おもかげ
☆☆☆+ 著者:浅田次郎 販売元:毎日新聞出版 発売日:2017/11/30
浅田文学の新たなる傑作、誕生―。定年の日に倒れた男の“幸福”とは。心揺さぶる、愛と真実の物語。
重体の主人公を見舞うかつての同僚で出世頭のプロフィール。
オープニングから何となくその後の展開を想像してしまうがあながち外れてなかった。
章を追うごとに登場する謎めいた美女たちの正体や如何に?
病室仲間?との会話が糸口となり、ゆっくり転がるストーリーへと引き込まれます。
作者お得意の戦後から復興期、高度成長期の当時の情景描写には多くを語らず、
それでいてジーンを沁み入る言葉で紡がれており、流石の力量を感じさせます。
主人公が全編を通じそれまでの人生の節目を回想する度に、
定年を間近に控えた私自身も幼少期からの自分史を走馬灯しながら読みました。
腹帯の「忘れなければ、生きていけなかった。」のコピーが秀逸です。
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