には、全く違う景色が見えた…。

最初の「ヒア・カムズ・ザ・サン」は、アメリカで成功した映像作家であるカオルの父が、ミステリアスな登場の仕方だなと思っていたら...案の定(笑)でも、妙にこなれた展開というか、やっつけ感がどことなく見え隠れしたな。ストーリー自体は面白いですが。

「ヒア・カムズ・ザ・サン Parallel」の方は、よりリアルにお父さんが描かれています。父娘、元妻、そして娘の彼氏とその家族にまで見栄を張ってしまう虚しさ。そんなグダグダ感一杯ながら、エンディングに雪崩れ込めば、いつもの有川ラブコメワールドの読後感でしたね。

わずか7行のあらすじから、ここまでドラマを膨らませるというのも流石です。しかも、人物設定はそのままに2作も(!)この本を手に取った時、まさかこんな仕組みになっているとはつゆ知らず、なんか得した気分になれました。

2012年3月 8日 (木)

昭和ジュークボックス

1532579

☆☆☆+ 著者:森まゆみ 販売元:旬報社 発売日:2003/3/10

内容(「MARC」データベースより)
家は狭いけど心は広かった。空き地、路地、物干し、花電車、街頭テレビ、足踏みミシン、銀ブラ…。昭和30~40年代の歌のある東京アルバム。

以前、『断髪のモダンガール』を読んで、その構成力と主人公となる女性たちのエピソードに相対する姿勢に好感をもっていた著者です。

今回は、その「森まゆみ」等身大の幼年期から近年までを、実にノスタルジックに、そしてオープンマインドで育ちの良さが滲み出た内容となっています。

わたしより、ワンゼネレーションと一寸上の人ですが、高度成長期をピークとした昭和の原風景が、朧げな記憶の中から甦って来ました。

しかし、小学校の給食を不味いと思うか美味しいと感じるかで、当時の家庭環境がよく分かる件には妙に納得しました。

2012年2月26日 (日)

明治 大正 昭和 不良少女伝---莫連女と少女ギャング団

6257244

☆☆☆ 著者:平山亜佐子 販売元:河出書房新社 発売日:2009/12/1

内容紹介
すれっからしのバッド・ガールたちの数々の伝説が今ここに!銀杏返し組は堕落書生を成敗し、丸ビルハート団は春をひさぐ…ジャンダークのおきみが、ガルボのお政が、魔都・東京を跋扈する!自由を追い求めた近代少女(モダンガール)たちの軌跡。

「丸の内」のステータスである「丸ビル」を舞台に繰り広げられる不良少女たちの活躍ぶり。今で言うなら歴としたOLなのだが、勤務先のビル内でカツアゲ、窃盗、売春と傍若無人の行い。

その「ハート団」という不良グループを率いるのは、丸ビル一の美人タイピストを噂されれた「お君」なる女性。そんな彼女たちの蛮行と混沌とした時代の「魔都東京」の空気を鋭利な文章で捉えています。

明治、大正、昭和初期の不良少女の事件を夏休みの昆虫採集よろしく纏めた事件簿ですね。弱冠11歳で、劇場のダンサーを売春宿に売り飛ばした少女や、ピストルで外国人を射撃した16歳の女の子。平成女子、完全に迫力負けしている。

読後に思うのは、なるほど若年層の不良化は年々悪化しているのではなく、むしろパワーダウンして来ているのではと感じる。表紙を飾る煙草をくゆらせる断髪の少女がタイトルイメージを見事に体現しています。

2012年2月14日 (火)

雑司ヶ谷R.I.P.

6976753

☆☆☆ 著者:樋口毅宏 販売元:新潮社 発売日:2011/2

内容(「BOOK」データベースより)
一代で巨大教団を築いた雑司ヶ谷の妖怪が死んだ。新教祖就任に向けた儀式と抗争の進む「現在」と初代教祖の戦前戦中戦後の受難の「過去」が交錯する。『さらば雑司ヶ谷』『民宿雪国』著者の最新最高傑作。

太郎と徹平のアナーキーでナイフの切っ先のような台詞には、読む程に覚醒するものが確かにある。そしてさらりと残虐な事をやってのける。デパ屋での一件とか、これほど鬼畜な描写は見たことない。

しかし、切れのあるブラックユーモアにはドキリとさせられる。やはり読んでいて好みがはっきり分かれる作品ですね。のらりくらりと読ませるかと思いきや、いきなりスピードアップするギアチェンジは相変わらず小気味いいな。

とはいえ、新興宗教の世界をおちょくってみせる俯瞰目線はなかなか。どこまで続くのかイラつかせるこの空気。しかし雅子の存在が利いている。もっと強烈に突き抜けるような衝撃へとエスカレートしそうだ。


«北帰行

読書メーター

  • mizzoの今読んでる本

最近のトラックバック

最新ニュース

参加しています

  • にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
  • にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
  • blogram投票ボタン
  • 人気ブログランキングへ

mixi

  • mixi(ミクシィ)やってます!

Twitter

無料ブログはココログ
2012年5月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

カテゴリー